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文学と、緑のじかん

先日、友達とおでかけをした。
行き先は日本近代文学館。
没後50年を迎えた川端康成の展示を観るためだった。

「川端康成展 人を愛し、人に愛された人」 

本を読むのは大好きだが、読んだことのある文学作品は実はそう多くない。
あのギッシリした文章量と、背筋が伸びる文体に気後れしてしまうのか…。
川端康成も数えるほどしか読んでいないし、恥ずかしながら「伊豆の踊り子」も「雪国」も未読だ。(読んだのは「古都」と「みずうみ」だったかと記憶している)

なのに何故。


川端康成がノーベル文学賞を受賞した日が、奇しくも私の誕生日と同じだったから。

それで勝手に親近感をおぼえているだけだ。
恐れ多いったらありゃしない。

日本近代文学館。駒場公園内にある。


春先から、川端康成の記事が目にとまった。
作品云々よりも、彼の人柄について。

筆まめで優しい人。
自身が親兄弟との縁が薄かったため、人の縁を大切にしていた。
自分よりも他人。
思いやりの人だったのだ。

教科書に載っていた著者からは伺えなかった、素顔を知る。


展示は7つのセクションに分かれていた。
「書簡・書籍に見る交流」には作家や従兄妹、作家志望の青年などと、やりとりした手紙の数々が展示されていた。
直筆の文字、濃淡のあるインクの色。
便箋ではなく原稿用紙に書かれた彼の思い。

「また手紙で夜が明ける」

戦中の日記のなかに、こんな一節があったらしい。寝る間もおしんで手紙を書いたとか。

手紙のほかにも創作ノートや原稿、ノーベル文学賞のメダルを見ることができた。

若いうちから文学の道で生きることを決め、作家になる準備を進めていた。
高校の手帳には、ページいっぱいに細かい文字が書き込まれていた。
とても判読できなかったけど、そこにも彼のアイデアが詰まっていたのだろう。

お土産に買った栞をかたどった栞

背景を知ると作品の味わいも深まりそう。
図書館で借りた📕「ちくま日本文学 川端康成」。今「山の音」を読み途中だ。

旧前田家本邸和館
庭園

文学館のそばに旧前田侯爵邸がある。
和館を見学した。
広々とした畳敷きの客間。懐かしい気持ちになるのは何故だろう。
縁側から庭園を眺める。
ぺたりと座り込んで時を過ごしていたい…。
ここが都内とは信じがたい静けさだった。

前田家に聞き覚えがありパンフを確認すると、鎌倉文学館は前田家の鎌倉別邸にあたるらしい。

本邸
バラが見頃✨

和館を回り込んだら更なる豪邸が出現!
残念ながら見学時間を過ぎていて見られず。
それは次回のお楽しみにする。

今日見たあれこれを喋りながら、帰りは駒場東大前から渋谷駅までぶらぶら歩いた。

レスカでシュワッと。

陽射しがギラギラしていたので冷たいもので一休み。
炭酸が心地よい。

🟢緑のしみ込んだおでかけになった。





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