そらを旅した日
父親の診察に同行する日。
横浜駅を経由するので、待ち合わせの前に気になっていた写真展に行ってきた。
美術館友達が「行きたいリスト」に挙げていたり、noteの記事や新聞広告でも見かけたりして。
ぐいぐい背中を押され始めたのだ。
KAGAYA/星空の世界 天空の贈り物
「 星空写真家・プラネタリウム映像クリエイター」の肩書を持つ。正直名前も知らなかったのだが、チケットを受け取り、会場に入った途端に心が持っていかれた。
ヘッド画像の【四季の星空】《ハルニレの木と天の川》。
星空の下、すっくと立っているハルニレの木。
枝の向こうに月が透けて見える。これって現実のことなのか。
ものすごい集中力だ。瞬きも忘れるくらいの。
彼の目に映った瞬間をすべてつかまえる。
遠くの星々も足元の雪も。レンズから広がる世界は果てしない。
セクションは5つに分かれ、展示作品は約100点。
写真撮影は可能。見渡せば周りの人が作品に向かってスマホを構えている。
写真を撮影するなんて少し不思議な光景だ。
私が撮影したのは入り口付近の3点ほど。
あとは自分のレンズに頼ることにした。
季節や時間で姿を変える空。
こんなに近くで見ることはないだろう満月のかたち。想像と違っていた天の川。北海道でオーロラが見られるという驚き。
場内をめぐりながら、「ドキドキ」と「わくわく」は同じ鼓動を刻むのだと思った。
パネルの枠をはみ出して空が広がっていく。
行ったことのない場所に、いつのまにか私はいた。
暗幕をくぐると映像作品が上映されていた。
後列にひっそり並んでスクリーンを見つめる。
見上げる高さまで星空が広がり、打ち寄せる波が私に近づいた。その部屋全体がスクリーン。
息を飲むって、こういうことなんだろう。
ここ数日感じていた圧迫感が薄まった気がした。
空を見るって素敵なことだ。
当たり前にあるけれど、同じ空は2度とない。
贈り物だ。
(そごう美術館にて7/1まで開催 会期中無休)