【読むミニドラマ】ヨシコトヨヒコ その6
第6話「2人のテレビ道」
ある晩ふたりでテレビを見ていた。
話題の医療ものだ。
最近弁護士と刑事と医療ものが繰り返されている気がしてならない。
しかもシリーズで。
「どうよ?」
ヨシコは言った。
「あの人員配置はおかしい。あの大手術にド新人なんか入れない」
今は塾講師のトヨヒコだが、実は看護師免許を持っている。たまにお呼びがかかり臨時バイトをすることもあるようだ。
詳しく知らないが大学病院の経験もあるとかないとか。
「ヨシコは?」
では私から。
「体位変換の順序がおかしかったのが1つ。あと認知症のおばあちゃんにあの接し方はないよ」
私は特養に勤務する介護福祉士。介護の視点から見る。
このように現場経験者が見る医療ドラマはツッコミどころが満載だ。
「疲れたな」
トヨヒコは湯呑みのお茶に口をつけた。
「このあと可愛い動物番組あるってよ」
「それ見るか。モフモフ出るかな」
トヨヒコは小さくてモフモフした生き物が好きだ。
「甘いの食べようか」
ヨシコが立ち上がって冷蔵庫から取り出してきたのはプリン。
ふたりはカスタードクリームに目がない。