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【詩】駆ければよい

足元で波が砕け散る

朝日にきらめく潮の玉が

私の足を濡らしていく。


きめ細かい黄土色の砂に

足をとられながらも

私は懸命に走る。


何に怯えているの?

どこに向かっているの?

私が目指す先はどこ?


潮風にさらされた右半身が

登りゆく朝日に

鮮やかに照らされる。


潮にさらされてごわつく黒髪は

陽光を鈍くはねかえす。


はるかに広がる大洋

地球をあまねくかけめぐる風

すべての生を照らす太陽。


そのすべてを一身に受け

私は

足を交互にくりだす。


力の限り

心の叫びのままに

世界のうねりを感じて。


すべてを恐れてもいい。

どこに行かなくてもいい。

何も目指さなくていい。


ただ走るのだ。

私の

世界の

宿縁の

すべてがここに

発露されるがゆえに。


今、ここにて

万物は結ばれる。

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