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【劣情】それは隣人への同情に導く種

人は卑しい思いにとらわれます。

太陽の下を歩くのが恥ずかしくなるような思い。

思わず顔が真っ赤になってしまうような考え。

己の理知では、最も恥ずかしいと思っている劣情にとらわれてしまう恥辱感。



それは人が「肉の器」である以上、仕方ないことかもしれません。

でも、仕方ないと割り切ることはとても難しいでしょう。

それは、人が崇高な理想を抱くからです。



「私はなんて理想からかけ離れた惨めな存在なんだ」

と理想とのギャップに思いをはせ、身悶えしてしまいます。



ですが、卑しいとされていることも、掲げる理想も

ある事象を自我が分別して

意味付けをして生じた、一つの結果であります。



なので、他の自我が分別を行えば

卑しいとされていることや、理想も、

たちまち意味を変えてくるのかもしれません。



でも、一個人が持つ特定の価値観に照らし合わせれば

その人にとっては、確固たる「恥辱」や「卑しい」こと

そして、尊ぶべき「理想」が存在することになります。



どうすればよいのでしょうか。

自身の恥ずすべき劣情を矯正しようと

努力するのもよいと思います。



それは陰惨な戦いとなるでしょう。

古来より幾多の宗教に仕える

僧と言われる人たちがたどってきた道のように。



ただ、劣情の原因となるものは、人の本性が原因であることが多い以上

克己することは難しいでしょう。



尊ぶべき価値観は、目に見えない存在から賜るのに対して

この地上では、目に見える知覚できるものこそが、価値あるものとされるのですから。



本性とは、地上で人に宿っているもの。

天におわす方から授かった価値観は、地上では軽んぜられます。



ここはひとつ、卑しい想念はそのままにしておいてはいかがでしょうか。

卑しき思いはそのままにしておきましょう。



むしろ、悪しき情念を正すより

善き行いを成せるよう

心がけてはいかがでしょうか。




劣情は正すのが難しいのなら

そのまま「仕方ないやつだ」と認めてあげて

居候のように心の中に住まわせてあげます。



劣情には深く気に留めずに

あなたの善性を伸ばすことに心を砕いてはいかがでしょうか。



あなたの短所を直すことを諦めて

長所を伸ばすことを心がけるのです。

どうにもならないことをどうかすることを諦めるのです。



あなたの善性が力強く心の中に根を張れば

自然、卑しいとされている思いとも、自信をもって共存することができるようになるでしょう。



それに、自身が「劣情を抱いている」という負い目があるということは

人の目を背けたくなるような欠点を

「私もそうだよ」と同情を持って

受け入れることができることに繋がります。



隣人への同情心は

尊ぶべく御方も望まれていることです。



緩い心をもって、あなたの悪い心も

心に同居させれば良いでしょう。




それは時に辛い体験となるでしょう。

ですが、そのことはあなたを人間軽視と傲慢から

救う刺激となることもあると思います。



負の感情は、人がより善く生きることに役立てることができます。

人は劣情を自覚することで

他者への同情心を強くできて

善き行いを躊躇なく行うことができるようになります。

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