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男性教員の僕が育休を取った理由

僕は小学校教員でありながら、二人目の子の出産を機に8ヵ月間の育児休業を取得させていただきました。

今年は教員になって10年目を迎える年。昨年までは学年主任を務めていました。

長期の休暇を取ることは、多くの方に影響を与えることになります。特に職場の上司や同僚には少なからず負担や迷惑をかけることになるので、気が引けてしまうことも多いところ。

男性の育休については少しずつ理解が進んできているものの、職場環境や人によっては、まだまだ誤解されている部分があるのも事実ですよね。

そんな中でも、僕は育休を取ることを決めました。今日は僕が育休を取った理由について書き残そうと思います。

【理由①】妻をサポートするため

僕は、育休を取得する理由を聞かれたら、真っ先に「妻をサポートするため」だと答えます。ここを外してはいけません。当たり前のことですよね。

男性の育休の目的は「家族と妻のサポート」ですから。

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働いているときよりも、ゆっくりできるのは事実ですが、このメインテーマがぶれてしまうと、「自分が休みたいだけ」に思われてしまいがちです。そうなると、職場の理解も得られにくくなることでしょう。復帰した後もやりにくいかもしれません。

僕の場合、上の子が生まれた後、妻になかなかの「産後うつ」が訪れました。

赤ちゃんは本当にかわいい。でも、初めての育児で気を休める暇がなく、寝るのもこま切れ。何で泣いているのか分からない。出産してすぐの体は痛みもあり、万全ではありません。

家の場合、祖父母も働いているので、平日に助けに来てもらうことはできませんでした。

僕は帰宅後にご飯を作ったり赤ちゃんのお世話をしたりすることには、特に大変さを感じませんでした。

でも、妻の体調次第で家の空気が重いのは、なかなかにこたえます。特に仕事がハードな時期は、夫婦共々に疲れていきます。

だから、「自分がもっと助けてやれたらなぁ」と思いながら、何とか上の子を育てていました。

こんな暗い話をすると、赤ちゃんを産むことが怖くなるかもしれません。

産後うつとは無縁の家庭もあると思います。

ですが、産後うつは誰にでも訪れるものだと思っておいた方がいいと思います。実際には出産した女性の約10%がかかるとされています。これは出産によるホルモンバランスの乱れなども影響しているようなので、自分ではどうしようもないところです。

僕は、その辺の覚悟が甘かったのかもしれません。

もちろん、赤ちゃんはすごくかわいいです。産後うつを吹き飛ばしてくれる、たまらなくかわいい瞬間もたくさんあります。

だから「二人目が産まれるときは、僕が育休を取って妻をサポートしよう」

そう心に決めていました。

二人目が産まれ、僕が育休を取得して5ヵ月が経った今、妻に産後うつの気配はありません。

もちろん一人目の経験があるので、子育てに余裕があるのも事実ですが、妻が元気な家庭が僕にとっても一番居心地のいい家庭なのです。

長期休暇を取ることが難しい場合は、2週間~1ヵ月の短期でも育児休暇を取ることをおすすめします。大切な我が子を産んでくれた奥さんの体調が戻るまでの間だけでもサポートできるのではないでしょうか。

20201221_赤ちゃんとママ

【理由②】自分をアップデートするため

「自分をアップデートする」とはどういうことか?

それは、今までの自分を振り返って、これからの生き方を考えたり、自分にとって本当に必要な技術や能力を身に付けたりすることです。

・・・と、でかでかと書きましたが、僕が勝手に定義しただけです(笑)

スマホやパソコンは、定期的にシステムのアップデートを行っていますよね?それは、実際に使用する人にとって、最新のよりよい品質のサービスを提供するために行われるものです。

では、自分はどうでしょうか?自分の体や能力を使用するのは、他でもない自分でしかありません。そこで、自分自身に問いかけてみてほしいのです。

自分の体や能力は、最新の状態になっているでしょうか?

自分の体や能力は、自分にとって最も使いやすいものでしょうか?

自分の体や能力は、自分の理想とするものになっているのでしょうか?

僕はこの問いを自分自身にした時に、結構悲しい気持ちになりました。

教員となって約10年。時間や労力を惜しまずに、せっせと働きました。

「気づけばもう10年経っていた」

そんな感じです。もちろん10年の経験で、要領を掴んでいます。しかし、新しい仕事もどんどん入ってきます。

一昨年には学年主任に就きました。

学年主任の仕事はとても魅力的でやりがいのある仕事です。自分の裁量次第で学年部全体の生産性を高め、個々人のポテンシャルを引き出すこともできます。

しかし僕は、日々の業務をこなすのが精一杯で、学年主任の良さを全く生かすことができませんでした。

こういう時に本を読んで新しい見識を得たり、人と会って違う考えを取り入れたりするものなのですが、家庭の時間にも追われて余裕もありません。

ならば体で覚えるしかないのですが、蓄積された疲労感でその体も重い。

10年前なら体にムチ打って、どれだけでも働けたのですが、だんだんそうも言ってられなくなりますよね…。

また最新のニュースや娯楽に疎い状態では、若手の新しい感覚から遠ざかってしまうことにもつながります。

そういった微妙な感覚の違いは、仕事上でも不必要な誤解や意見の対立を生んでしまったり、やりづらさを与えたりしかねません。

重い体と古いままの能力、知識で仕事をするのは、ブレーキを踏みながら自転車をこぐようなもの。

そのような状態では、慣れた仕事もはかどりません。

効率が悪い仕事をしているうちに、この仕事が本当に好きな仕事なのか分からなくなっていきました。

やりがいを見失ったのです。

社会人になった多くの人は、5年ほど経つと職場にマンネリ感を感じるそうです。僕もそのような感覚を持っていました。例えば、iPhoneは新作が発売されるたびに大きく見た目は変わりませんが、中身は最新のものにアップデートされているから売れますよね?見た目も中身も10年前と何も変わらないiPhoneは懐かしさこそあれど売れるとは思えません。

自分も同じで、見た目同様中身も変わらないまま10年働いていたら、どんな仕事でもマンネリを感じると思います。自分をアップデートするのは自分しかいないのです。

今の状態が良くないことは自分でも分かっていました。

でも、立て直す余裕がありません。自分を見つめる時間を作れないのです。

必死に働くあまり、空いた時間は無心で休みます。次の仕事に備えて、全力で充電します。

休日は家族タイムです。のんびり自分探しなどしている暇はありません。

メンタルの強い人は、きっとこういう時間に自己啓発したり自分探しをしたりしてるんだと思います。でも僕はそこまでメンタルが強くありません。休みの時は全力で休みたいのです(笑)

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そうこうしているうちに、10年経ちました。そしてふと、自分を見つめたのです。

「定年まで、あと30年かぁ」

「この生活をあと30年も続けるのか…?」

「いや、無理だよ!!!」

心の中でそう叫びました。いや、実際に親しい人にそう叫んでました(笑)

一度冷静に自分を見つめたい。

今の働き方でいいのか?

何のために身を削って働いているんだ?

これが自分の思い描いた人生なのか?

そうやって考えているうちに、転機がやってきたのです。


そう、、、 育児休業。

僕は妻のために、産まれてくる赤ちゃんのために、そして自分のために育休を取ることを即決しました。

育休を取って今までの自分を振り返ろう。そして、これからの生き方を考えるんだ。

自分にとって本当に必要な技術や能力は何だろう?

今やっておくべきことは何だろう?

自分をアップデートしないとまずい!

20201221_独学、学習ノート

まとめ

機械と同じで、自分もアップデートしないと、どんどん性能が落ちてしまいます。何年も使い古されたiPhoneのように。

自分にとって理想的で、最新で使いやすい自分を手に入れないと、このまま一生ブレーキを踏みながら自転車を漕ぐ状態から抜け出せません。

そもそも教員は、学び続ける姿勢が必要不可欠な職業です。それは学校業務に限らず、子どもたちに還元できるすべての事象について言えることと思います。そして、その姿勢がある教師とない教師では子どもたちに与えられるものの質が大きく違ってきます。

僕は忙しさを理由に、「自分をアップデートする」姿勢を見失っていました。「忙しい」とは「心」を「亡くす」と書くように、本質を見失ってはやりがいがなくなってしまうのも当然です。

頭のいい人は教員として走り続けながらアップデートを繰り返しているんだと思います。ですが、要領が悪い僕は、実際に本当に立ち止まって、仕事を一切せずに、自分のことだけを考える時間を欲していました。

育休はそれにぴったりだったのです。

育休のメインテーマは、もちろん「妻のサポート」です。

でも、空いた時間を使って、さらに自分がアップデートできたら一石二鳥ですよね。

職場にとってはどうでしょう?

10年の経験がある学年主任が一定期間抜けることは、やはり痛手です。

でも、もし僕が育休前よりもやる気に満ち溢れ、アップデートして復帰したとしたら、、、。

それはかなりリターンのある時間の投資になるのではないでしょうか?

今の僕は、育休前より、身も、心も、知識も、能力も成長して、職場に復帰したいと思えるようになりました。

そうなることが妻にも自分にも、そして職場にとっても価値がある一石三鳥の育休になると思っています。そして自分を見つめ直し、多くのことを学んで、教員として走り続けながら自分をアップデートできる体質を身に付けようと思います。

経験に基づく話が多くなりましたが、読んでくださった方の参考になれば幸いです。

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