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「なぜなぜ期」から考える、同じ勉強をしていても賢くなる子とそうじゃない子の差

一般に、3歳ごろの子どもは「なぜなぜ期」という時期に入ります。日常のあらゆることを不思議に思い、「なんで?」「どうして?」と親を質問攻めにする、親としては苦しい時期です。子どもの脳が発達している時に見られるらしいので、成長過程としては嬉しいものですよね。この「なぜなぜ期」と学力の関係について考察してみました。

1.「なぜなぜ期」を迎えた娘

4歳になったばかりの娘も、「なんで?」「どうして?」を連発していました。最初は親として一生懸命答えますが、何回も何回も聞いてきたり、自分が忙しくて余裕がなくなったりするとつい適当に答えてしまうんですよね…。娘が一番多く聞いてきたのは「なんで今日雨ふるの?」でした。

娘「なんで今日雨ふるの?」

僕「今日は雲がたくさんあるからだよ」

娘「なんでくもがたくさんあるの?」

僕「遠くからやってきたからだよ」

娘「どうして?」

僕「風が運んでくるんだよ」

娘「なんで風がふくの?」

僕「雲を運ぶためだよ」(☚もう答えに苦しんでいる…笑)

娘「なんではこぶの?」

僕「ここにずっと雲があったらいやじゃない?だからだよ」(☚そろそろ終わってくれー!)

娘「なんで今日雨ふるの?」

僕「・・・・・」(☚うわー、ふりだしに戻ったー!)

こんな無限ループが日常茶飯事です。今年の夏も豪雨や雷がたくさんあったせいか、娘は特に雨が怖いみたいで、雨に関する「なんで?」を連発していました。最終的に妻と一緒にスマホで雨雲レーダーを見て、「今日はふらないね~」とか「あと30分でやむよ~」とか言ってます。だから娘は雨雲レーダーを使いこなせるまでに成長しました(笑)本人は至って純粋な気持ちです。

そうこうしているうちに、最近の娘はだんだん「なんで?」の数が減ってきました。「やっと落ち着いてきたか」と少し胸を撫でおろしています。

なかなか困ってしまう「なぜなぜ期」ですが、この時期の子どもへの対応の仕方で、子どもの将来の学びや発達にも影響があるのだとか。「なぜなぜ期」とは直接関係ないのですが、最近興味深い本を読みました。

「同じ勉強をしていて、なぜ差がつくのか?」(著 石原勝紀)

今ならKindle Unlimitedに加入していると無料で読めます。

2.3つの学びのタイプ

この本は、効率よく自己投資できるようにと自分のために読んだのですが、将来子どもを勉強面からサポートしてあげたいという人にすごく価値のある1冊だと思いました。タイトルの通り、確かに「同じ勉強をしていても賢くなる子と平凡な子、すごく差が生まれるな」と疑問に思ったことがあります。この本では、まず、学びのタイプを3つに分けています。

①授業を受けていても学んでいない子

②授業だけが学びの子

③授業以外、日常すべてが学びの子

もちろん、賢くなるのは「③授業以外、日常全てが学びの子」です。「日常から、頭が動いているかどうか」、ここに差が生まれるということです。勉強ができる子は、勉強する時間以外にも「今日の川の水はなんでこんなに濁っているんだろう?」とか「なんでここのコンビニは潰れちゃったんだろう?」とか日常のあらゆることに疑問をもち、自分なりに調べてみたり、分析したり、親や友達と話してみたりして、常に頭を動かしているんだそうです。「なぜなぜ期」を迎えた子は、まさに「日常から頭が動いている」状態で、日常のあらゆることに興味をもち、好奇心を示します。ですが、ほとんどの子はそれが長く続くわけではなく、そのうち自分の好きなことだけに没頭し、日常的なものは「ふーん、そんなもんか」と常識へと移り変わり、だんだん疑問をもたなくなっていきます。つまり、「なぜなぜ期」を経験する3歳ごろの子どもはみんな賢くなるための思考法をもっていたのに、知らず知らずの間にその思考法を失っていくのではないかなと、僕は思うわけです。

最近、娘は少しずつ「なんで?」を言わなくなってきました。親としてちょっと楽になりましたが、裏を返すと「日常的なものに疑問をもたなくなった」「当たり前のことに興味や好奇心が薄れてきた」というふうに捉えることもできます。そう考えると「なぜなぜ期」が終わるのはちょっと寂しいかも、という気もしています。

3.日常に学びのチャンスを作る

「なぜなぜ期」が終わった子に、日常のあらゆることに疑問をもったり、好奇心をもたせたりするのは、親の役割になっていくのかなと思います。小さい頃、誰もがもっていた「なんで?」の心を忘れないように、親が積極的に子どもに問いかけて、一緒に探求することで、勉強のおもしろさも伝えていけたらいいんじゃないかなと思います。

例えば、子どもが描いた絵について、

「がんばってかけたね~。なんでここにお花をかいたの?」

「なんで青色の葉っぱにしたの?」

など、簡単に答えられるように問いかけてみる。子どもが答える側になるのも頭を動かす上で大事なこと。普段の遊びの中に少し頭を使う場面を入れていけたらいいなと思います。親としてもストレスは抱えたくないので、ほどほどにやっています。

4.教師こそ学びのチャンスを意識する

ここまで書いたことは、教師も同じだと言えます。1つの決まった答えを教師が一方的に教え込む授業が、子どもたちのせっかくの学びのチャンスを妨げてしまいます。それは後に、勉強嫌いの子をたくさん生む悲惨な結果となりかねません。時に子どもたちは、ふいに「先生何で○○なの?」とつぶやきます。この言葉の価値を理解している教師は全体に問い返すことができます。「みんなで考えてみようか」これさえ言えば、子どもたちの思考がぐるぐる動き始めます。それを「それはね・・・」と自分で答えを言ってしまったり、「今先生がしゃべってるから」と制してしまったりしては、とてももったいないことです。ついつい自分がしゃべりすぎてしまう教師は、「なぜ」や「どうして」を常にキーワードとして心に留めておくと、問いを生かして子どもたち主体の授業ができるようになるのではないでしょうか。主体的な学びを得るきっかけとして、「なぜ」や「どうして」はとても大事な疑問になります。上手い先生は、教え方の上手さより、ヒントの出し方の上手さにセンスを感じるなと個人的には思っています。

5.教える側の人は学び方のコツを理解する

教師はよく授業の進め方や自分の教え方に悩みをもちます。ここで気をつけるべきことは、授業は子どもたちが学ぶための「手段」でしかないことです。僕たちがいくら手段にこだわったからといって、それが子どもたちの学力に直結するとは限りません。賢い人には賢くなるための考え方や思考法があります。学び方のコツをついているから、他の子より効率よく賢くなることができるのです。でも、いくら賢い人でもどうすれば賢くなれるのかを言葉で説明することはとても難しい。意識して考えたことがないからです。だからこそ、授業での細かい指導法にこだわる前に、本書のような教育本から賢く学ぶためのコツを理解しておくことが重要だと考えています。スポーツと同じで、いくら優れた指導法でも、コツをおさえていなければ成長の度合いは大きく変わると思います。

6.まとめ

本書は勉強ができる子へと導く「10のマジックワード(言葉)」を取り上げて紹介しています。「なぜ」はそのうちの1つです。他のマジックワードも「なるほど」と思うものが多く、子どもの前で使っていきたいものばかりです。僕は親でもあり教師でもあります。だから自分自身が日常に転がっている学びのチャンスを見つける目を育てていきたいと思います。

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