理想の働き方をマトリックス図にしてみました
最近は、社会的に長時間労働を撲滅する動きが強まってきていますが、学校も同じです。「学校はブラックな職場だ」という言葉もたくさん耳にしますね。
正直僕は、
「残業が多いとか、勤務時間を守ってないとか、何をワーワー言っているの?そんなの教師になる前から分かってたことじゃん。自分の時間を削ってでも、子どもたちが成長できるのであればやったらいい」
という風に思っていました。
ところが、長女が産まれてから事態が一変しました。妻は産後うつ傾向が見られ、家事も回らない日がありました。そして、妻が仕事に復帰したら、僕は毎日保育園にお迎えに行きました。
「早く帰らないといけない」という思いから、勤務時間をめちゃくちゃ気にするようになったんですね(笑)
無理に仕事を削っていくと、何だか手を抜いてしまっているような罪悪感を感じ、このままでいいのかと悩むようになりました。
➣働き方のマトリックス図
四月から職場復帰する上で、僕の一番の課題は、やはり「仕事と家庭の両立」です。だから、育休中にも仕事の効率化や働き方に関する本をいろいろ読んで学んできました。その中で、だんだん分かってきた「理想の働き方」をマトリックス図っぽくしてみました。
縦軸が「やりがい」、横軸が「働く時間」を指しています。この二つの軸のバランスによって、自分が理想としている働き方になっているかどうかをはかることができます。
教師一年目の人はだいたい①からスタートします。自分が思っていた仕事とのギャップに戸惑い、慣れないことを必死にこなしている時期です。
②は、①の仕事に慣れてきて、教師の本質的な楽しさを実感し始めた時期です。僕は2,3年目くらいから楽しさを感じ始め、残業時間も気にせずに仕事に没頭していました。教育に情熱を注いで自分としてはやりがいを感じていますが、自己満足的な仕事(行事の過度な演出や、動画、パワポ、教材などの小さなクオリティアップなど)をしてしまっている場合もあります。
③は、一見クールダウンしている状態です。昔は熱い指導で子どもたちを導いていたけど燃え尽きてしまったベテランや、情熱をもって教師になったものの職場や子どもたち、保護者との関係がうまくいかず淡々と仕事をこなすだけになってしまった人などがいます。仕事にやりがいを感じていない場合は心身共に病んでしまいがちになるので気をつけたいところです。
④は、これからの学校や社会が目指すべき働き方ではないでしょうか?仕事の本質的な楽しさを感じつつ、短い労働時間で成果を出せる仕事だけをしていきます。仕事にやりがいを感じている上に、勤務時間も短い。プライベートも充実しているのでクリエイティブな発想ができる余裕もある。しかも子どもたちはしっかりと成長している。僕の理想とする働き方です。
➣「やりがい」を見失うことの危険性
教師の道を歩み始めた人は、①の壁にぶつかります。「え、教師って本当にブラックなんですけど…」と感じて、すぐにやめてしまう人もたくさんいます。
①の仕事をこなせるようになると、大抵の場合、②か③に進み始めます。気をつけないといけないことは、②に進んでいる人も③に陥る危険性が常にあることです。「燃え尽き症候群」とよばれるような状態です。
僕はまさにこの道を進もうとしていました。長女が産まれて働き方を変えようとしたのですが、ただ勤務時間を削ろうとしても仕事は減っていないので、どんどん自分が追い込まれ、ついには仕事の「やりがい」を見失っていきました。
本当は力のある人が、今まで蓄積したものを使い回すようにしながら仕事をする風景を目にすることがあります。教育観がアップデートされていないので、子どもたちの成長もあまり期待できません。仕事をしていると心が折れてしまう瞬間が度々襲ってきますが、僕は③の状態には絶対になりたくないなと感じています。
➣理想の働き方の実現には「組織の力」が必要
先に述べたように、僕の理想とする働き方は④です。
しかし、この④を実現することは、なかなか難しいことです。④の中に「ホワイト企業」という言葉があるように、④を達成するためには「組織の力」が重要となります。管理職はもちろんのこと、周りの方々が理解し、組織的に協力し合わないと達成できません。
僕は幸いにも、学年主任という立場をいただいています。学年の先生を巻き込んで、組織的に④の働き方をしようとはたらきかけることができます。組織的に担任の先生の仕事量を減らし、学年全員の子どもたちの成長を促す働き方を見つけていこうと思います。学年主任でなくても、組織的に働くことで勤務時間を削減できる方法はたくさんあると思うので、働き方に悩む人はどんどん回りを巻き込んでいってほしいと思います。
また、どのように組織的に仕事を減らすのかはこちらの記事を参考にしてみてください。
➣問題は「時間」ではない
働き方について考える中で、気づいたことがあります。
それは、
問題なのは「時間」ではなく、
仕事のつまらなさ、くだらなさだ
ということです。
僕は、働く上で②を経由することはとても重要なことだと感じています。自分の仕事の本質的な楽しさ、「やりがい」を感じていないと、やっぱりモチベーションは上がりませんよね。人生の半分以上の時間を仕事に費やすわけですから、やっぱり楽しい仕事をしたいものです。
「長時間労働」と言えば聞こえはよくありませんが、自分が情熱を燃やして仕事に打ち込めることって、とてもかけがえのないことだと思うからです。
僕は若いうちに時間を気にせず働きづめたものが自分の財産になっています。自分の家族ができる前に仕事の「やりがい」を感じる経験ができてよかったと思います。しかし、それは身を削って得たようなものでした。だから、僕よりも若い先生には、もう少しラクに「やりがい」を感じてもらえるように、組織的な体制を整えてあげられたらいいなと思っています。
そうした取組が実って、みんなが自分の理想の働き方を実現できる学校や社会になると嬉しいですね。