初めまして、くろと申します
臨床4年目、回復期リハビリテーション勤務の作業療法士です。
今回は、帯状束について述べていきたいと思います。
恒例ですが、白質線維とは何かについて話していきます。
ここから帯状束の概説に入ります。
帯状束は前頭葉・頭頂葉・側頭葉とを連絡しています。
さらに、5つのコンポーネントに分かれるとされています。
注意・記憶・感情形成/処理など多くの認知・情動的処理に関与しています。
帯状束と連絡する領域のまとめです。
ここから、連絡している領域について説明していきます。
上前頭回の症状は多数あり、主に脱抑制など、高次脳機能障害が生じます。
ADHDとの関連では、親からみた対象者の評価と関連し、右SFGが薄くなっていました。これが不注意や他動に繋がるとも考えられます。また、その結果薄くなったとも考えられます。
思考の抑制と有意な正の相関があり抑制的な機能もありそうです。
左島皮質と右SFGの接続性の増加は精神運動覚醒テストの低下と正の相関がみられます。
イライラを抱える若者は健常者と比較して右上前頭回が萎縮し
イライラと負の相関がみられる。
上前頭回は羨望と関連するが、右縁上回・楔前部との接続が大きいほど羨望が少なくなることが示されています。
楔前部がデフォルトモードネットワーク内において空想、視覚イメージなどに関与していることから、羨望の光景をイメージで表現しているかもしれません。その場合大きな接続性によって抑制することで羨望が減少することが考えられます。
ボクセルの研究により右MTG、右上前頭回との接続に正の相関がみられており、接続性が強いほど不機嫌さや不安などを抱きやすい可能性があります。
上前頭回はインターネットゲーム障害で萎縮をします。
投資などの関連では、損失回避と正の相関がみられ、抑制機能等の関連が考えられます。
生まれる前に関しても、母親の状態によって変化があるようですね。
反芻思考との正の相関がみられ、うつ病の反芻思考などにも関与しそうですね。
また、BMIとも相関しており、生活習慣にも影響していそうです。
高齢者の機能低下もSFGの灰白質が薄くなることが関与していそうです。
SFGはユーモアにも関与していてただの思考ではなく複雑な認知機能を司っている可能性が高いですね。
上前頭回とブローカ中枢のつながりはFATである可能性も高いですね。
SFGの厚さや機能によりPTSDの発症に関連しており、統合失調症でも異常がみられており、精神とは切っても切れない関係のようです。
SFGは、課題学習に関与し、学習効果が変わってきそうです。
騙す、正直、この二つがSFGとも関連しているようです。
でもユーモア等の高次な精神機能にも関与するので納得できます。
フットボール選手の脳震盪と皮質の厚さとの逆相関には驚きました。何度も脳震盪をしてしまう場合は、危険ともいえますね。
また、うつの中で、産後うつ病とも関連しているようです。
前帯状回は自律神経機能や高次脳機能に関わっています。
脳卒中のアパシーの頻度は35%程度です。
皮質では帯状回、補足運動野などの損傷による。
皮質下では尾状核頭部、視床病変で自発性の低下や行動量の低下が観察されるとのことです。
ビンスワンガー病のような場合でも意欲低下が生じるようですね。
アパシー群では、前頭葉と大脳基底核の血流低下が生じているようです。
脳卒中の基底核病変で出現する機序が示唆されています。
被殻出血などで生じやすい可能性がありますね。
アパシーは認知症とも密接に関わっています。
MCIからADへの過程でアパシー合併が増えるようです。
アパシーを伴うとADに移行しやすいようですね。
病態的には前帯状回を含め複数の部位の関与が指摘されています。
パーキンソン病もアパシーが高確率で出現するようです。(35%)
アパシーを呈すると遂行機能が低下し、前頭葉機能障害と関連すると言われています。
噛む動作には注意機能テストの回答時間を短縮させ、前帯状回と左前頭前皮質などの活動を増強させるそうです。
ストループ課題でネガティブ語を用いると、うつ病患者において前帯状回の活動が上昇し、扁桃体などの活動上昇が課題遂行時に生じる。
前頭前野の機能低下により脱抑制された辺縁系の情動処理が亢進することを示唆しています。
うつの重症度と内側前頭前野・腹側前帯状回の活動亢進が正の相関を示しています。
認知行動療法(CBT)を行った研究では、CBT前にはどの情動価にも活動牛なかったが、CBT後には快情動価画像に対して活動増加がみられ、不快、中性情動価画像には活動が減少することが示されています。
うつ病において扁桃体が持続的に亢進する障害を起こしており、CBTが返答愛の機能を正常化させる働きを持つことが示唆されます。
認知行動療法は抑うつに有意な改善を示すようです。
前帯状回は報酬/非報酬の結果の情報を受け取り海馬の記憶に報酬関連の入力を行っているようです。
前帯状回は感情、認知・運動制御に関与し、統合失調症、OCD、うつ病、双極性障害、PTSD、自閉症を含む多くの精神疾患と前帯状回の機能不全を関連付けます。
前帯状回は4つの領域、6つの部位に分かれるとされています。
前帯状回はエラー後に活動を示すが、背側前帯状回はさらに評価があった後に活動する。この評価はエラーにより苦痛の程度を反映している。
前帯状回は細かく分類すると下記のような活動を示します。
次は、中帯状回です。
中帯状回は、痛みや社会的苦痛、矛盾などに関与しています。
また、運動前野を含む領域と接続しており、行動と学習、報酬や目標のための手段的な行動を実行するかを学習する機会を提供すると言われています。
中帯状回前部は、認知課題やエラー完治、矛盾に関与しています。
扁桃体から情動感覚を受け取り、運動領域へ投射している。
中帯状回前部は運動調節核へ投射しています。また、左前頭前野との接続は重要とされています。
中帯状回前部は最も望ましい選択肢を決定する役割をもちます。
注意課題で中帯状回前部の血流が増加します。
回避行動にも関与し、運動反応を構成すると推測されています。
中帯状回後部は、大脳基底核や眼窩前頭皮質・補足運動野などに密接に接続し、感情への運動反応の計画に重要とされています。
特定刺激へ注意を向けさせ、関連性の低い刺激の注意抑制を伴っています。
電気刺激により、こねる・押すなどの運動が誘発されます。
これは補足運動野との連絡によるもので、これが破壊されることで運動無視が生じるとされています。
次は後部帯状回です。
後部帯状回は頭頂葉から空間情報と行動関連情報を受け取り、行動と結果の学友を行い、運動前野に送られるとされています。
さらに報酬と行動を結び付けており、感情に関与し、海馬への出力で記憶に関係しています。
後部帯状回はデフォルトモードネットワーク(DMN)の重要な中核であり、自伝的記憶を起こしたり、小体の計画を立てるとき、脳内の活動が自由であり制約のない休息中に活動の増加を示します。
様々な疾患により異常が示されており、注意障害などに影響しています。
腹側はDMNに関与し背側が前頭―頭頂ネットワークに関与しています。
自閉症、統合失調症、うつ病などとも関連がみられています。
ADHDはDMNの障害ともいわれています。
活動の制御がされず、他の神経が混乱し、注意力の低下につながるという考えが提唱されています。
ADHDは、後帯状回と楔前部/前頭―頭頂ネットワークの間に逆相関の減少がみられます。
DMNが働いているときには前頭―頭頂ネットワーク等が休み、
DMNが働いていない(課題中)などは前頭―頭頂ネットワークが働きますが、このバランスが崩れることで注意機能の低下や注意の転導性の亢進に繋がるのではないかと考えられます。
後帯状回は思考を補助し、内部と外部の注目のバランスを制御するうえで必要な役割を果たす可能性があるといわれています。
外部への注意の焦点は狭い焦点を当てる必要があります。N-backテスト等。
注意の焦点を広げると、予期せぬ出来事を早く捉えることができ、適応力が高まる可能性があります。
認知的には、課題外で発生する行動に関連する環境刺激を監視しています。
内部への焦点では、記憶の検索等内的な注意時、腹側PCCが活性化します。
FPCN(前頭頭頂制御ネットワーク)と腹側PCCは常に逆相関を示すわけではないことを示しています。
広範な注意の場合、DMNとの機能的接続性が高く、腹側PCCは逆相関のパターンを示しています。
後帯状回は情動記憶が意識にのぼる際、生育体験を想起する課題で賦活されます。
DMNや背側注意ネットワークの一部だけではなく、顕著性ネットワークのサリエンスネットワークを形成します。
記憶の想起と未来の想像により活動が高まります。
次は楔前部についてです。
楔前部は頭頂葉の内側面に存在します。
様々な部位と連絡し、道順障害に関わります。
楔前部後方は海馬傍回との間の神経線維束が最も豊富であるとされています。
さらに、運動イメージ中にも楔前部の賦活が観察されています。
また、記憶処理にも関与しています。
右楔前部の安静時活動が低いほど主観的な幸福感が高いことが示されています。強く幸福を感じる人は楔前部の活動が低いことを意味します。
楔前部は否定的な自己意識や心の迷いに関係し、この働きが弱いことが幸福感に繋がっている可能性が示唆されます。
右楔前部と感情処理に関わる右扁桃体の機能的結合が強いほど、主観的幸福得点が高いことも示され、感情を適切に統合することで幸福感が生まれる可能性が示唆されています。
ASD群では正常発達群と比較して灰白質体積が比較して小さいことが示されています。
さらに楔前部はアルツハイマー病の早期からアミロイドβが蓄積します。
楔前部は論理的な推論や損得の推測、感情hン段課題での活性化も指摘されています。
楔前部は帯状束で5つに分かれ前頭葉、辺縁系、側頭葉と接続しています。
楔前部にTMSを行うと自伝的記憶の想起での活動を変化させます。
楔前部はDMNと強い接続性を持っています。
内省や視覚的イメージなどに関与するとされています。
無気力患者では萎縮と代謝低下が明らかになり。無関心の重症度と相関していました。
楔前部はサッケードや自発的眼球運動にも関与しています。
また、記憶メタ認知に関連しています。
オキシトシンが楔前部と中央実行系ネットワークである左背外属前頭前野の接続パターンを逆転させます。
両側楔前部は左DLPFCに負の関係を及ぼしますが、オキシトシン下では、逆転することが示唆されています。
オキシトシンが扁桃体の活動を弱めるため、社会的に否定的な反応を軽減し関連性のある合図に応じ、連合学習を減少させ、向社会的効果があることを示唆しています。
幼少期の有害な経験とも関連しています。
また、whereの経路に関与しています。
次は上頭頂小葉です。
上頭頂小葉は、中心傍小葉と楔前部から構成されます。
多感覚の統合を行い、運動制御中枢への投射、自分の身体地図の
作成、視覚の背背側経路となり目標の方向、速度などの把握、
注意のトップダウン制御を行います。
上頭頂小葉は下記の「機能」「損傷による症状」があります。
関与する経路としては、
視覚経路の背背側経路、言語経路の形態経路
ネットワークの前頭―頭頂ネットワーク、背側注意ネットワーク
に関わるとされています。
上頭頂小葉は背側注意ネットワークに関与し、上縦束Ⅰで結ばれているようです。
上頭頂小葉で感覚統合が上手くいかず下記画像の実験のサルは拙劣さをみせています
色々な経路、ネットワークがあってややこしいですが、
背背側経路は上頭頂小葉でリーチ動作に関与します。
腹背側経路は下頭頂小葉でリーチの手の形の形成に関与します。
言語では
形態経路は下頭頂小葉から上頭頂小葉に達し前頭葉の手の領域まで達します。
音韻経路は聴覚野や下頭頂小葉が関与します。
ゲルストマン症候群は左角回の損傷で有名ですが、上頭頂小葉も含まれると想定されます。
上頭頂小葉と人格との関係を調べた研究では、外向性が上頭頂小葉と正の相関があることがわかりました。
他の人格は自分の感覚であったり考えであるのに対し、外向性は
自分の内ではなく外なので、外からの様々な感覚を統合したりする上頭頂小葉が関与するようです
上頭頂小葉の損傷では感覚障害など様々な症状の他にも
頭頂葉性運動失調が挙げられます
上頭頂小葉の損傷では、視覚性の入力が上頭頂小葉に届きますが、ここで障害があり、2つの型に分かれます。
Balint型が中心視野へのリーチ動作が障害され、
Garcin型が周辺視野へのリーチ動作が障害されます。
さらに上頭頂小葉から運動前野へ向けて情報が送られてリーチ動作へ繋がるので、運動前野性のリーチ動作障害にも関与しています。
対象物への脳幹の眼球運動にも関与があるようです。
次は舌状回についてです。
舌状回は鳥距溝の下方部分です。
脳神経ペディアによると単語の認知もしているようです。
街並み失認や大脳色覚障害を生じることから、色や街並みを処理していると考えられます
こちらも同じような結果となっていますね
次は海馬傍回についてです。
海馬傍回の機能のまとめです。
次で詳しく解説します。
海馬傍回は長期記憶に関する部位に投射し、長期記憶に関与しています。
海馬傍回は場所の写真でも賦活されます。
また、海馬傍回を含む病巣は、前向性健忘に加え、逆向性健忘が出現し、
再認も低下します。
さらに空間の記憶にも関与するとされています。
次は脳梁膨大部です
脳梁は左右半球を結びます。
失認や半側空間無視、記憶にも関与しています。
左視野の文字情報は右後頭葉から脳梁膨大部を経て左頭頂葉に入力されます。そのため脳梁膨大部損傷では言語野へ到達しないため、失読が生じます。
脳梁の離断は処理速度障害となるが記憶や実行系機能には関与せず、
運動機能と相関している。
脳梁離断症候群は多彩な高次脳機能障害が生じます。
最後に、帯状束についてです。
帯状束は、運動無視や記憶にも関与しています。
運動無視とは、問題がないのに運動が減少するものです。
記憶に関しては、視床前核から帯状束を通って海馬に情報を送っているため、帯状束の損傷により記憶障害も生じやすいと考えられます。
帯状束の不完全性が高いほどOCD患者の重症度が高いとされています。
また、左帯状束のFAが高いと注意機能の向上も考えられます。
幻覚がある統合失調症患者では左帯状束の不完全性が高いようです。
また、加齢によってもFAが低下すると考えられます。
また、2型糖尿病患者、ASDで帯状束の完全性の低下がみられます。
パーキンソン病でも帯状束の完全性の低下がみられ、認知機能・精神機能に関与しています。
帯状束について、論文を集めてみました。
いかがだったでしょうか。
また連合線維を追っていくので気になる方はチェックしてみてください。
ご覧になっていただきありがとございました!