永遠の月、束の間の愛【回収されない なんのはなしですか】
「おかさんが生きていたら、きっとこんな風に笑っただろう。」
小学4年生の吾郎は、継母モニカの笑顔に、亡き母の面影を重ねていた。
歳月が流れ、吾郎は大人へと成長する。
モニカへの想いは、もはや恋と呼ぶには深すぎるものへと変わっていた。
「愛している。」
満月の夜、彼はついにその想いを口にした。
モニカは震えながら、彼の腕の中に身を委ねる。
しかし、その喜びは束の間だった。
亡き夫への裏切りという罪悪感が、彼女の心を深くえぐる。
「どうして、こんなにも残酷なの?」
モニカの問いかけに、吾郎は何も答えられなかった。
「なんのはなしですか」
彼はただ、彼女の涙に顔を埋め、我が身を呪う。
「あなたは、月の光のような存在です。」
吾郎はそう囁く。
月の光は、美しいけれど、どこか冷たく、手の届かないもの。
モニカは、彼の言葉に自分の姿を重ねていた。
この禁断の恋は、二人を深い闇へと引きずり込んでいく。
永遠に続くことのない、儚い月の光のように。
【後記】
まずは、エッセイでもなく、実体験でもなく、本当はショートショートでもなく、なんのはなし を読んでいただき、ありがとうございます。
Boy meets girlのパターンは有限で本記事は有名な話のオマージュです。
そのお話の登場人物のイメージをある方にインタビューしたところ、モニカ・ベルリッチさん(マレーナに出演された頃)と回答いただき書いてみました。
なお、”吾郎”としたところ「ワルイコあつまれ」とご覧になっていたとコメントをいただいたところです。
映画「マレーナ」はこちら。
NHK「ワルイコあつまれ」はこちら。
インタビューした方との共通点(勝手にわたしが感じていること)は、セレンディピティ(serendipity)に惹かれていることです。
本屋さんで目当ての本ではなく、その隣りや下に置いてあった本も併せて求めてしまう感覚です。