ユースフォーラムとRS年代の全国組織(初出2012年01月31日)
今年度のユースフォーラムとローバースカウト年代の全国組織について、その公開情報と共に確認していきたいと思います。
2011年はユースフォーラムを実施する年でした。2年に一度。
それが予定されていることもあったのでしょう。日本連盟の今年度計画には、このように記述されています。
http://www.scout.or.jp/_userdata/org/h23plan.pdf(20240614現在リンク切れ)
以上のような前提のもと、まず、具体的なローバー年代の活動の強化についてプログラム委員会では議論しています。また、ユースフォーラムのテーマと目標として、次のようなことがプログラム委員会で検討され、実施されました。
http://www.scout.or.jp/_userdata/weeklynews/2011/bsnews1107-0518.pdf(20240614現在リンク切れ)
結果、決まったのがこんなテーマと目標。
テーマ 「ローバースカウト年代の活動の強化と必要な支援について」
目 標 本フォーラムの目標
・参加者が、スカウト運動における意思決定の参画について理解する。
・参加者が、テーマに則った討議からアクションプランなどを策定する。
・青年加盟員の今後のあり方について、参加者自らで意見を集約し提言する
もともと停滞しているローバー向け施策。だったら、まずローバー諸君にアイデアを出してもらうのが、得策だろうと私も考えていました。
ユースフォーラム当日は、(私たちプログラム委員以外の)ユースフォーラム実行委員を含め、ローバー世代の諸君がこのフォーラムのテーマ・目標を理解し、真摯に議論を進めていきました。1泊2日という短い時間で、さまざまな課題に関する提言の言葉をまとめ、ユースフォーラム参加者全体で最終的な提言としてとりまとめを行ってくれました。
これは、終わったその日の内に県コミッショナー会議に報告され、日本連盟コミッショナーに手渡されています。(9月18日)
http://www.scout.or.jp/_userdata/weeklynews/2011/bsnews1124-0921.pdf(20240614現在リンク切れ)
これで、ユースフォーラムの提言は「日本連盟の公的文書」となっているわけです。できたその日に公文書。
直後、臨時プログラム委員会が開催され、ユースフォーラムの事後評価と全国組織設立の準備委員会設置することに向けて、動き出しています。
http://www.scout.or.jp/_userdata/weeklynews/2011/bsnews1128-1026.pdf(20240614現在リンク切れ)
もちろん、日本連盟内の手続きが必要となるため、そのための手順がとられています。
スカウト教育推進会議
http://www.scout.or.jp/_userdata/weeklynews/2011/bsnews1130-1109.pdf(20240614現在リンク切れ)
その結果、第1回のローバースカウト年代の全国組織設立準備委員会が開催されています。
http://www.scout.or.jp/_userdata/weeklynews/2011/bsnews1137-1227.pdf(20240614現在リンク切れ)
今のところの動きはここまで。この内容については、1月14日・15日に行われた、県コミ会議で現状の報告を行っています。
ネットの上の発言を見ていると「まだローバーが知らない」という話が出ています。おそらく知らないでしょう。1月14,15日に県コミに報告、その後の理事会での報告までしかできていないから。それが「組織の手順」だから、どうしようもないです。組織で動く以上、組織のルールに従う必要があります。
しかし、9月18日に提言が行われてから、4か月で原案を作っているわけですから、ものすごいスピードです。県によっては、先日の県コミ会議での報告を元に、もう既に代表選出等を考え、ユースの会議を始めている県もあります。ありがたいことです。
ある人たちは、「それはユースフォーラム参加者の議論だ」と言います。
そうです。ユースフォーラム参加者の議論と提言です。日本連盟が「ユースフォーラムで議論して、提言してね」といったから、「こうしたらいい!」とユースフォーラム参加者が提言してくれたのです。これをきっかけとして、プログラム委員会で議論が始まり、提言を実現する作業が行われていることをご理解ください。
ある人たちは「これじゃあ、一部の意見だ」といいます。
冷たい言い方になりますが、そもそも、全部の意見って何ですか?「一部の意見だと主張する方々の意見」は既に一部の意見じゃないんですか。一部の意見を採り上げてはいけないとなったら、もうひとつの「一部の意見」をとりあげるわけにはいかなくなっちゃいますから、発言自体が自己否定になっちゃってますよ??
私は、ユースフォーラムの意見が一部の意見であることを認識しています。
だからこそ、一部の意見と別の意見がしっかり議論する場が必要だと思っています。そして、それを考えるには、公平で公正な「意見を言い合える場」を作っていくしかないと思います。それが全国組織になると考えています。それこそローバーがやるべき議論です。
もちろん、それがすぐにできるとは私は思っていません。紆余曲折があって、様々な議論があるでしょう。しかし、議論する場を作らない限りは、一番最初の議論すらできないのです。さっさと組織を作って、「ローバーが自分たちで議論する」段階になってほしいと思います。
ある人たちは「別に全国組織はいらない」といいます。
自分たちのことを、日本連盟に問いかけなくていいの?日本全体で考えることは特にないの?
特にそういうことがないなら、全国組織自体を否定する理由もないですよね。というか、いらないと考えている人の大半は、そもそも黙っているんですけどね。
もともと私がローバーに求めるものは「自治」です。
世界中、どこを見回したって、100%の自治なんてもんはありません。地方自治ですら、様々な障害がある。
だからこそ、ベンチャースカウトまでで、修得科目といった「指導目標」などの考え方を終えたローバースカウトは、まさに「ローバー(=さまよう人)」として、自治の在り方をその場所・そのメンバーによって様々な形で体験していく必要があるのだと思います。少なくとも、これまでのローバーはそういう思想だったはず。橘章などのローバー向けのアワードが実現しなかったのはそういうことなのだと思います。つまり、大人が押しつけたって、ローバー側が受け取ってくれないってこと。
また、グループで意見をとりまとめる等の「自治の過程で体験する様々な出来事」は、本人が社会に出たときに有用であるばかりでなく、社会にとっても重要なことばかり。いわゆるスカウト技能とともに「良き社会人」には必須の能力だと私は考えています。
たまたま私は修士課程の大学院生を30代で経験したのですが、そのときに感じたのは、卒業までに必要な科目がほぼ決まっている大学生と、自分で選ぶ選択肢がとても広い(というか単位に関係なくどんどん講義に参加するような)大学院生の違いが、ベンチャーとローバーの違いなんじゃないかと考えています。自分の研究フィールドを持ち、そのための「指導教官」は、同じ研究フィールドでさえない場合もあるような感覚は、まさにローバーの自治のイメージでした。定まった「期間」とある程度の方向性さえあれば、ローバー年代の皆さんは、「自治」に関して普通にそのようなことが可能なんだと「大学院」というシステムを見ていて感じました。
更に、その年代。大学生から大学院修士というのは今のローバーとほぼ一緒なわけで。その世代に必要なものとして、「自治」があると強く感じました。
B-Pはローバーのために「Paddle Your Own Canoe」という言葉を残していますが、これはまさに「自治」という言葉を表しているわけです。自分のことを自分でしろってことで。ローバーリングツウサクセスの表紙画にだまされちゃいけない。「Paddle Your Own Canoe」という言葉には別にCANOEの大きさは書かれていないし、「YOUR」という言葉は複数形でもある。「あなた『たち』自身のカヌー」をこいでいいのです。前を向いて、「自分の目標』に向かっているのであれば。
少年団日本連盟初代総長の後藤新平は「自治三訣として「人のお世話にならぬよう、人のお世話をするよう、そしてむくいを求めぬよう」といっています。これは当然、個人だけではなく、グループにも当てはまる言葉でしょう。まさに「自治」。
じゃあ、自治のための「ローバーの意思」がどのように実現するのか、ということが問題になります。
つまり、一人一人のローバーは意思を持っていますが、ローバー全体としてどのように考えていけばいいかを、ローバーが考え、実現に向けて「自治」を行う場所が必要なのだと思っています。現在、地区、県連盟では自治を実現できるところがありますが、全国的にはない。
だからこそ、全国組織が必要であるという認識をしています。
そして、全国組織で議論を進めることが、ローバーの対する日本連盟の施策の転換につながると思っています。遅々として実現しない青年参画は、全国組織での議論とともに「ローバー自身が」解決してくれる可能性が高くなると思っています。
ちなみにここでは「全国組織」という言葉を使っていますが、準備会議での検討の段階で「『会議』が適切な用語じゃね-の?」という話になっています。
で、私は一時期、次のような記事を書いています。
http://riics.seesaa.net/article/43378026.html
この記事は、この前の記事のコメントに対するコメントとして作ったものです。
この記事だけを読んで「全国組織がいらない」と判断する人のために、私はFACEBOOKで次のようなコメントをしました。
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実は私自身、ローバースカウトの全国会議って、何をするのか疑問視していました。
http://riics.seesaa.net/article/43378026.html
しかし、例えば、facebookを使って全国的に情報交換をしていくだけでもずいぶん活動が活性化すると感じています。特にこのグループに参加して、とてもそのように感じています。
それを、全国的に始めてあげればずいぶん変わるのではないか?
そのように期待してます。そして、それを「ローバー自身で」決めることができたら、素晴らしいと感じています。そのステップとして全国会議で各都道府県連盟の代表ローバーに自分たちのことについて議論してほしいと考えています。
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つまり、「問題を解決する方法が確立したから、全国組織、いいんじゃない?」と、私は新たに判断し直していると言うことです。きちんとこの記事のコメントとしても書き込んでありますから、御確認ください。
この全国会議がうまく進むと、多くの手続きを省くことができる可能性があります。たとえば「SNSが公式文書連絡方法だと全国会議で定義できれば」、様々な情報がSNSの中でローバー同士・メンバー間でやりとりできます。
もともと日本連盟理事会以外でも、各県連理事会、地区委員会等に「青年参画」の考えから、青年代表者がメンバーとして規程上入っていながら、しかし実際には選出されていない現実もあります。ローバー同士のやりとりで、ローバーがしっかり自分たちの「自治」を進めてくれれば、仕事を分担して、青年代表として各種会議のメンバーとして情報交換することが可能。少なくともローバーは自分たちの考えをしっかり作ることができるはずだと期待しています。