見出し画像

寄居町貧乏移住体験記 #10

2024.10.04(金) その4

 今夜の宿「泊まれるオーガニックレストランmujaqui(むじゃき)」さんは、寄居町で散見される、古民家をリノベーションしてオープンしたお店。ランチはいつでも、ディナーは予約制でいただけるとのこと。朝食は提供していない。私は夜に人と会うことになっていたので、素泊まりで予約。2階の和室(ツインルーム)へ通される。
 とてもほっとする雰囲気。和室にしてよかったー。時間も迫っていたので、手早く荷物を整理して、目的地である「実験スナックrutsubo」さんへ向かう。
 
 「実験スナックrutsubo」さんは、普段は土曜夜の営業だが、今日は特別に開けてくださったらしい。街おこし協力隊員Mさんの話だと、「移住希望の人が来るから」と知り合いに声もかけてくださっていたようだ。感激で言葉が出ない…。食事は出ないと教わったが、お昼の「今井屋」さんのたれかつ丼でお腹が空いていなかったので、そのまま18時過ぎに入店。客は私一人。
 
 オーナーのOさんは、東京都内との二拠点生活を送られている。企業経営者で、テレワークで働いておられるとのこと。「寄居って街があることすら知らなかったんですけど、知り合いが『何か面白いことできそうだよ』と紹介してくれて。このスナック付きの物件を紹介されて、『じゃあやってみるか』って、この店を始めたんです」と。寄居町のまちづくりを考える様々なプロジェクトや、町会のお祭りにもがっつりと入り込んでおられる。
 私も水天宮祭を見て「参加したい!」と強く感じたので、祭に参加したい気持ちや、仕事をどうしようか悩んでいることをOさんに話した。Oさんは「何か『これできます!』ってものがあると強いっすよねぇ〜」と話してくださる。「お祭りに関わると忙しいから、まずは来月の秋祭りは見に来られるといいんじゃないですか」とアドバイスをくださる。そして、秋祭りと同じ月(11月)に開催されるコスプレ撮影イベントを紹介してくださった。「ここも撮影会場になってるんです」

 スナックに置いてあるお酒がビールとウイスキー、ウイスキーベースのカクテルしかなく、酒が好きだけどウイスキーに弱い私は、たちまちぐるぐると酔いが回り、そのくせウイスキーの紅茶割りをおかわりしていた。おつまみのナッツをかじりながら、まったりとした時間が流れていく。
 
 「この後何が食べたいですか?ここ料理出してないんで」とOさん。「肉です」と答えると、「この裏に『正喜(しょうき)バル』ってお店があるんですけど、おいしいですよ」と教えてくれた。
  20時にお店を出た。左へ曲がると「武町」と大きく書かれた倉庫があった。「いつかきっとお祭りに参加する!」そう思いながら倉庫の写真を撮った。
 「正喜バル」は同じブロックの裏にあった。厨房の真ん中にピザを焼く本格的な釜があった。お通しや炒め物の味付けが絶妙で、いつか誰かとワイワイとピザを食べたいと思った。
 
 宿へ戻ると、他には宿泊者はいない様子で、とても静か。シャワーを浴び、歯を磨いて、リビングルームにぽつんと一人になって、「これできます!」ってものが自分にないことに落ち込んだ。
 しょぼくれて泣きたい気持ちでソファに座る。ふと『アファメーション』という本が目に飛び込んできた。ゆっくりと立ち上がってページをめくる。…そうだ、ポジティブな言葉を自分にかけることを、私は忘れていた。こんなところで神様がメッセージをくれるなんて。泣きながら『アファメーション』を読んだ。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?