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寄居町貧乏移住体験記 #20

2024.10.14(月)

 昨夜は離婚を切り出されたことで気持ちがじわじわと落ち込んで、生まれて初めて「いのちの電話」に電話をかけた。電車にふらりと飛び込みそうな気がしたから。

 30分ほど聞いてくださっただろうか。吐き出すうちに徐々に気持ちが落ち着きをとり戻し、お礼を言って自分から電話を切ることができた。私は心理の資格を持っているのだけれど、「死にたい」と話す一方で、「聞き方がうまいなあ」と妙に感心していた。私も頑張らなくては…。

 顛末を親友にLINEで伝える。「落ち着くのだよ」と静かに励ましてくれた。

 いのちの電話の方と親友に感謝しながら、バタンと眠りにつく。


 一夜明け、今日は祝日。

 三連休どこにも出掛けてなかったからか、夫が「どこか行くかい?」と聞いてきた。夫はいつも希望を聞く言葉はかけてくれるけれど、決定権は与えてくれない。決めるのはいつも夫。

 夫から意外な言葉が飛び出した。「鉢形城跡に行く?」 

 …鉢形…!寄居じゃないか!行ってくれるの?

 喜んで出かける支度を始める私。


 峠道をドライブするのが好きな夫。定峰峠という、寄居に近い峠を走り、腹ごしらえに寄居駅前のYotteco(よってこ)の売店へ。カツサンドとコーヒーを買っていただく。総合窓口に、すごくお世話になっている街おこし協力隊員のMさんがいらしたので、ご挨拶。夫は見ているだけかと思っていたら、夫自ら「妻が大変お世話になっています」と話しかけた。

 夫が積極的にMさんと言葉を交わしている。寄居に来てくれることすらないと思っていた夫が、こんな早くに来てくれて、Mさんに寄居の印象を語っている。信じられない光景だった。

 夫「観光にはいいですけど、住むのはちょっと…」
 Mさん「いやいいんですよ、率直に話してくれて。移住してもしなくても、ご主人と奥様と双方にハッピーな結果になればと思います」

 これから鉢形城公園に行くことを伝えると、Mさんが鉢形城観光アプリのチラシをくださった。

 鉢形城公園に向かいながら、夫が「Mさんは押しが強くないのがいいね」と語った。Mさんに良い印象を持ったようだ。夫が他人に好印象を持つことはほとんどないので、心底驚いた。

 鉢形城公園を散策。最後の方で夫が「何だか息苦しい。特に小川のある谷底の辺り」と言う。 私は何ともない。夫には霊感があるのだろうか。そんな話をしながら帰る。

 夫が寄居に来てくれた。夫は言った。「これから足繁く寄居に通って、寄居とどう関わるのか考えてごらん」

 夫の行動と言葉に、心の底から感謝せずにはいられなかった。本当にありがとう。

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