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2023年8月 北海道1

山仲間との恒例の夏旅、今年は北海道へ。勤め人もいるので、金曜は自由行動にして土曜朝から動こうと計画した。が、結果的に金曜午後、ぼくが新千歳空港に着いてからスタートすることになった。
成田発ピーチの昼便は50分遅れでテイクオフ。沖縄方面は居座った台風の影響で航空便は乱れっぱなし。その影響もあったのかも。

飛行機からは大間の町がくっきり見えた。

新千歳空港で先にレンタカーを借りていたN君にピックアップしてもらい、札幌方面へ。新札幌駅で残る2名を拾って、野幌の北海道博物館へ。実は今回の北海道、ひとつの目的は大平山(おびらさん)のオオヒラウスユキソウ、そしてもうひとつは昨年来東北の縄文遺跡を巡って来たので、同じ世界遺産に指定されている北海道の縄文遺跡を回るのが目的。中でも国宝土偶のひとつ、中空土偶を楽しみにしていたが、本来は函館埋蔵文化センターで展示されているはずが、夏休み期間中、北海道博物館で開催される「北の縄文世界と国宝」へ出品中、センターには複製しかないと判明。こりゃ本物を見に行かないとあかんでしょ、ということになった。

北海道博物館。

さて、館内にはお目当ての中空土偶の他、4体の国宝土偶(といっても、複製)が勢揃い。仮面のビーナスと縄文のビーナスはこの後、本物がやってくる予定。ただ、複製といっても実物大なので、違いがよく分かって面白い。中空土偶はなんというか方向性が少し異なっていて興味深い。それぞれ個性発揮していて実に面白い。

亀ヶ岡のしゃこちゃん。複製。
これがウワサの中空土偶。もちろん国宝。愛称は茅空(かっくう)、南茅部の茅と中空の空。
北海道は黒曜石産地のひとつ。分割された黒曜石を元の形に収めてある。国宝。
博物館1階にはマンモスとナウマン象の全身骨格化石複製が展示されていた。

観覧料が1600円とえらく高かったが、なかなか見応えのある企画展だった。さて、千歳へ戻る。ぼくは千歳市内のビジホ。YさんとN君は空港ホテル、W君は札幌市内と別々。この季節、ホテルは高騰。1泊4万、5万も当たり前。さいわい早めに手配したので、訳あり部屋を5500円で予約できた。

千歳第一ホテル。

レンタカーをN君が返却している間に、晩メシの店を探した。よさげな店は予約で満杯。3軒目の華乃家でなんとか入れてもらうことが出来た。ほどなく、空港からバスでN君もやってきて合流。生ビールで乾杯。ビール美味しいのでお代わり。

陶板焼き、頼んでないんですけどと店員さんに言ったら、お通しですと言われて驚いた。
サーモンとシマアジ刺身。
トウモロコシ天ぷら。甘くて旨い。
上川大雪酒造は道内各地に蔵がある。これは帯広畜産大学内の蔵で醸造された純米十勝。
道産酒米を使用。旨味がのったいい酒だ。

皆で顔を合わせるのも久しぶりなので話も弾んで、気がつけば3時間経っていた。ぼく自身は、半月ほど前、コロナに罹患し、たまたま遊びに来ていた次男一家やカミさんにもうつしてしまい、蟄居生活をしばらく過ごしていたため、旅に出るのも久しぶり。もう10日以上経っているので問題ないはずだが、車中では念のためマスク着用としてる。というわけでめちゃくちゃ楽しい時間だった。千歳駅へ向かう3人と別れ、コンビニで寝酒を買ってホテルへ戻った。

訳あり部屋は和室に布団。ま、困ることはない。
880円の朝食を食べた。なかなか豪華な朝メシだった。

千歳川を見に行こうと散歩。千歳はたくさんホテルがある。昨夜はそれが全部満室だったというのが信じられない。飲食店も非常に多い。

秋には鮭が遡上する千歳川。
千歳はアイヌ語ではなかったんだ。

千歳駅前で待合せ。

千歳駅。北海道にいるというのに暑い。今日も予報では30℃を越える。

レンタカーは新しそうなトヨタの小型SUV、ライズ。1200ccの車なのに室内が広くて快適。後席でも十分に寛げる。さて、まずはキウス周堤墓群。周堤墓は北海道のみ分布する、穴を掘って周りに円弧状に土塁を積み上げ、その中に複数の墓を配置した集団墓。入口に管理事務所があり、パンフレットなど置いてあるが、スタッフが親切な人で、歩こうとしたら虫除けスプレーを持ってきてくれて、虫が多いので使って下さいと言う。ありがたい。

キウス周堤墓群。一帯は鬱蒼とした森。広葉樹が多いので明るい。
周堤墓の中を見る。右端は、墓の中を国道が通っているので、穴の深さがよく分かる。
奥の方へいくつもの周堤墓が重なって見える。
キツリフネが咲いていた。
花は終わっていたが、オオウバユリがたくさん。

タブレットによる音声案内を聞きながら歩いていたのだが、年配のおじさんが近づいてきて話しかけてきた。どうやらボランティアガイドのようだ。この人が面白い人で、ここは墓ではないのではないかという自説を話す。というのも他の周堤墓からは人骨が発見されているが、ここは出ていない。が、すぐ近くの同時代の縄文住居跡には墓があり人骨も出ている。彼によれば、寒冷化した時代に寒さ除けのため、周囲を囲って、その穴の底で暮らしたのではないかと。まあそれもあるのかも。問題は調査自体があまり行われていないことですね。行政は、森を伐採して見学しやすくする計画のようで、これにも反対していた。先を急ごう。近くの千歳市埋蔵文化財センターへ。

廃校跡に千歳市埋蔵文化財センター。校庭に周堤墓の模型が作ってあった。
美々遺跡から出土した縄文時代晩期の動物型土製品。複製。この抽象性が面白い。
ウサクマイ遺跡出土、男性土偶。縄文晩期。股の間にシンボル。男性土偶は珍しい。初見。

さて、高速で移動。ぼくは連休明けに来た時に立ち寄ったが、他の皆さんは未訪のため、白老のウポポイへ。

メインの博物館2階からの眺め。いい天気。ただし、道内各地は大雨の所も多かった。
ウポポイはこのフロア館内をさっと一回りしただけ。先が長い。

さて、室蘭へ向かう。まず昼メシ。以前にも山メンバーで立ち寄った回転寿司屋、伊達わさび。少し待って席へ。噴火湾産のネタを中心に。

エンガワとイクラ。他には活ホッキ、生タコ、マツカワガレイなど。

次に向かったのは北小金貝塚。情報センターで出土品など見てから、整備された遺跡へ。

北小金貝塚は縄文時代前期の5つの貝塚を中心とする大規模集落遺跡。
遺跡の地層断面。
一番規模の大きい貝塚。ホタテの貝殻が敷かれているため視覚的に認知しやすい。
貝塚には貝だけでなく、マグロやヒラメなど魚類、オットセイ、クジラなど海獣類の骨も。
さらには人骨が埋葬された墓、シカの頭骨を配置した儀礼の跡も出土。
貝塚はゴミ捨て場ではなく、神聖な「送り場」という位置づけであったという。

さあ本日最後の縄文遺跡は、入江・高砂貝塚。その中間にある貝塚館でまず見学。

縄文晩期の土偶。土偶にはどうしてこのような口を開けたタイプが多いのかしら。
高砂貝塚から出土した女性の骨。出産のトラブルで胎児とともに亡くなったと説明文。
高砂貝塚公園にはエゾミソハギが咲いていた。
高砂貝塚公園。復元竪穴式住居は、骨組みだけにして内部が見えるようにしてある。
高砂貝塚公園から400mほど離れた場所にある、入江貝塚。
貝塚にはイルカの骨も埋まっている。

本日の見学予定をすべて済ませて、宿へ。その前に長万部でセイコーマートへ寄って飲み物を調達。今夜の宿は二股らぢうむ温泉。明日の天気予報は雨。目的の山は籔など多く、そもそも登る人も少ない。危険回避のため登山は中止と決定。

現在の建物は平成になってからのもの。
玄関先に痩せこけたキタキツネが4頭、うろうろしていた。

初めて二股ラヂウム温泉に来たのは35年前のこと。当時の写真がこちら。

かつては、このドームが象徴的だった。
35年前にも玄関にキタキツネがいたが、丸々と肥えていた。
ドーム型の浴室はなくなったが、その左上の石灰岩の天然ドームは現在もある。

17時半から夕食と言われ、温泉は後回しにして食堂へ。

夕食。缶ビールは自販機で350円。
大浴場は混浴。右手にプールと露天風呂がある。

風呂上がり、部屋でビールなど吞むが、エアコンもなければ扇風機もないのが辛い。幸い12畳の角部屋なので、2方向の窓を網戸にすれば風は入るのだが、暑い。さらに虫も寄ってきて、結局、電気を消して吞むことにした。

長万部のセコマで買ってきた金滴の新十津川特別純米。まずまず旨い酒。

寝る頃になって少しは涼しくなったが、寝苦しい一夜。が、明け方、激しい稲光と豪雨。思わず窓を閉めた。2時間ほどゴロゴロと遠鳴りが続いたが、やがて収まった。5時過ぎに温泉へ行くと、雷で目が覚めたというご同輩がひとり先客。

露天風呂はぬるめで気持ちいいが、昨夜はアブなどが飛び回っていて危険だった。朝はOK。
宿の朝食。予定通り登山するなら、朝ご飯はパスだった。
精算は自販機で。フロントで直接現金は扱わない、ということだが、徹底してるなあ。
今回、使用したレンタカー。新千歳空港から函館空港へ乗り捨て利用。

さて、山旅はなくなった。あとは縄文とその他観光だな。

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