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2024年6月 白神山地と縄文の旅1

花を求めて遠征するいつもの山仲間との旅。今年は、白神山地と、最近はまっている縄文遺跡を訪ねることとなった。そこで、かつて秋田勤務の経験があり、様々な人脈をお持ちのYさんにもメンバーに加わっていただいた。総勢5名。
羽田から大館能代空港へ飛んだ。この空港、初めて降りた。ナマハゲが出迎えてくれた。早速、レンタカーを借りだし、すぐ近くの伊勢堂岱遺跡へ向かった。

河岸段丘の上に大きな環状列石が4つ発掘されている。舌の先のような台地の端っこに位置していて、ストンと落ちた先には白神山地が横たわっている。

今から30年前、自動車道の工事中に見つかった縄文後期、4000年前の遺跡。大きな環状列石は200年をかけて造られたという。少し前までこちらの学芸員を務めておられたEさんの説明を聞きながら見学した。

環状列石と柱穴が見つかっている。環状に並ぶ石は近くの川から運ばれた。柱穴はいわゆる住居ではなく祭祀用の建物ではないかという。この場所全体としては、墓地および祭祀儀礼の場であったのではないかとの説が説明された。
特徴的な石の並べ方がされた一角。縦と横に交互に並べられている。小牧野遺跡の独特な配置にも似ている。

8年前に開館した展示館には土偶や土器などの出土品が展示されている。

一番有名な板状土偶。
余所ではあまり見かけない豊満な胸を強調した土偶が数多く陳列されていて興味深かった。また、完全な形で出土したものはほとんどなく、何らかの思いを託してわざと一部を壊したのではないかとの説もある。
笑う岩偶、と呼ばれている。凝灰岩を削って造られた。

さて、ランチタイム。最寄りの北秋田市街へ。あらかじめ「いな穂」という蕎麦屋をチェックしていたが、行ってみたら大人気店で順番待ち。駐車場の車の中で待っていると呼んでくれる仕組み。

この店は、蕎麦と比内地鶏をウリにしている。両方が食べられるランチセットのミニを注文した。上の写真の後に、親子丼が運ばれてくる。蕎麦も旨かったし、親子丼も美味しかった。1480円。

次に向かったのは、こちらは古くから知られる特別史跡、大湯環状列石。

大湯ストーンサークル館。こちらは、先に展示物から見学した。
伊勢堂岱遺跡と違って、こちらは出土遺物が大変多い。土器も多いが、珍しい独特の形状をした、装飾付台付土器。

見学しようとしたら、地元女性のボランティアガイドさんが案内してくれた。こちらには、2つの大きな環状列石がある。野中堂環状列石、万座環状列石。時代的には伊勢堂岱遺跡と同じ、約4000年前。

外側の環状列石と内側の間に、日時計状組石がある。伊勢堂岱遺跡と異なる点は、あちらは様々な石が使われていたが、こちらは緑色の石にこだわって、遠くの川から運んできたという。石英閃緑ヒン岩。ここも墓地の役割を果たしていたと考えられている。
日時計状組石は、方角を示す役割。大きな円の中心から日時計状組石を見ると、その方向に夏至の夕陽が沈むという。雷雲が近づいていて、ゴロゴロ不気味な音が迫っていた。かろうじて、降られずに済んだが、車に乗った途端、激しい雨となった。気温は30℃近く、東北とは思えないお天気。6月だよ、まだ。

今夜の宿は、藤里町のゆとりあ藤里。3セク経営みたいな宿。もとはといえば、当初の計画では、白神山地内の駒ヶ岳に登るつもりでそのベースのつもり。が、登山口へ通じる道路が通行止めになっているとの情報により、登山は断念。せっかくの機会なのでそのまま泊まることにした。そもそも一般的に、白神山地とは具体的にどこを差すかというと曖昧。1000mちょっとの峰々の集合体、しかもどこか象徴的なポイントがあるかといえばそれもない。観光的に強いて言えば、暗門の滝か、十二湖あたり。でもそれじゃちょっと違う。分かりづらい世界遺産なのだ。
宿の前に世界遺産センターがあるので寄ってみたが、たいした展示内容ではなかった。

白神山地世界遺産センター藤里館。建物は立派だった。

その裏手の高台に、立派な宿が立っていた。温泉大浴場で汗を流して、缶ビールで乾杯。コンビニはないので、近くのスーパーで買い出ししてきた。そして、夕食。Yさんの手配で、近所にお住まいで地元の山岳ガイドもされてきたSさんにも同席してもらうことに。

実は料理はたいしたことない、と以前に宿泊したことがあるYさんから聞いていたが、去年、料理長が替わったとのことで、地元食材をふんだんに使い、それを一手間も二手間もかけた素晴らしいご馳走が次々登場してきて、嬉しい誤算だった。左はぜんまい煮付け、中上はイワナ刺身サラダ(ジュンサイ入り)、右上はミズ、そして中央下は白神ラムたたき。

白神で美味しいラムを食べられるなどとは思ってもいなかった。感激。

秋田錦牛の麹味噌焼。これも旨かったなあ。他には揚げたてのマイタケや嶽きみの天ぷら、茶碗蒸しなど。
日本酒はトレンディーな酒造りで人気の山本酒造の白神のめぐみ純吟。

予想外のご馳走に続いて、Sさんが手造りの山菜を差し入れして下さった。これがチョー旨い。

太いワラビは味噌でいただく。
ミズのたたき。これが一番人気。味噌などの調理用と一緒に山菜のミズを細かく叩いた一品。無限に酒を飲めそう。
次の日本酒は、湧水の町、六郷で仕込む春霞純米。これは旨口の名酒。
〆はきりたんぽ鍋。これまで食べたどれよりも美味しいきりたんぽで、正直驚いた。

いやあ、山菜が美味しかっただけでなく、Sさんの話がめっちゃ面白かった。白神の山の話、土地の旨いものの話などなど、大盛り上がり。ありがとうございました。
で、部屋に帰って、さらに軽く吞みの続き。

こちらはイマドキの吞みやすく香り高い酒。すいすいいける。

途中で一番若いW君は爆睡。
翌朝、いつものごとく早朝に目が覚め、朝風呂へ。

地元の皆さんは日帰り入浴で利用している温泉。他にトレーニングジムやプールもある。温泉はナトリウム・塩化物硫酸塩温泉。ツルツル系で温まるお湯。

朝ご飯は一番乗りで食べ、早めの出発。いい天気。

こちらが、ゆとりあ藤里。右の車が今回のレンタカー。2日目まで5名で荷物も多いため、いつもより奮発している。

宿のすぐ近くに大イチョウがあるというので見に行った。

権現の大イチョウ。脇に田中神社が立つ。

今日は暗門の滝へ向かうが、本当なら峠越えでまっすぐ北へ行けるはずが、道路が通行止め、そのためぐるり大館から弘前へ回り込んで、西へ入る感じの大回りルート。

弘前郊外、西目屋村の白神ビジターセンター。ここで、白神ラインなど道路状況の最終チェック。

さらに白神山地方面へ向かう。

暗門の滝の起点はアクアグリーンビレッジANMON。脇に小さな社があったので、仁義を切ってお詣りした。

暗門大橋を渡って、いよいよ暗門の滝方面へ。入口で協力金を払い、貸しヘルメットを着用。

暗門川を遡るように歩いて行く。向こうから高校生の集団が戻ってきた。
川沿いの緑濃い、気持ちのいい遊歩道を歩く。
カラマツソウ。
エゾスジグロチョウ。
蛇行する暗門川沿いに道は続く。
サルがいた! クマは出てこないでね。
水辺にカワガラス。

暗門の滝は、第一から第三まであり、普通に行けるのは第二まで。

高さ26m、第二暗門の滝。左上の方にニッコウキスゲが咲いている。
滝壺の上に咲くニッコウキスゲ。
第三の滝からさらに遡って、第二の滝。こちらは37m。ストレートに落ちている。
記念撮影。

第二まで戻り、軽くお昼を済ませて、戻る。途中からブナ林散策道へ。

ランチタイム。
全員集合。ヘルメット着用。
ブナの花。これまでにも見ていたが、はじめてブナの花と認識できた。
オニシモツケ。
ブナ林は空気も美味しく感じる。
ギンリョウソウ。
こんなイタズラが残されていて悲しい。数十年前に彫られた感じかな。
出口まで戻ると、美味しい水が待っていた。

白神ラインは津軽峠まで行けそうだったので、行ってみることにした。旅に出る直前に、象徴的な存在、マザーツリーが枯死したというニュースが流れた。

これが枯死したマザーツリー。樹齢400年だったという。
近寄ることはできなかった。
マザーツリーが枯死しても、路線バスは運行されていた。目当てがなくなってしまったのだから、乗客はいないのじゃないのかしら。
世界遺産の核心エリア方面を眺める。これが一番、白神らしい景色かもしれない。

弘前へ向かう途中、道の駅でハチミツかけ放題のソフトクリームを食べた。甘くて美味しい。

道の駅津軽白神ビーチにしめや。生ハチミツをトッピングし放題。

さて、今夜の宿は弘前市内だ。



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