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KEYAKIイズムの継承 ~欅坂46からの系譜⑥~

 10月22日、守屋茜さんと渡辺梨加さんの卒業が発表された。
 欅坂46時代から、一期生として、グループを支えてきてくれたメンバーなので、正直、寂しい思いがしてしまうのは、仕方ないだろう。
 梨加さんなどは、30歳になってもアイドルを続けると言っていただけに、早すぎる卒業と感じてしまうのであるが、年齢的なことを考えると、次へのステップへの切替時期として、ちょうどよいのかもしれない。
 どちらにしても、お二人には、卒業後も幸せになっていただきたいと願うばかりである。

 ニュースを聞いてから、二人が参加しているユニット曲を聴いたり、最近のインタビュー記事を読み返したりしていたのだが、二人の発言からは、直接、卒業につながるようなものは余り感じられなかった。
 そんな中、欅坂46のメンバーとして、「どのような心持ちでパフォーマンスをしてきたのか」話している部分があった。
 以前から述べている、TAKAHIRO氏が指導してきたパフォーマンスをする上での心得え(=KEYAKIイズム)が、どのように伝わっているのか、知ることができたので、少し述べてみたい。

守屋茜
欅坂って、ほかにはないカラーがあって〝らしさ〟もハッキリしていたから、新しいグループになる以上は違った強みを見つけなきゃいけないなって、私は思っていました。
それまではパフォーマンスのかっこよさだったり、作品性が際立っていたっていうのがあったと思うんですけど、単にグループの名前だけを変えて、でも中身は継続っていうわけにはいかないだろうなって。

~ヤンマガWeb『櫻坂46・守屋茜10000字インタビュー』より

 以上のような発言から、しっかりと、彼女たちが「KEYAKIイズム」を実感しながらパフォーマンスしていたことがわかる。それだけに、それを変えていくために、大変な覚悟でのぞんでいたことも伝わってくる。

守屋茜
リニューアルしたばかりのときは、誰も、何が〝櫻坂らしさ〟なのかが分からないじゃないですか。むしろ、それが何なのかを探って、みんなで作りあげていこうっていう形での再スタートだったので、ほかのグループにはない、私たちだけのものを確立するには、そういう新しいシステムも受け入れていかなきゃいけないなって思ったんです。

~ヤンマガWeb『櫻坂46・守屋茜10000字インタビュー』より

 上の発言から、現在の「櫻エイトシステム」が運営主導で進められていることが確認できる。
 欅坂46時代の「一人のセンターでパフォーマンスしていく」スタイルと比較して、考え方や見せ方を変えていく必要があったことから、本人たちも試行錯誤しながら楽曲に向き合っていたことがわかる。

 欅坂46のような全員パフォーマンスではなく、「櫻エイト」と3組の「BACKSメンバー」の融合でパフォーマンスするスタイルとなったことで、楽曲すべてに全員が参加することは無くなった。
 そのため、どうしても、参加しない楽曲に対しては、積極的に取り組む姿勢とはなりにくいのだろう。
 運営としては、そのような場面でも、しっかりと不参加の楽曲についても、振りを覚えたり、どんな意味合いでパフォーマンスをしているのか、互いに教え合ったりすることを期待したのかもしれない。しかしながら、元々、人見知りが多いことや自分が参加しない楽曲の参加メンバーに対する遠慮などから、メンバーたちが教えあうという雰囲気とはならなかったのだろう。
 そこで、『BACKS LIVE!!』という企画が与えられる。
 しかも、TAKAHIRO先生から直接指導される形ではなく、メンバー同士で教え合うスタイルとなったことで、難易度は一気にあがった。お互いに手探り状態で、少しずつ振りを完成していくのだが、ライブの開催日は決定していることから、日にちが近づくにしたがって、だんだんと余裕がなくなってくる。このように追い込まれた形で、一期生も二期生もなく、ライブに向けて、ものすごい集中力で仕上げていったようだ。

守屋茜
誤解を恐れずに言うと、最初に動画を見て自分たちで振りを覚えるって聞いたとき、よく動画で上がっている〝踊ってみた〟と同じ方法で、私たちもやらなくちゃならないのかって思ったんです。
それに今までは、振りの一つひとつに意味があって、そこに込められた思いや熱意を理解しながら踊りを身体に染みこませていくっていう感覚だったので、単に動画を見て覚えたものを、お金を払ってくださったお客さまに見ていただくのはどうなのかなって、納得できなかったというか。

~ヤンマガWeb『櫻坂46・守屋茜10000字インタビュー』より

 オリジナルメンバーに、楽曲に込められているメッセージや思いをしっかりと聞きながら、楽曲との距離を近づける作業が繰り返されたようだ。そのような作業の中で、自分たちが参加していなかった楽曲に対しても、振りや歌に対するグループ内の温度差が無くなっていったことがわかる。

守屋茜
技術的なことも大事だけど、気持ちが入ったパフォーマンスこそが、見ている人に届くっていうことを改めて実感できたのが大きかったです。
どれだけ練習を積んでも、いくら振り固めをしても、メンバー全体の内から出てくる思いがなかったら、ただ見せているだけに過ぎないんだなって。

~ヤンマガWeb『櫻坂46・守屋茜10000字インタビュー』より

 さすが6年にもわたって、TAKAHIRO先生のもと、レッスンを積んできただけのことはある。パフォーマンスの真髄を、しっかりと体得している発言である。

 このように素晴らしいものを体現できるメンバーが、いなくなってしまうことは、櫻坂46にとって大きな損失となるだろう。
 これからの活動の中で、彼女たちが得てきたものを存分に発揮してもらいたかったのだが、お二人のことなので、卒業までの活動期間で、しっかりと後輩たちに伝えてくれることだろう。

 12月9~10日に開催される『1st YEAR ANNIVERSARY LIVE』が、彼女たちのパフォーマンスが観られる最後の機会である。その美しい姿を大いに堪能し、心に刻んでいきたい。



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