受けた愛を活かす時 ~【櫻坂46】理佐さんが残してくれたもの~
6月に入り、リアルに「五月雨」の季節となった。
先月は理佐さんが卒業するため、さまざまなイベントが目白押しだったのだが、6月に入って、少し落ち着いた印象がある。
それでも、5月に沢山の機会が設けられたことで、今までは、余り語られてこなかった理佐さんの人柄と生態が、ほんの少しではあるが解禁され、改めて彼女の素晴らしさが世間に知られるきっかけとなったのではないだろうか。
彼女の1st写真集のタイトルではないが、どちらかと言うと余り多くを語らずに背中で後輩たちを引っ張っていく姿を勝手に想像していただけに、二期生たちの話を聞けば聞くほど、全く真逆であったことがわかる。
メモリアルブックやライブでの話などを総合すると、話す相手に合わせる形で、タイミングや話し方、話す内容を巧みに変えながら、その人に一番刺さる言葉で、自分の思いを伝えていたのが、理佐さんであったようである。
その言葉の奥に「深い愛情」があることから、どんな言葉であったとしても、相手に彼女の思いがしっかりと伝わっていることが、どのエピソードからも感じられるのが素晴らしい。
こんなことされたら、誰でも好きになってしまうだろう。
メンバーの皆さんの言葉や態度を見ていると、そんな「心の奥からの信頼」が、理佐さんに向けられていることがわかる。
理佐さんの「優しさ」=慈愛は、相手によって、異なった対応となって現れるので、理佐さんの本当の姿を見ることはできないのかもしれない。
それは彼女に近づけば近づくほど、顕著になるようである。
そして、その様子を人に伝える時に出てくる言葉は、「とにかく優しい」という一言となるのだろう。
4枚目シングルの特典映像にあったドキュメンタリーでも、登場する場面によって、印象がコロコロと変わってしまう。
このような彼女の「謎」要素は、「女優」適性と言えるだろう。
昨年ドラマ選抜として「ボーダレス」に出演することになった時、「ほとんど初心者のようなものなので、演技に自信が無い」と話していた。
彼女自身、練習の様子を人に見せるのが得意ではなく、少し完璧主義のきらいがあるため、自分が思い描いていたように演技できないと、本人が一番がっかりしてしまうのだろう。
それでも、そのような悩みを抱えたままでも、一流の俳優陣に囲まれた中で演技をしているうちに、少しずつ演技をすることの楽しさに目覚めたようである。
最初にグループで出演したCMで、浴槽の中で涙を流す難しいシーンも、あっさりとやっていたことが、ドキュメンタリーとして紹介されていた。
余り考え過ぎずに、要求されたことに取り組みさえすれば、意外に要求以上のことが出来ていたりするものである。
そもそも自分にオファーが来ていることを考えれば、その話が来ている時点で、制作側に一定のイメージがあることに気づくべきだろう。
そこでは、逆に自分の中にあるイメージの方が、その場にそぐわない場合が多いかもしれない。
あまり器用ではないが、一旦つかんでしまえば、誰よりも輝くのが理佐さんの凄さである。
加入してすぐの頃、「女優」の素質があることを亜門先生に指摘されていた藤吉さんに、ドラマの仕事がきたようである。
「偶然の答え」のMVでも、かなり難しい役柄を演じていたが、彼女がどのような演技をみせてくれるのか、今から楽しみにしている。
その魅力とポテンシャルゆえに、理佐さんから「惜しみない愛情」を受けてきた彼女が、これから大きく覚醒することで、グループがさらに魅力的になっていくことだけは間違いない。