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南阿蘇鉄道 熊本復興プロジェクト

南阿蘇鉄道線はJR豊肥本線の立野駅から分岐し、名前の通り熊本県の阿蘇の南側、南阿蘇村を通り、高森町の高森駅までを結ぶ17.7kmの路線。この路線も例にもれず国鉄の赤字路線の高森線を引き継ぎ、沿線自治体の出資する第三セクター会社の南阿蘇鉄道株式会社によって運営され今に至っている。

Googleマップの地形図を見れば阿蘇カルデラがはっきりわかる。

立野駅付近は阿蘇外輪山の切れ目にあたる白川が形成した渓谷で、深い渓谷を見下ろしながら進む。阿蘇カルデラに入ると阿蘇外輪山と阿蘇五岳を両側に望む阿蘇カルデラの底の部分を走ることになり、熊本市内まで流れる白川と、火山性地質によって湧き出す豊富な水源が広がる農村地帯を行く。

立野駅に着くと登場、サニー号トレイン。
立野駅は阿蘇の木材で作られた交流拠点になっている。
立野駅を出て少し行くと渡るのが第一白川橋梁。現役では大井川鉄道の関の沢鉄橋に次ぐ日本第2位の高さを誇る鉄道橋。
この第一白川橋梁は日本有数の高さを誇る鉄道橋。今あるのは地震でダメージを受けたため2022年に修復されたもの。
阿蘇山と言われるのは五つの峰を集合体。左手は手前の山で、右奥の尖ったところが烏帽子岳。阿蘇五岳は杵島岳、烏帽子岳、中岳、高岳、根子岳。
元 日本一長い駅名 南阿蘇水の生まれる里白水高原。読み22文字、表記14文字。
この辺りは水源だらけでこの線路の下の泉が寺坂水源
地震後はこの中松駅と高森駅間で先行復旧していた。
農村地帯が広がる、天気が微妙に悪いけど幻想的。
見晴台駅。上白石萌音が主演のKIRIN午後の紅茶のCM撮影駅。その結果駅の自動販売機が午後の紅茶オンリーになっているらしい(車内アナウンス情報)
高森駅。高森駅は駅が若干南に移動し駅直結の交流拠点ができている。
高森駅
これが2019年頃の高森駅駅舎。この頃から駅は交流拠点になっていた記憶。

JR豊肥本線の前身となる宮地線が熊本と宮地(阿蘇カルデラの北側)まで開業したのが1918年で、1928年に立野駅から高森駅までが支線として開業。その後、宮地駅が大分方面とつながり豊肥本線となり、支線だった部分が今の南阿蘇鉄道となる国鉄高森線となった。高森線も宮崎県側の高千穂方面へ延伸し、高千穂線と接続する計画もあったものの、難工事で凍結しされたまま、国鉄高千穂線も第三セクター化、さらに2005年の台風で不通となり復旧することなく2008年に廃線となってしまった。


配線となった高千穂鉄道の日之影温泉駅は駅に温泉がある。
2014年頃の高千穂鉄道、線路の撤去作業が進んでいる。

南阿蘇鉄道も道は険しく、記憶に新しい2016年の熊本地震で立野駅付近で甚大な被害を受け不通となってしまい、途中の中松駅と高森駅の区間だけの運行が続けられていた。地震による土砂崩れは凄惨なもので、地震前に熊本に住んでいたことがあり縁を感じている私もニュース映像で知っている景色が変わっていることに衝撃を受けたことを覚えている。

赤字路線ながら熊本県と国の支援のもと、立野駅付近で被害を受けたトンネルと橋梁を付け替える工事を実施し、2023年7月に全線復旧を果たせた。復旧に際して、線路は熊本県と国が支援する機構が保有・維持し、南阿蘇鉄道に無償で貸与して南阿蘇鉄道は列車の運行のみに従事するというスキームがとられている。

立野駅に停まる普通列車と熊本と大分を結ぶ九州横断特急。
豊肥本線の立野駅から赤水駅の区間では3段スイッチバックがある。
豊肥本線から見る新阿蘇大橋。後述の阿蘇大橋の代わりにかけられた。
豊肥本線から見える阿蘇大橋の震災遺構。地震の地滑りで崩落し、通行中の車が巻き込まれた痛ましい現場として碑も遺されている。
南阿蘇鉄道の第一白川橋梁から見える橋が複雑に入り組む渓谷。手前から阿蘇長陽大橋、新阿蘇大橋、奥の赤いのが南阿蘇橋。
立野ダム。地震の前どころか昭和の時代から建設が続いている。熊本市内中心部も流れる白川が氾濫しないように大雨の時に貯水するためのダム。熊本中心部は白川が地面より高いところを流れているので、堤防を越えると水が抜けなくなってしまう。

今回乗車したのは復興プロジェクトの一環として企画されているサニー号トレインでした。これは熊本出身のONE PIECEの作者 尾田栄一郎が熊本地震の復興のため多額の寄付を行ったことをきっかけに、熊本県が企画を推進しているもの。目玉としてはONE PIECEのキャラクターの銅像を各地に設置しして観光周遊を促進するなど、今回のサニー号トレインもルフィが乗る海賊船をモチーフに、南阿蘇鉄道の復旧から1年間の運行が計画されているよう。週末祝日の昼間を中心に運行されていて、これを狙ったわけではないのだけど、たまたま立野駅に行ったらこいつが居た。正直私もONE PIECEは別に好きなわけではないけども、オタク向け作品ではないので万人が知ってるし、外国人にも知られているし、家族連れも沢山集まっていたので成功だと思う。この日は韓国人ツアー客が利用していて、駅員が韓国語の放送までしていてすごい力の入れようだなと。あと県と集英社が全面バックアップなので、そこいらのラッピング車両とは別次元のクオリティです。元になったMT-3010系は1990年代製造の新潟鐵工所(現新潟トランシス)の気動車で、短距離向け1両編成対応のレトロな外観、今回のラッピングにも最適だったのかと。

ちょっとお茶目な尾田栄一郎くまモン
漫画のシーンなどが各座席に。1枚絵だとシュールなコマもうまく使っている印象。
ゴムゴムの実が網棚に。ちなみに麦わら帽子は自由にかぶれるようになっている。
高森駅。フランキーの像が駅前に。
田中真弓さん寄贈のワンピース全巻。
高森駅は漫画家の寄せ書きの展示もある。
熊本県庁のルフィ像。ここからワンピースコラボがスタート。
熊本駅でも南阿蘇鉄道のサニー号トレインのPRが行われている。

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