アイビスサマーダッシュ 3ステップ考察(予想から回顧まで)
この投稿はGⅢ アイビスサマーダッシュを考察した記事です。来週明けまでのあいだ、有力馬考察・馬券予想・レース回顧の3ステップにわけて更新していきます。これまでおなじようなかたちでGⅠの考察記事を投稿していましたが、それの簡易版だと思ってください。
1:有力馬考察
★モントライゼ(1番人気想定)
ガルチとストームバードの米国気質を活かして向こう見ずに突進。苦しくなってからは、ハイトオブファッションとササフラの欧州スタミナを振り絞って、根性で耐え抜く特攻型の脚質です。体質を柔らかくほぐすような血がほとんど入っておらず、重戦車のような雰囲気を纏っています。ゆったりと走ることができないぶん、短い距離のほうが向いている印象です。
スプリンターの構成としては悪くないものの、頑丈さが強すぎるゆえ、スピードの持続性はやや乏しいのではないかとも感じます。このレースはコーナーがないぶん、トップスピードに上がったあと全力のまま長く走り続けなければなりません。そこで良さが出るタイプかと言われると、ちょっと微妙かなという思いはあります。
★ライオンボス(2番人気想定)
牝系を遡るとセックスアピールの血にたどり着く馬ということで、実はアーモンドアイの遠い親戚にあたります。しかも直接クロスで増幅している点まで一緒ですね。
本馬はワンペース気質が強く、コーナリングでの加速・減速は不向き。またチークピーシーズを着用しているように、エンパイアメーカー系の馬らしい揉まれ弱さを感じるタイプでもあります。そういう意味で、小細工抜きにトップスピードでひたむきに走る千直競馬が向いているのかもしれません。
千直ではこれまで4勝2着2回と完璧な成績でしたが、前走の韋駄天Sで初めて9着と大敗を喫しています。これをどう捉えるかでしょう。近走はやや先行力に欠ける面がみられるので、年齢的な衰えはあるかもしれません。そしてもうひとつ、前走の新潟は例年と違って馬場が重かったというのも要因ではないかと感じます。本馬はセクレタリアト5×5のクロスや、2代母の父にあるシアトルスルーなどの影響により、「ボールドルーラー×プリンスキロ」血脈由来の軽快なスピードで走ります。高速馬場のほうが高いパフォーマンスを発揮できるのではないでしょうか。
★タマモメイトウ(3番人気想定)
エイシンフラッシュ×メジロライアンという、どうみても中距離然とした配合の馬。にも関わらず、初めて千直競馬に挑戦した前走・韋駄天Sを14番人気で勝ってしまうのですから、競馬って面白いですよね。母系の奥にはスピード血統が入っており、母のチャームアンサーは未勝利ながら1200mを中心に走っています。本馬は母似なのでしょう。
母似なのはこれだけではありません。注目は母がもつオリオール5×6のクロスです。オリオールはスタミナに優れた血。苦しい場面でも踏ん張れる底力が持ち味ですが、タマモメイトウ自身もそれを8×6・7と継続してクロスすることで、その資質を引き継いでいます。このオリオールが本馬における主戦分と言っていいでしょう。韋駄天Sは例年より重い馬場+稍重の影響で、過去8年でもっとも遅い時計で決着しています。軽いスピード勝負ではなく、タフなレースでこそ真価をみせるタイプだと思われるので、当日の環境を見て評価を考えたいところです。
2:馬券予想
◎ビリーバー
これまで千直競馬は3度の挑戦経験があります。このうち外枠+軽い馬場のスピード勝負となった20年のアイビスサマーダッシュでは3着と好走。一方で内枠+渋った馬場のパワー勝負だったルミエールオータムダッシュと韋駄天Sでは、それぞれ6着、7着に凡走しています。父方に3本のサーゲイロードを内包する牝馬なので、あまりタフでないほうが走りやすいのでしょう。今回は天気予報を見るかぎり雨は降らなそうですし、枠も13番と外側に入りました。条件的には3着になった昨年に近いので、好走を期待します。
余談ですが、祖母のドリームスキームはロジクライの母・ドリームモーメントの全姉。つまり本馬とロジクライは親戚関係です。ロジクライは取り消しになってしまいましたが、そのぶんこちらに奮闘してもらいましょう。
○ライオンボス
▲グレイトゲイナー
△ヒロイックアゲン
3:レース回顧
今年は2月の震災の影響で4月の福島競馬が中止。新潟での代替開催となりました。このときは芝の育成が遅れていたのか馬場が非常に重く、新潟らしからぬタフな競馬が頻発しています。ところが2ヶ月空けてスタートした夏開催は馬場が一変しており、例年どおりの高速競馬が復活。馬場造園課の技術って凄いですよね。
オールアットワンス(1着・1番人気)
終始手応えがよく、道中の行きっぷりも、追い出しのタイミングも他馬より余裕があるように見えました。馬格がない馬なので、51キロの軽斤量も力を発揮しやすい要因になったようです。
ライオンボス(2着・2番人気)
タマモメイトウ(7着・4番人気)
アルミューテン(10着・12番人気)
ロードエース(15着・5番人気)
韋駄天Sの掲示板組がいずれも大敗したのとは対照的に、ライオンボスは軽い馬場を味方につけて復活。やはりあのレースは条件が特殊だったのかなという気がします。
バカラクイーン(3着・14番人気)
4月の新潟はBコース開催だったため、Aコース・内ラチ沿いの芝は良好な状態のまま、今開催から初めて使用されています。外ラチに集まるアイビスSDでは大勢に影響はないと思われましたが、その盲点をついたのが本馬。最内枠に入ったことで、大外の良いポジションをとるのは厳しい状況だっただけに、この発想は見事でした。
ビリーバー(11着・7番人気・僕の本命😢)
これは素直に力負けという感じですね。条件としては3着になった昨年に近く、悪くなかったとは思いますが・・・。6歳の牝馬なので肉体的な影響もあったかもしれません。
オマケ:血統ワンポイント解説
ディープインパクトは父としては強力な切れ味を伝えましたが、母の父になると重厚さが濃くなります。母の父ディープ産駒の重賞勝ち馬を見ると、キセキ(菊花賞)、アリストテレス(AJCC)、ステラヴェローチェ(サウジアラビアRC)など不良馬場のレースを勝った馬や、ファンタジスト(京王杯2歳Sなど)、ハッピーアワー(ファルコンS)、ルークズネスト(ファルコンS)などの短距離馬のように、パワーを活かしたタイプが多いのが特徴。ディープらしい切れ味を受け継いだ正統派(?)はあまりみかけません。
その影響などもあって、牝馬の成績はやや低調ぎみ。これまで重賞勝ち馬が出ておらず、オールアットワンスが初めての重賞勝利となりました。まさか第1号が千直競馬とは思いませんでしたが、これもある意味では母の父ディープらしさと言えるかもしれませんね。
※母の父ディープインパクトの配合論については以下の書籍もご参照ください