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カレーライスと帰る場所。

水曜日の夜。
SNSをぼーっと見ていると、気になる投稿を発見した。

「明日は、トマトカレーを作ります」

私は自分でカレーを作らない。量がたくさんできて、冷凍庫がカレーだけでパンパンになってしまうのが嫌だから。

私の大好きなカフェでカレーが食べられる。そんなの、行きたいに決まってる。

***

木曜日。
卒業したゼミのお手伝いの日。今日はフィールドワークだったから、いつもより早く終わった。よっしゃ、カレー食べに行けるぞ。このカフェはウチのゼミでは知っている人も多いので、何人か誘って駅へと向かった。

19:00
時間ピッタリにカフェに着く。が、なぜか「CLOSE」と書いてある。もしかして貸切予約が入っていて、カレーはそのためのメニューだったのだろうか。

どうしよう。。。と思っていると、お店の扉が開き、「今日は定休日なんですけど、〇〇食堂というのをやっていて。カレー食べますか?」と店の中から人が出てきて教えてくれた。よかった、カレー食べられる。

今日のカレーは、公式に告知してるものではなく、たまたま来た人や個人でつながっている人、以前来たことがある人に向けてこっそりやっているものだったらしい。

お店の中にはすでに何人かいて、私たちが着いた後も何人かやってきた。カレーは自分で盛る。甘口、中辛も自分で選ぶ。そして、それぞれが好きなタイミングで食べ始める。

「美味しいですね」
「甘口はひき肉の味がしますよ」

食べものから自然と会話が始まる。そのうち、「どこから来たんですか?」「ここはよく来るんですか?」と少しずつ広い話になる。コミュニケーションが自然でホッとする。

階段でこどもと話していると「お仕事は大学関係なんですか?」と先程は話していなかった人から聞かれる。他の人と話していたことも、うるさくないお店の中だと聞こえるみたいだ。いろんな人とゆるゆる話す。

気づけば、もう2時間も経っていた。
ここから家まで着くのに1時間はかかるし、明日だって仕事はある。でも、もう少しだけ、と思っているとあっという間に時計の針は進んでしまう。

***

「まちづくり」という分野で語られがちだけど。そうじゃなくて、もっと「あったかい場所に帰る」という感覚。

私、この感覚知ってる。
家族といるみたいだった。

無言でもいいし、話しても良い。リラックスして話す。

「さようなら」と「ごちそうさま」を言いあう。名前も連絡先も知らないけれど、またお店で会えるかもしれない。

そんな期待を抱きながら、駅へと向かった。

#エッセイ #カレー #コミュニケーション #カフェ




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