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『イエスはいかにして神となったか』

上記、春秋社から出版されている1冊です。
2012年6月25日初版発行の本です。

本の表紙です

わたしは、この本のタイトルを見たとき、他愛ない神学の入門書かと「勘違い」をしまして、図書館の蔵書で、書架にずっとあったのですが、それを手を取らずにいたのですが、つい先日、図書館で人と待ち合わせをして、その合間にやることがなく、何となく気が変わって、この本を手に取ってみたのです。

そうしたら「入門書」というのは大いなる誤解であったことが分かり、本書の第2部「複数のイエス」では、キリスト教の異端について分かりやすい論述があり、例えば目次に従えば…

  • ナザレ派ーイエスは同時に人であり神である

  • エピオン派-イエスはヨセフの息子、神の子ではない

  • エルカサイ派ー天使イエス

  • マルキオンーイエスがユダヤ人であったことを否定

わたしは「マルキオン」については、ハルナックの著作などで知っていましたが、他の異端に関しては詳しくなく、今回の読書が役立ちそうな予感、大です。
※「マルキオン」については、Wikipedia日本語版に記載があったので、そちらリンクを貼っておきます。

最初から、そうすればよかったのですが、本書の特徴は「目次」だけでも、かなり伝わると思うので、上記は「トピック」として「ご留意」頂き、以下、目次を引用しておきます。

第1部 同時代の人々から見たイエス(紀元1世紀)
第1章 史料集
第2章 逆説の人
第3章 特異な存在
第4章 超自然的な人物
5章 ユダヤ教聖書の成就 -「人の子」-
第6章 ユダヤ教聖書からはみ出る「神の子」
第7章 後世の論争の発端

第2部 複数のイエス(2~3世紀)
第1章 異教の地でのキリスト教徒
第2章 一つの革命、ヨハネと神の言
第3章 神なる人についての疑問
第4章 ユダヤ人キリスト教徒の新たな対立
第5章 グノーシス主義あるいは歴史的イエスと形而上学的キリストの対立
第6章 キリスト教正統主義教義の登場
第7章 静けさの前の嵐

第3部 神なる人(4~5世紀)
第1章 キリストと皇帝
第2章 ニカイアでの初めての公会議
第3章 アリウスの巻き返し
第4章 コンスタンティノポリス公会議、ある普遍的な勝利
第5章 ネストリウスと「神の母」
第6章 エフェソスの「戦い」
第7章 カルケドン公会議、キリストの二つの本性について

まず時代ごとに3部構成になっており、それぞれにおいて「イエス」理解が、どのように変遷していったのか、そのキリスト教思想史的概略を追いかけられる記述内容となっている本でした。

ちょうど、アウグスティヌスという古代ラテン教父を調べ始めているところで、彼の生きた時代までの間に、どのような「イエス」への神学的理解、その変化があったのか?は、押さえておきたい知識だったので、結果、良い本と出合えました。

以上、短いですが、読書記録を終わります。


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