『三体』を読もう!▶KURI
これから『三体』を読みたい!と思っている方へ。
『三体』を読む前に知っておくと、より楽しめるポイントを私なりに考えてみました。よろしければ参考にしてみてください。
SF小説をあまり読まない私が解説しているので、他のSF作品との比較や類似点などは語れないのですが、『三体』は大変面白い小説なのでたくさんの方に読んで欲しいと思い、勇気を出して筆を取りました。
そんな私の個人的な考察になります。本書を深く掘り下げて知りたい方は専門家の解説を参考にしてくださいね。
『三体』の内容にはふれず、ネタバレなしです。
◆著者である劉慈欣は本書『三体』で何を描きたかったのか?
おそらく「フェルミのパラドックスに対する著者なりの答え」だと思います。フェルミのパラドックスとは、地球外に文明がある可能性は高いと思われていますが、なぜ我々地球人は今までにその文明との接触がなかったのか、という矛盾をさします。
簡単に言えば「私たち地球人は、なぜ宇宙人に会ったことがないのか?」ということです。著者は『三体』を通してこの問いに答えています。読み進める中で中心軸として抑えておいてください。
◆登場人物の役割(キャラクター分け)がはっきりしている
『三体』は長編小説のため、たくさんの登場人物が出てきますが、登場人物のキャラクターがわかりやすく分類できると思っています。各シーンごとの主人公、物語のキーマン、味のある脇役、など、頭の中で整理しながら読むと楽です。
◆読んでみると意外に暗い雰囲気の小説
全巻において『三体』のテイストはエンターテイメントSF娯楽小説なのですが、アメコミのような底抜けに明るい印象はなく、どちらかと言うと悲哀といった暗い印象が残ります。
華文小説ならではの世界観なのでしょうか。エンタメだと思ってラテン系の元気な内容を期待すると、期待外れのような気持ちになります。
◆作中の物理学や天文学などの専門的な内容は理解しなくても楽しめる
作中の物理学や天文学などの専門的な内容は大胆に読み流しても『三体』は十分に楽しめます。専門的な内容を理解することは潔くあきらめて、罪悪感を持たずに読み進めるのが良いかと思います。
作中の専門的な内容は、理論上は正しく筋が通っているようです。仮説も含めて極めて完成度が高い作品として評価も高いようです。そこが『三体』の読み応えのある人気のひとつのようですが、この本の難易度を高めていることは確かです。
以上、壮大なスケールと単純なストーリー、愛すべきキャラクター、仮説と真実が絶妙に入り交じりつつも理論上は正しく筋の通った物理学や天文学。
『三体』は胸焼けするくらいの情報が詰まっていますが、どのシーンも儚さや美しさ、ギャグセンスも感じつつも程よく抜け感もあるため、全3巻・5冊のボリュームでもスイッチが入れば一気読みできるはずです。
そんな盛りに盛った超豪華!華文SF、それが『三体』です。どうか挫折せずに物語を楽しんで欲しいです。読んでいない方は是非ご一読ください。
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【投稿者】KURI