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どうしても長嶋有『今も未来も変わらない』の話を▶ナガオ

長嶋有といえば芥川賞作家、コラムニストとしてはブルボン小林の筆名で活躍されている方ですが、氏がポッドキャスト『採用ラジオ』で曰く、文庫化された『今も未来も変わらない』の売れ行きが「今後の作品が文庫化されるかどうかの分水嶺だ」と。

え、困る。困ります。だっておれ大好きなんです、長嶋有作品。もっと読まれてほしい、読み継がれてほしい!『今も未来も〜』も面白かったよ!というわけで、今日は私にこの本を推させてください!

もともとは雑誌『婦人公論』の連載小説だったそうで、主人公の星子は40代の女性。子育てがあり友情があって恋もあって、その通奏低音となっているのが「大人が楽しむ」というテーマ。

カラオケ、映画、遊園地と、作中には様々なレジャーが登場します。それらを主人公たちがただ受動的に享受するのでなく、積極的に楽しみに行く。

作中からひとつ例を挙げると、歌詞に「あぁ」や「AH」などのフレーズがある曲しばりの『あぁっていうカラオケ』。登場人物の選曲に「そうきたか!」「それがあったかー!」とニヤニヤしながら読みました。

この主人公たちの「楽しみがり」!日々悩んで忙しくてやるせない大人だからこそ、大人なりの立ち向かい方で生活を楽しんでいく。そしてそれをともに体験した若い登場人物たちが影響を受けていく一連の描写に、私はぐっときました。だよね、上の世代が楽しそうだったら、きっと下の世代もそこについていくよね!と。

この記事を書いているナガオは、性別は違えど星子と同じ40代、子とともに暮らしています。あれやこれやに追い立てられていた中でこの本を手に取り、読み、何かこれからの大切な指針を得たように感じたのでした。

ああ他にも長嶋作品には好きな本がたくさんあるんですよ。コロナ禍の子育ての細部を見事にすくい上げた『ルーティーンズ』『トゥデイズ』とか、あるアパートの歴代住人を描いた技巧あふれる『三の隣は五号室』とか。

しかし今はまずどうか『今も未来も〜』をお手に取って、レジへ!いつか読書会で感想を語り合いましょう!

【投稿者】ナガオ


本当に良い本がたくさんあるんですよ!

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