○○賞作品を読みますか?▶︎チャーリー
芥川賞とか直木賞、毎回話題になり、受賞者のインタビューがテレビのニュースで流れたりしますが、みなさん気にされてますか?
候補作や受賞作を読まれたりしてます?
直木賞、正確には「直木三十五賞」。現在の直木賞は中堅作家の「大衆小説」を対象としているそうです。
ただこの「大衆小説」、「大衆文学」というジャンルが微妙で、大衆に受け入れられている作品という意味であり、言い換えると新規のジャンルのものはまだ受け入れられていないという事で受賞しにくいそうです。
例えば推理小説は嘗ては候補にはあがっても受賞に至らず、80年代末になってから受賞作が増えていきます。
一方でファンタジーやSFは未だに受賞が難しいといわれており、実際受賞作もわずかだそうです。
今回の直木賞候補にあがりながら、惜しくも受賞を逃した作品に
「地雷グリコ」 青崎有吾作
があります。
これは射守矢真兎(いもりやまと)という、ちょっと脱力系の女子高校生を主人公としてゲームバトルを描くライトノベルです。
ただゲームといってもeスポーツではなく、もっとアナログです。
表題作の「地雷グリコ」は、みなさんご存知のグリコ・パイナップル・チョコレートです。じゃんけんをして勝ったらその勝ち手に合わせて階段を登っていく競走をする、アレです。
ただ、「地雷グリコ」は登る階段の特定の段に「地雷」を仕掛けることができる。
じゃんけんに勝って段を登っても、相手が地雷を仕掛けた段で止まったら10段降りなければならなくなる、それが「地雷グリコ」なんです。
何故、主人公の射守矢真兎がそんなゲームをすることになったのかは「設定」なので脇に置いて、このゲームで相手がどんな戦略を巡らせ、射守矢真兎はどう対抗するのか?というゲームのロジックの展開を楽しむ小説と言えるかもしれません。
表題作以外にも百人一首のカルタでやる「坊主めくり」と「神経衰弱」をミックスさせたもの、「だるまさんがころんだ」や「ポーカー」のルールを改変したものを使った物語が展開していきます。
作者の青崎有吾氏は鮎川哲也賞も受賞しているミステリー作家なので、どうやって勝つのか?読者は(射守矢真兎が勝つ理由の)何を見落としているのか?という推理をする推理味もある小説です。
さて、最初の質問、「候補作や受賞作を読むか?」に戻ると、候補作をこうやって読んでいる訳ですが、候補になったから読んだのではなく、面白そうと思って読んだらたまたま候補作だったという次第なので、ぼくの答えは「ノー」です。
こんなゲームバトル小説なんて、なかなか無いジャンルなので受賞は難しいからなのか、2024年上期は一穂ミチ「ツミデミック」が受賞し、「地雷グリコ」は受賞を逃しました。
ただ、本作品はそんなこと言いつつも、「本格ミステリ大賞(小説部門)」、「日本推理作家協会賞(長編および連作短編集部門)」、「山本周五郎賞」は受賞しているので、「候補作や受賞作を読むか?」はイエスなのかもしれません。
「どっちや!」というあなたの声を聞きながら筆を置きます。
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【投稿者】チャーリー
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