ショートショートの難しさ▶youco
ここのところ、読むもの・観るものファンタジーが続き、ちょっとミステリーが恋しくなったので、「道具箱はささやく」長岡弘樹・著を読みました。
長岡弘樹さんは、ドラマ化された「教場」のシリーズを書いてらっしゃる方です。私が初めて読んだ長岡さんの作品は、「傍聞き」でした。今回読んだ「道具箱はささやく」が、私にとっては10冊目の長岡作品です。
長岡さんの作品は、短編や連作がほとんどです。どの本を取ってみても読みやすいのではないでしょうか。ただ…率直に申し上げて、いやーな気持ちにさせられる結末のお話もちらほら。なので、このお話はどっちだろう?と、内容とは違ったところでドキドキします。(そこがまたハマる理由。)
今回ご紹介する「道具箱はささやく」は、なんと18篇ものお話が入っております。所謂ショートショートですね。
ここで私が一つ一つのお話を紹介していたら、本編よりも長くなってしまいそうなので、至極大雑把にご紹介していこうと思います。
などという前口上で、既に400字を超えてしまいました。長岡弘樹さんは約8000字でミステリーの起承転結を見事に書き上げているのに、なんという違いでしょう。ショートショートというものが、いかに難易度の高い創作か、今、身をもって体感しています。
書き出しの部分は、たいていがよくある日常のシーンです。5歳の女の子がお母さんに朝の身支度を手伝ってもらっているシーン。夏休み、家の中で遊ぶ子たちを母が叱るシーン。高級ブティックでのお買い物シーン…等々。
そんな日常の一コマから、謎を提起し、あるいは事件を起こし、オチをつける。これをたった8000字に収めてしまうのですから、素晴らしい技術です。
ミステリーというと、読者が犯人当てをできるように、推理材料をあらかじめ示しておく、という暗黙のルールがあるようです。
物語に一度も出てこない人間が急に、「私が犯人でした~」と名乗り出たら、推理小説になりません。
作者は様々な材料を並べて示し、読者はそれらから解決のヒントを探し、推理するのです。そこには伏線があり、謎を解くカギがあり、トリックがあり、ミスリードがあり…。
さて、どうですか?「道具箱はささやく」の内容にほとんど触れないまま、1000字くらい使ってしまいました。
過不足なく、短い文章で意図を伝える…これだけのことがなんと難しいことか。これを創作で成し遂げるのだから、やっぱり作家さんはすごい。
この、noteに投稿させていただくようになってから、自分の文章の分量というものを気にしてきました。今月でまる一年、月に3回の投稿で今回が34回目の投稿です。
400字詰め原稿用紙4枚以上5枚未満で書くというのがマイルールでした。内容に関しては、なかなかうまく書けたのでは?と思える時もあれば、伝わってないかもしれないなぁ、とか、面白くないかもしれないなぁ、などと反省することも多く。非常に勉強になる、貴重な一年間でした。
・・・なんということでしょう。本の内容にほとんど触れぬまま、文字数制限に近づいてしまいました。
「道具箱はささやく」や他の長岡弘樹作品については、またいつかの読書会でお話しましょう。
皆さまの参加を心よりお待ちしております。
横浜読書会KURIBOOKSー好奇心を解き放とう
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【投稿者】youco
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