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■第145回朝の横浜読書会レポート

皆さま、こんにちは。
朝の読書会(カフェ開催)のファシリテーターをしているyuuu_yです。

そろそろ朝夕に虫の音が聞こえてきましたね。
暑くても季節は過ぎているんだなぁと、しみじみ感じます。

さて今回は第145回の朝読(通称「あさどく」)の様子をレポートします。
■2024年8月18日(日)  10:10-12:00
■参加者10名(男性3名、女性7名)初参加の方3名

1.『天路の旅人』 沢木 耕太郎
⇒第二次大戦末期、中国大陸の奥深くまで「密偵」として潜入した西川一三氏の旅を書いたノンフィクションです。日本の敗戦後もラマ僧に扮したまま大陸を旅した様子は圧巻の一言。何度もヒマラヤ山脈を越え、生死の淵を彷徨い、現地の人々との温かな交流などのエピソードが盛り沢山でした。

2.『森があふれる』 彩瀬 まる
⇒こちらの本は英訳されて欧米でも発売されているそうです。
小説家である夫と妻の物語。小説家の夫に題材にされ本に書かれることで、人格と人生を奪われてきた妻が、あるものへメタモルフォーゼしてしまう・・・と、あらすじから奇想天外で面白い。夫婦とは何か?を考える良いきっかけになりそうな本です。


3.『優しい音楽 』 瀬尾 まいこ
4. 『天国はまだ遠く』瀬尾 まいこ

⇒瀬尾まいこ氏の2作をご紹介くださいました。
「優しい音楽」は短編集です。表題作の「優しい音楽」は、主人公の女の子が亡くなった兄に瓜二つの青年を偶然見かけ、親しくなっていくストーリー。風変りな出会いや奇妙なやりとりに惹き込まれます。最初は兄の代理として青年と接していたものの、ラストは優しい余韻に包まれる作品です。

5.『月夜の森の梟』 小池 真理子
⇒朝日新聞連載のエッセイを文庫化したものです。
小池真理子氏と夫である藤田氏とのエピソードや作家夫婦は死とどうやって向き合い、どのように過ごしたのかを小池氏ならではの美しい文体で表現されていて心に突き刺さるとのこと。ぜひ手にとって読んでみてください。

6.『パチンコ』ミン・ジン・リー(著)、池田 真紀子(訳)
 ⇒日韓併合下を時代背景とした韓国および在日韓国人を主人公にした小説です。戦争、差別、移民問題、国籍など重いテーマですが、登場人物の心情は現代と変わらずリアルに差し迫ってくる迫力がありそう。必読の一冊です。

7.『星界の紋章1 ―帝国の王女―』 森岡 浩之
⇒SF大作をご紹介くださいました。
未来の宇宙を舞台に、それぞれが背負う歴史や文化が異なる少年と少女が運命的に出逢い・・・という名作スペースオペラ。ファンタジー的な側面と、遥か未来の銀河系のスケール感が魅力たっぷりの本作です。


8.『君が手にするはずだった黄金について』小川 哲

⇒小川哲氏の連作短編集です。帯には「承認欲求の成れの果て」と書かれていました。
登場人物達は、青山の占い師、80億円を動かすトレーダー、ロレックス・デイトナを巻く漫画家・・・などなどヒトクセもフタクセもありそうな面々。
どの作品も虚構や虚飾、嘘、妄想がエッセンスとして入っているとのことで、著者を投影した(?)かのような主人公達の生き方にふれてみてください。

9.『今を生きる思想 ハンナ・アレント 全体主義という悪夢』 牧野 雅彦、ハンナ・アレント
⇒ハンナ・アレント氏はドイツのユダヤ系の家庭に生まれた思想家、哲学者です。ナチス政権が誕生した1933年フランスに亡命し、亡命ユダヤ人救出活動に従事。その後はアメリカへ渡り執筆活動をされました。
彼女はその生い立ちから、人々を分断し生活を破壊し尽くす「全体主義」に警鐘を鳴らし続けました。本作は彼女の思想がコンパクトに纏められています。

10.『もっと幸福な一日』 吉野 朔実
11.『令和その他のレイワにおける健全な反逆に関する架空六法』 新川 帆立

⇒「もっと幸福な一日」は可愛い絵本のような一冊でした。吉野 朔実氏のエッセイのようなポエムのような詩集のような内容です。一つ一つのページに書かれた文章に彼女の想いが詰まっている内容です。ご紹介された方は吉野氏のことが大好きで、彼女が2016年に亡くなってしまったことを大変残念に語っていらっしゃいました。

⭐︎朝読にご参加いただいた皆さま、ありがとうございました!


朝の読書会は日曜日の朝に、ゆったりカフェでやっています。自分の好きな本を、ただただ紹介するだけの自由な読書会です♪
一日の始まりに皆さんもご一緒にいかがでしょうか?

ぜひ朝読でお会いしましょう!


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【投稿者】yuuu_y


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