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近代文学を理解したい!(芥川龍之介編)▶youco

日本近代文学館へ行ってきました。
東京・目黒区駒場公園内にある、日本初の近代文学総合資料館です。
資料総数は約130万点(2024年3月現在)、そのほとんどが著者やそのご遺族、出版社などからの寄贈によるものだそうです。

…近代文学。様々な説があるものの、日本における近代文学は概ね明治以降の文学を指すようです。教科書に載っていたり、名作といわれる作品は、この頃のものが多いですよね。一度は読んどけ、みたいな。

もちろん私も、いくつか読んだことがあります。けれど、いまいち魅力を掴みきれていないのも事実。そこで、作品一つ一つへの理解を深めるために、“近代文学”というものをもうちょっと大局的に理解してみようじゃないか、と思ったのが、今回の来館のきっかけです。

今回私は、その膨大な資料の中から展示室に展示されている資料のみを閲覧してきました。(つまり展示室しか入ってません…膨大な資料の山へのアタックは、次回に持ち越しです。何しろ初心者ですから。)

展示室は2階なのですが、その前に「BUNDAN」という併設カフェでモーニングをいただきました。「文壇」の名の通り、作家や文学作品にちなんだメニューは、説明文も楽しめる凝った作り。『シャーロック・ホームズのビールのスープとサーモンパイ』『芥川(ブラジルコーヒー)』『ベーリング行き列車の紅茶』を注文しました。お食事が運ばれてくるまでの間、背後の本棚から太宰治の「グッド・バイ」を読んだりして。

ビールのスープは謎だらけ

さあ、すっかり準備は整いました。2階展示室では現在、「芥川龍之介展」が開催中です。

[原稿と初版本][蔵書][交友][生涯]の4部構成で芥川龍之介と芥川文学の全貌を明らかにする…というのがテーマです。ご遺族の寄贈された資料が主に展示され、芥川龍之介という人間は実在したんだ!という当たり前の事実に、改めて圧倒された次第です。

近世文学から近代文学への過渡期に翻訳文学が生まれ、芥川龍之介もいくつか翻訳作品を残しておりますが、驚いたことに芥川龍之介は、15歳から原書を読んでいたそうです。
彼が使用していた英英辞典が展示されていたのですが、鈍器本どころかとても持ち上げられそうにない厚さ(大きさはA4くらいでしょうか)で、その膨大なページ数の1ページ1ページには、「人はどれだけ小さい文字を読めるのか」の限界に挑戦した細かい文字が並んでいました。私、ルーペがあっても読めないかも。

この頃の文学者の多くは、一つの分野にとどまらず文化そのものを楽しんでいたのですね。芥川龍之介の創作した書画や掛け軸、俳句などが展示されており、本人にしてみればほんの手慰みに作り出したものもあるのかもしれませんが、そのさりげなさと構えの無さがますます人間の内部を吐き出した、むき出しの呼吸そのものだと感じました。内部に何かを内包している人間でなければ吐き出せない呼吸ですね。

特に、文化人の友と作った寄せ書きは、分野は違えど文化的・知的レベルの近しい同士が酒を酌み交わし、旅路での解放感を味わいながらわいわいと顔を寄せ合い書いたのだろうな、などと情景を想像し、楽しくちょっとうらやましく。

と、夢中になって芥川龍之介のほんの一部を語っていたら長くなりすぎてしまいました。

次の展示室は、川端康成記念室です。しかしそれはまた、次回の投稿で。

皆さまの参加を心よりお待ちしております。
横浜読書会KURIBOOKSー好奇心を解き放とう
~参加者募集中~

【投稿者】youco

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