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うつくしさとは▶りょうすけ

いつから他人の目を気にするようになったんだろう。
ふと、そんなことを自分自身に語りかけたくなる。
周りの声を気にしている人を楽にしてくれる作品です。

タイトル:うつくしい人
著者:西加奈子

会社で自分の中に迷いを感じ、退社し、現実から逃げるように島への旅行を決めた百合。
他人の感情に敏感な彼女は、その道すがら、関わる人々へ様々な感情を持ち、自分と他人の違いに苦しさを覚えながら、海景色がきれいなホテルに向かう。

そのホテルでの少し風変わりな人々との関わりを通して、少しずつ自分の中から重いものがはがれていく感覚に気づきはじめる。

この作品は、社会に馴染むこと、適応することを考えるあまり、世間一般の価値観にがんじがらめになってしまっている人の心を穏やかに、健やかにしていってくれます。

作中で、自分が大切にしたい、心に留めておきたい言葉を見つけることができたら。今よりも少し、周囲の声よりも自分の中の声を大切にできるようになっているかもしれません。


個人的には、あとがきの「自分で不幸になれる人は自分で幸福にもなれる」という言葉にグッときました。八方美人&考え込み人間な私にとって、
なるほど!!と目から鱗でした(笑)

そしてもう1つ引用したい言葉があります。
  
 「私は誰かの美しい人だ。私が誰かを、美しいと思っている限り」

誰かを美しいと思える感性がある人は、その人自身も美しい。
誰にどう見られるかじゃなくて、誰かを綺麗だと思う心があることが、
美しいということの定義である。
美しさとは、周りが評価して決まるものではなく、自分の中に芽生え、育まれるもの。
だから、ただ自分の心のままに、美しいと思える人やモノを見ていれば、
あなたが美しいと思っている人にとっての、美しい人でいられる。

それって最高だと思いませんか?
この気づきをくれた本作を読めて良かったと、心の底から思っています。

以上、西加奈子さんのうつくしい人の紹介でした。
最後までお読みいただきありがとうございました。

こんな感想を語り合ってみたいという方、ぜひ横浜読書会に足を運んでみてください。貴方に、ありのままの自分で話せる体験ができることを願っています。

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