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【#読書の記憶から19】自身のルーツ✖️地理的・血縁的視点から


『ふるさとの手帖 あなたの「ふるさと」のこと、少しだけ知ってます。』かつお(仁科勝介)

NDC:291.0(地理、地誌、紀行)

「日本の市町村1741をすべて巡る」という、とてつもない目標を達成した著者。
もちろん、離島も含む、炎天下でも、雪の日も風の日も記録した、全国・全市町村の旅の記録です。

わたしの、あなたの、何かしらの“ふるさと”の風景が、どこかのページに収められているはず。

ついつい、出身地、両親の実家、友人の転勤先、旅行で訪れたあのまち……どんな風景が写っているのか、楽しみで探してしまいます。

わたしの出身のまちの写真は、畑と(地元の富士山的)山をバックにした、なんてことない通学路の風景でした。
でもなぜか、じんわり胸にくるものがあるんです。

まちの写真は、散歩の一瞬だったり、公園の遊具だったり、少しさびれた店の軒先であったり。
その街がすぐにわかるシンボルが写っていることもあれば、まちの人でも何処が撮影地かわからないだろう写真も有り……。

各地の「観光名所」や「名産品」ではない“日常”が分厚いページに連なっていて、これが日本なんだなぁ…と広い視点・広い心になります。

巻末、索引のページに全市町村の名前とその掲載ページが紹介されていますが、それをめくるだけでも10ページ。本当にこれを全部!?と、改めて著者の旅の広さと長さを感じます。

旅を完結し、本を完成させたかつおさんの「はじめに」と「おわり」にの言葉がとても印象的でした。

あなたのふるさとが、明日になってもそっと幸せでありますように。
1741の日本の物語を、この一冊に込めて。

訪れた先々で出会ったわたし以外こそ、旅の主人公であった。それらを拾い集めるように写真を撮り、文章を重ね、『ふるさとの手帖』は出来上がった。わたしではなく、あなたのふるさとが、わたしの旅を完成させてくれた。あなたにとってのふるさとは、あなたがいなければ存在しない。だから、この本を読んで下さったみなさんも、わたしにとっては主人公である。


コロナも5類になって各地の距離が再び近づきだした今、改めて見返してみたい本です。


Q.『自身のルーツを辿る機会』とは。

・例えば、親族の死去に伴う相続手続き。

・もしくは地元の名主、創業者一族といった都合で家系図がはっきりと存在する場合。など

……でもどちらも日常的・一般的ではないかもしれませんね。

私は「幼い頃亡くなった、母方の祖母の生い立ちを辿ってみたい。」という小さな動機から、戸籍を取り寄せてみることにしました。

そこで参考に出会ったのがこの本です。

NDC:288.2(系譜[家系図])

ストーリーは主人公がふと公民館の家系図講座を受講することから始まり、

戸籍の辿り方、具体的な手続き、そもそも戸籍とは…?と、主人公とともに学べる1冊でした。

戸籍の説明、取り寄せ方、家系図の書き方など、大変丁寧に説明がしてあります。

戸籍には「従前戸籍」(「じゅうぜんこせき」=その戸籍が作成されるひとつ前の戸籍)が書かれているので、その本籍地の住所を辿っていけば、自身・両親・祖父母・曾祖父母…とルーツを知っていくことができるという仕組みになっています。

私の場合、戦争の時代を経て、母を含めて5人を産み育ててくれた祖父母。

実際には、その時代や当時の生活があったのか、養子となっていたり、本籍地を移動(=転籍)していたりして、うまく辿れていないのが実情なのですが……自身に繋がるルーツに遡って感謝したいと思ったのでした。

場所を変えて、時代を超えて、継がれていくこと、今自分もこの時代を生きているということ。

どちらの本も、私という存在を俯瞰的に見つめ直し、過去から未来へ想いを巡らせる機会になりました。

ついつい、今・目の前の生活時間でいっぱいいっぱいになってしまいますが、こういう感覚を味わう時間も必要なのかも、と感じています。

次は……

ならば私は
この社会と時代をどう生きる?

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