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【#読書の記憶から6】記録の意味と意義✖️私たちに訴えかけるもの

30代になって、『もっと“社会の仕組み”そのものについて知りたい』と思うようになった。

ネットのトップニュースをかいつまむだけじゃなくて、もっと “現状”や“当事者の声”により近づいて、知見を広げたいと感じることが増えた。

でもそのためには、ニュース番組では(ニュースの規模や内容が)おおまかすぎるし、新聞紙では紙面の制限が大きすぎる…。

そこで、ノンフィクションやルポタージュのジャンルの本を読むことが増えた。

1冊読み終わるのに時間もかかるし、リアタイと違って発刊や読了までのタイムラグは大きいけれど。

初めて知る事実が重すぎて、絶望に近い感情で度々本を閉じたくなることもあるけれど。

(そんな時はMook本や写真集を次に読むことにして、自分なりの読書と頭と心のバランスをとっている。)

テレビ等メディアで問題が指摘されている点以外にも、記録保管の実情や、記録に関する法整備の不足などが取り上げられています。

私は福田赳夫元総理のコメントが印象的でした。

-首相の記録はなぜ残す必要があるのかという問いに

『日本は民主主義の国だからだよ。(中略)
もうひとつは、日本のかたち、つまり歴史を残すことだ。』

この本を読まなかったら、福田元総理が「公文書の管理に関する法律」法制化に尽力したなんて知らなかったなぁ…。

目を引くニュースの大見出しや、コメンテーターの一言の印象だけでカッカせずに、しっかり一度自分の中に落とし込んで、冷静に事実を判断できるようになりたい。


とは言え、もちろん小説の世界から完全に離れたわけではない。

昔はただひたすらに、ストーリーや世界観に純粋に没入して読んでいたけど、いろんなことを含んだ読み方をするようになったのは、この10年のことかもしれない。

それは、自身の経験?環境の変化?
最近の社会情勢?話題のニュース?
読書に対する姿勢の変化もあるのかな…?


2020年7月15日、第163回芥川賞受賞作のこの本。

・公の施設を持たない個人の(による)記録の収集

・新しく記録されていく現状↔︎作中であっけなくも壊される記録

・主人公のもつ記録↔︎世界のどこかで保管される記録

・その土地と歴史と文化がもつ記録

・記録の“形“そのもの……

なんだか、作中のいろんな“記録”に関する場面が、私の中でいろんな事柄と結びついて、考えを巡らせて、たいへん印象深い1冊になったのでした。

事実として記録し続けていれば、やがてどこかで補助線がひかれ、関係ない要素同士であっても思いがけぬふうにつながっていくのかもしれない。だから、守られなくちゃいけない。命と引換えにして引き継ぐ、のではなく、長生きをして守る。記録された情報はいつか命を守るかもしれないから。

これから先も、どんな本に辿り着いて、結びついていくのか楽しみ。


【つながる読書】
次は…


日常を記録する。
“エッセイ”の魅力‼︎

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