歌詞考察 | aiko アンドロメダ
2003年8月6日発売された、aiko 13thシングル『アンドロメダ』の歌詞考察です。
全体の物語としては、別れを感じたあたしの心情。
歌詞中のあたしの目線は、遠い将来にいるあなたと、いま目の前にいるあなたを同時に見ています。
現在と将来の目線の行き来をひとつずつ整理していきます。
aikoが過去にリリースしてきた曲では、たびたび"あなた"を"星"と比喩しており、ここでいう「何億光年向こうの星」も例に漏れず"将来のあなた"を暗喩しているように思います。
つぎに「肩に付いた小さなホコリ」とは手の届く距離にいる"現在目の前にいるあなた"を表現しています。
aikoは実際にライブでひとりひとりと目線を合わせてお話するくらいに視力が良いようですが、ここではどちらかというと、いま隣にいるあなたと一緒に過ごしていく将来をすぐに思い描ける、といった先見性ある目線があたしの自慢であると言っているのではないでしょうか。
そんな中、共感性の高さから相手の気持ちをも感じ取れてしまう繊細なところが裏目に出てしまい、心の距離にも敏感であって、あなたの機微や仕草から心理的な距離が離れたと感じ、ひとりでに悲しみ涙を流すこともあったようです。
2つの光は、"将来のあなた"と"いまのあなた"を星として比喩し、並行にしたとき、どちらも思い描くことが難しくなった、といった描写であるように思います。
ここでの「交差点」は、人生の節目/ターニングポイントを意味していて、大げさに言えば「思い出になる事柄のすべて」にあなたを映すことが難しいと言っているように思います。
そして、それに悲しみ涙が出る事実自体が、あなたとの将来を思い描けないことを自覚している、という部分をさらに強調しているように受け取れます。
別れを近くに感じる現在からくる悲しみが、いまのあたしの気持ちの多くを占め、過去にあった楽しかったあなたとの思い出を思い返しては胸が痛む場面です。
悲しみ一色に染まった心に、外付けで楽しかった思い出をくっつけたような描写となっていて、楽しかった思い出はまた剥がれてしまうことを意味しているように思います。
あなたとの将来が思い描けない気持ちはいまだ変わらずにいます。
1番の「うっすらボヤけて」はぼんやりモヤがかかったように、2番の「やっぱりぼやけて」ははっきりとした気持ちの上に涙が浮かんでいるような表現になっています。
1番サビではあたしの心の中だけで、将来のあなたを思い描けないといった描写でした。
2番では目の前にいるあなたを見ながら、将来共に過ごしている日常を必死に思い描こうとしているように思います。
ですが、楽しかった思い出(過去のあなた)と現在のあなたを比較し、昔に比べてあたしに向けた感情が少なくなってきていることを踏まえて、その先にある将来のあなたを思い描くことが難しいと思う場面です。
同時に、あたしが勘付きひとり悩んでいたことが現実だと確信する場面になります。
『アンドロメダ』という題名に乗せた想いとしては、『キラキラとした未来』/『あなた(星)とのたくさんの思い出』などが思案されますが、そんな星々が暗闇の宇宙に飲まれすべてがなくなってしまうことに対して「さよなら」とつぶやいているように思います。
また、『アンドロメダ』の比喩が、『涙』に成り代わった場面であるようにも考えられます。
あなたとの将来があるかを考え、隣で感じ、やっぱりこの先にあなたはいないと心の中で決まったが、たどり着くあてのない暗闇への投げかけで曲を終えひとり苦しみが続く描写で終えます。
考察は以上です!
お読みいただきありがとうございました