歌詞考察 | 東京スカパラダイスオーケストラ-Good Morning~ブルー・デイジーfeat.aiko
先日、東京スカパラダイスオーケストラにaikoがフィーチャリングする形で新曲『Good Morning~ブルーデイジー』が発表された。根っからのaikoジャンキー(aikoファンの俗称)な私ではありますが、夏フェスなどで東京スカパラダイスオーケストラを何度か見て「なんやこのファンキーでダンディーで艶っぽいイケオジ達は…」と踊り狂って楽しませてもらったり、歴代の曲を不思議と口ずさめたりしていました。そんななか今回の発表で舞い上がったことは言うまでもないかと思います。
ただ正直な話、aikoが書く愛の重い歌詞に惚れて、aikoが歌う独特の浮遊感があるメロディーに惚れていたので、スカパラメンバー谷中敦さん/沖祐市さん作詞作曲のこの曲は、発表当日に一回聴いたときは「aikoがaiko以外の曲を歌っている印象」しか残らず、しばらく敬遠していたところがありました。
...が、少し遅れてサブスク配信のタイミングで繰り返し聴くと、見事にドハマり。まさに、スルメ曲。aikoのそれ。
さらに言うなら、「aikoのアルバムを構成するかなり重要な一端を担うアルバム曲」の立ち位置で、『運命/時のシルエット』や、『透明ドロップ/泡のような愛だった』、『ドライブモード/湿った夏の始まり』あたりの、aikoを語る上で絶対に外せない曲であると確信しています。
ドハマりして毎日のように聴くたび、そんな大事な曲の魅力を語らずして何を語るだろうか、という気持ちがふつふつと湧き上がってきたので、東京スカパラダイスオーケストラ名義リリースの『Good Morning~ブルー・デイジー feat.aiko』の歌詞考察と魅力を、僭越ながら、いちaikoジャンキー目線からお伝えできればと思います。
aikoの曲の特徴であり大きな魅力である"一見するとポップで楽しい曲なのに、ひどく悲しい歌詞"がありますが(例に挙げると、『雲は白リンゴは赤』『小鳥公園』など)、今回はスカパラが演奏する底抜けに明るい管楽器の効果もあって明暗の振り幅が非常に大きく、お互いに引き立て合っていて前述したaikoの魅力がより一層引き出されていました。
"明るくポップに悲しい曲を歌うaiko"をこよなく愛している私でしたが、一度聴いたときはここまでしか理解しきれず敬遠してしまった理由です。ごめんスカパラ、ごめんaiko。
歌詞を読み込むようになってから途端に名曲に化けました。
"夢なのか現実なのか"
丁寧に書かれたこのポイントこそがブルーデイジーの魅力だと思ったので、さらに掘り下げていきます。
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ストーリーは、『Good Morning』という曲名にもある通り、朝起きてぼんやりした頭から次第に目が覚めていく様子なのですが、その過程にaiko要素の恋愛・失恋を落とし込んでいます。
「ほんの少し前に見ていた夢」と寝ぼけまなこな冒頭で示唆されるのは、あなたと暮らした些細な日常。小さなことを忘れてしまいそうになるくらいに大きな事件が発生します。
その大きな事件とは、「哀しいこと起こってすぐ気付いたの」で、あなたがいなくなってしまったこと。些細な日々が思い出せない夢に思えるくらい、別れは衝撃的で鮮明なリアルだったようです。
ぽっかり空いた空間の不釣り合いさから、別れを実感するように「私たち幸せだったね」と、はっきりとした痛みを残したままサビに突入します。
サビの「哀しみは運命のカーテン」は1番ABメロであるように、別れが新しい一歩になることを示唆しているように思えました。あえて「夜から朝を迎える」という描写にはせず、「既に朝になっていて閉め切ったカーテンを開けて朝を迎えよう」という表現になっているのが重くなりすぎず軽快で良い。
余談ですが、本来なんでもない日常やあなたの機微をすくい上げて曲にすることの多いaiko(「少し壊れたドライヤー」「出の悪い水道」など)が、谷中さん目線で大きく「別れ」を切り取った歌詞を歌うのがとても新鮮でした。コラボの良いところですね
次に2番。あなたとのキスシーンでは「夢だったのかな」と、確かにあった現実を疑うように描かれています。
というのも「気づかれないように背伸びをしてた」とあるように、勇気を出した私からしたキスだったので、夢みたいだったとは言い切れない現実感があります。
ここまでをまとめると、
「些細な日常が夢になってしまうくらい、そしてあたしがしたキスが現実ではなかったのではないかと疑ってしまうくらい、別れがあまりに現実的で強烈な出来事だった」
それぞれの出来事における段階的な距離感が絶妙で、ぼんやりとした夢の空気感とピリッとした現実の行き来にメリハリがあってめちゃめちゃ良い。
しかし、ただの別れ話で終わらないのがまた新鮮。
コラボっていいなと再三思わされた点が次のパートになります。
谷中さんの世界観では「Good Morning Happy Day = 些細な日常を迎えよう」と続き、「夢(日常)の続き」を「まってるから」と明るく締めくくります。
辛い出来事に酷く落ち込んだ様子から始まり、自分の気持ちすら疑っても、最後は夢が夢ではなかったとすべて受け止めて新しく一歩を踏み出す。
ハッピーエンド。グッドモーニングハッピーデイ。
谷中さんの表現に愛とスパイス、そして大人の余裕を感じた、そんな一曲でした!
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最後に、勝手ながらaikoジャンキー目線でブルーデイジーにおけるaikoのたまらんポイントを押さえておきます。aikoファン以外の方にも共有して、ぜひaiko名義の曲でそのたまらんポイントを発見して悶絶していただけたら幸いです。
まず、aikoは歌っていて力が入ると「あ行/は行」を「か行」で発音することがありますが、それが2番サビの「Good Morning Happy Day」の「ハ(カ)ッピー」。動画で言うと2分27秒あたり。…うん。ありがとうaiko。こっちがハッピーだわ。聴いてみてください。
それから、たまらんポイントがもうひとつありまして、ラストサビの「おはようって言って」のMV。
「おはよう」って叫んでから
「👍🕶👍」 グッド戴きました。
最後はみんなで笑いながら終わるMVもぜひご覧くださいませ!
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