暮瀬堂日記〜下闇
芒種である。麦や稲など穂をつける穀物の種を植える時節、また七十ニ候は蟷螂生る頃となる。
ここ数年の温暖化により、季の移ろいが薄まり、気温の上がるのも下がるのも一気に変動する感じである。
首都では今年初めての真夏日になるとのことで、もはや車中はエアコン無しではいられなかった。
午後一時、赤羽で仕事を終えて街路樹の下に停車し暫し休息。他にも下闇に停まる車が列なっていた。葉擦れに誘われた作業員が外に出て、煙草を燻らした。また、日傘をさす婦人が通ると、陰が膨らんだように思えたが、無論気のせいだろう。
下闇にちゞむ煙草の煙かな
坂つゞき日傘もはいる木下闇
持参した季寄せを捲っていると、いつか帰社する時間になっていた。
(二〇二〇年 六月五日 金曜 陰暦 閏四月十四日 芒種の節気 蟷螂生 【かまきりしょうず】候)
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