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暮瀬堂日記〜栗と納骨

 綱島から相模大野に向かっている途次、東名入口近くで栗の木を目にした。まだ収穫するには毬(いが)は青すぎたが、季の移ろいを感じるひと時であった。

 もう二年になるだろうか、献体を終えて三年振りに帰宅した父は、骨壺に納まっていた。火葬の釜に入り、出てくる様を見ていないので、暫くの間、死んだという実感が沸かなかった。

  骨入る墓上の空と栗青し

 納骨を終えて垣間見た景が、一枚の写真のように思い出された。観音堂に見守られ、父も安堵したことだろう。

(旧暦七月ニ日 立秋の節気 蒙霧升降【ふかききりまとう】候)

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