暮瀬堂日記〜紫式部の実
近所のスーパーからの帰り道、コカ・コーラの配送センターの入口に、紫式部の実がたわわになるのが目に入った
コカ・コーラなのだから、ナナカマドの赤い実の方が似合うのになあ、と思いながらも、枝先の実に触れていた。
一枝拝借し一輪挿しにしたい欲求を抑えて、自販機でコーラを購いしばし鑑賞していた。
剣山ではづむ紫式部の実
故郷にいる頃、母は草木の花を摘んで来ては、自分流に活けていた。それが中々趣きがあり、
「じょんだねえ(上手だねえ)」
と言うと、
「んだべ(そうでしょ)」
と喜んだものだった。そんな母の活けた紫式部を思い出しつつ、もう少しコーラを飲んでいた。
※紫式部の実……実紫(みむらさき)・小式部(こしきぶ)とも。白い果実のものは白式部という。晩秋の季語。
(新暦九月十六日 旧暦七月二十九日 白露の節気 鶺鴒鳴【せきれいなく】候)