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暮瀬堂日記〜鮭

 スーパーで生鮭の切身を購う。とても脂が乗り刺身にでも出来そうな感じであった。ノルウェー直送のサーモンであるが、今やノルウェー物も高級な方であろう。

「初鮭・鮭」は九月頃から川を遡上して来るので、秋の季語となっているが、「塩鮭・乾鮭」になると冬季になるので面白い。

 かつて庄内地方に住んでいた頃、時々磯釣りに行ったが、帰りに温海川のほとりを通ると、遡る鮭の群を目にしたことがあった。一心不乱とは、あの鮭たちのことを言うのだろう。いたる所に傷を負いながら、流れに逆らい続けていた。

  のぼりゆく鮭の目尻の切れてをり

 その時得た一句を思い出しつつ、バター焼にした切身を肴に、酒を酌んでいた。

(旧暦七月八日 処暑の節気 綿柎開【わたのはなしべひらく】候)

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