暮瀬堂日記〜戻り鰹
休憩のとき、家人に電話で夕餉は何がいいか聞くと、
「お刺身が食べたいなあ」
と言うので、鮮魚売場に赴く。横須賀のイオンなので三崎港水揚げの地魚(タチウオ・ホウボウ・スズキ)が並んでいたが、家人は鰹に目が無いので、この日も柵を購うことにした。
帰宅後、3分の1をタタキにしたが、藁焼きに近い味を出せたので紹介したい。
まず身の周りに薄くオリーブオイルを塗り、その表面にパラパラと黒胡椒を振り掛け、バーナーで程よく炙る。
薬味は好みで何でもいいと思うが、この日は面倒なので、見切り品で落手した刻み生姜と葱にしたが、胡瓜の千切りを加えても中々いける。
どれどれと口に入れると、広がる抜群の旨味。炭化した黒胡椒が、藁のスモーキーさと同じ効果を生み出すのかもしれない。
ただ、家人はタタキが好きでないので、私だけが感動していた。
藁束を焼かせる戻り鰹かな
脂の乗った戻り鰹を、本物の藁焼きで食べたい季節である。
(旧暦七月十三日 処暑の節気 天地始粛【てんちはじめてさむし】候)