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年女の本厄

「今年は60年に一度の辰年だからね」

年明けに、飲みの場で年配の社長さんがそう言っているのを聞いて、いいことを聞いたと思った。
どんな干支にも60年に1度、その干支の力がとんでもなく大きく出る年があるらしいのだが、どうやら今年は辰年がそれにあたるらしい。
辰年の力は「辰の形のように、いいことと悪いことが2倍3倍になって訪れる」とのこと。それを聞いたとき、「え〜!じゃあ先にイヤなことがあったらあとはイイことばかりじゃ〜ん!そっちがいいな〜!」などと笑っていた。

甘かった。

年始早々、フラれるんかい!

私は今年36になる。結婚したいととてもとても思っている。乙女のように家庭を築き、大好きな人と結婚するんだい!と思っている。なのに友達からは「男を見る目がない」と散々言われる。ダメなやつを好きになるんじゃない、好きになった人が周りから「その人はやめとけ」と言われるタイプなのだ。

だが、何度転んでも立ち上がり、立ち上がり、昨年の秋に「この人のこと、本当に好き‥!」と思う人と出会えた。「結婚するんだ、この人と!ついに出会えた!」と思っていた。
が、3月頭に振られるのである。なんならバレンタイン前くらいからもうほぼフラグが立っていた。

詳しいことは彼の個人情報だから書かないが、彼の事情でどうしても付き合えないと言われ、最後は会えぬまま「もう会えません。連絡もしないでください」とLINEが来たのだ。

幾多の悲しい恋、恋愛の失敗を繰り返してきた私である。ここで素直に返信せず、スッ…と彼の元から消えることができたのは「さすがもうすぐ36歳…!自分で自分を褒めてやりたい…!」という案件であった。
だが、現実では涙が止まらない。胸をぎゅーーーーっと締め付けられるような日々が続いていたのだった。

「あぁ…これが年始に社長さんが言っていたイヤことかもな…。早めにイヤなことがあったのは良かったのかもしれない(辛いけど)。よっしゃ!これを境に上向きになるのだ!ぜってぇ今年中に彼氏作るぞ!!!」
と思い、めちゃめちゃアプリした。週2でリアル(お茶や飲み)した。ストレスが溜まって空いた時間は友達と飲みまくった。ひとりになりたくなかったのだ。寂しさを酒でごまかし、暗くなった部屋で寝るだけで次の日が来る‥そんな生活を続けていたのだ。

そしたら落ちたのである。雷ではない。自宅の、窓から、夜中に、落ちたのである。

自宅の窓(2階)から落ちて腰の骨を折る

いつものごとく、よく飲んだ土曜日。終電で帰り、化粧をなんとか落とし、ベッドに入る。5月末の涼しい夜で、クーラーより風が気持ちいいと、ベッド側の窓を開けて寝た。
夜中にトイレに行こうと、寝ぼけながらベッドから降りて立ちあがろうとしたら、床がないのである。「え?」と思った時にはもう夜中の道路に寝そべっていた。

夢かな?と思った。意識はあった。ただ全身が痛くて痛くて起き上がることができない。

「このまま横になっていたら誰か助けてくれるかな〜」なんて思っていた。
しかし夜中の3時ごろである。人が通らない。なんなら一瞬誰かが私の頭の上を通りすぎていった気配を感じた。「え、助けてくれないの?酔っ払いだと思われてる??」

パニックになって叫びまくった。
「助けてください!誰か!お願いします!誰か〜〜!」

こんなこと、某映画でしか聞いたことがないセリフであった。それを自分が言っている。しかも連呼している。信じられない。やっぱり夢かもしれない。

だがそのうち、通りすがりのお兄さんが気づいてくれて、救急車を呼んでくれた。どこから集まったか分からないが、ひとり近づいてくれると何人もが私のことを取り囲んで「大丈夫ですか?動かないで!救急車呼びましたからね」と優しい言葉をかけてくれた。やさしい。人ってやさしいよ…。

ただ「どうしたんですか?」と聞かれ、「あ、あそこです‥!」と腕をめちゃめちゃ頑張って伸ばし、自宅の窓を指差すのが、めちゃめちゃ恥ずかしかった。「私なんであそこから落ちたん…?アホちゃう…?」と関東人なのに関西弁でツッコミたくなるくらい恥ずかしかった。
「え?網戸ないんですか??!」と驚かれたが、元々ないのである。

① 網戸が元々ない窓を涼しいからと開けておき、
② その窓の高さがちょうどベッドの高さが一緒で、
③ 飲んだ日の夜中にトイレ行くのに寝ぼけて起き上がったら外だった。

という、すごい条件が3つ揃ったのである。
これを60年に一度の年女の本厄と言わずになんと言いますか?大好きな人に振られたくらいじゃ、まだ甘かったのだ。

急に事故った年女(35)の記録

これが夏前のできごと。
私はこのときに腰の骨を折り、手術し、入院し、リハビリし、脅威の回復を遂げて退院し、最近、仕事復帰したばかりです。

スンゲェ色々あった。あったのだが、残しておかないと忘れてしまう。だが、急なケガなどで入院した経験は、自分の老後にもまた役に立つと思ったし、なんなら誰かの役に立つことがあるのではないか?と思ったので、思い切って記録として残しておこうと思った次第です。

あと、もう散々イヤなことは経験したから残りの3ヶ月はこの痛みに見合うだけのめちゃめちゃいいことが来ると思ってるんですよね〜〜!(ギャルマインド)

ということで、記録を残しつつ、いいことが起きたらそれも記憶として残しておこうと思います。よかったら読んでね〜!

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