恋の行き先。〈13〉
布団売り場では敦史はまた粘っていた。
敦史「クイーンサイズの敷布団はないんですか?」
クイーンサイズと聞くとムズムズしてしまうようになってしまった。
ダブル布団が一番大きいという説明に、時間もないことだし、敦史は折れた。
掛け布団ダブル、カバー、シーツなど必要な物を買うと、
鳥の餌場に必要な材料を買いに走った。
年が明けたら鳥の来る餌場を作ろうと二人は嬉しくなった。
私「行水する鉢がいるよ。掛け流しの水だといいんだけど、それはおいおいね。
水浴びするとき頭と羽をくぐらせるんだよ。
それから雨のかからない餌場を作ってね。
可愛いのが何種類も来るよ。」
敦史は思いっきり私を抱き締めた。
これデジャヴ?
私はそう思いながら、園芸売り場の店員さんとバチバチに目が合っていた。
その葉牡丹新年飾りいいですね、と店員さんに目配せで必死に伝えた。
私「敦史」
敦史「何?葉牡丹欲しいの?」
私「ううん、枯らすから、じゃなくて、これデジャヴだよ。家に戻ってお煮しめだけでも作らないと。年が明けちゃうよ。」
鳥の水浴び場に良さそうな鉢と、餌箱になりそうな陶器や木材を見繕って二人は車に乗り込んだ。
私はまた割烹着に身を包み、気分は料亭のおかみ。
煮しめの材料を炊き出すと、菊花大根に挑戦した。
私「だってこれは切るだけだから、難しくないはず。」
見た目は菊花ではないけれど、奮闘していたら敦史は私の動画や画像を撮っていた。
彼がどうしてそんなことをするのか、私はよくわかっていた。
一人になったら見返すんだね…。
煮しめをコトコトしながら、年越しそばをゆがいた。
慌ただしいけど、それをすすって、二人は笑った。
煮しめに味が染みたら出来上がり。
火を止めて、ホッとした。
その時敦史は私を抱え上げ、敦史が敷いた布団に私を連れて行った。
つづく