日本選手権にむけて 2024.7月制限 ユベルについて
1.はじめに
初めまして。主に2011.3制限ゲートボール(過去レギュレーション)で遊戯王をやっていますSENTIMENTAL StepSと申します。YCSJ、日本選手権のような公式イベントがある時は現代遊戯王もやっています。
本記事は2024.7月リミットレギュレーションでの解説記事となります。
現行のリミットレギュレーションではありませんが、過去環境で下記のようなnoteを執筆しております。ご興味あればこちらも読んで頂ければ幸いです。
※下記の過去記事も投げ銭方式の無料noteです。無料で全文お読み頂けます。
7/13開催された日本選手権 日本一決定戦において初日6-0(不戦勝込み)出来てday2へ進出出来たのと今週末に新弾が控えており、環境もまた変わる為、本記事を執筆を決めました。日本一決定戦は日本各地のショップで行われた予選で優勝して権利を獲得し、予選を勝ち抜いた権利持ちのプレイヤーが1000人近く集まって行われたハイレベルの大会です。
1.ユベルのデッキ選択理由
2024年7月にリミットレギュレーションの改訂が行われました。特筆するべきところは≪スネークアイ・エクセル≫の制限と≪篝火≫準制限による【スネークアイ】の弱体化、≪No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス≫の制限による【ギミックパペット】の弱体化、≪盃満ちる燦幻荘≫の制限による【天盃龍】の弱体化で、それまでのトップデッキだった面々の弱体化です。その中でもリミットレギュレーションの影響を全く受けてない【ユベル】の一人回しに取り掛かりました。一人回しをしていく中でメイン採用が多かった≪ドロール&ロックバード≫≪原始生命態ニビル≫にも耐性があった事や、≪増殖するG≫を貰っても止まりどころがあり、誘発の受け自体も良かった為使用デッキを【ユベル】で確定させます。
2.構築について
使用構築は以下になります。
■メインデッキ
1枚初動である≪サクリファイス・D・ロータス≫≪ナイトメア・スローン≫とそれに繋がる≪テラ・フォーミング≫を採用し、初動は最大値に近い形を取りました。≪ワン・フォー・ワン≫も試しましたが、手札コストが重い事や≪サクリファイス・D・ロータス≫の効果に≪灰流うらら≫を貰った際に貫通札となり得ない点も気になり、不採用としました。
デッキの中にいてほしいが、極力引きたくないカードでもある為2枚。時間がなくて試せませんでしたが、≪ナイトメア・ペイン≫や≪ヘルグレイブ・スクワーマー≫等のギミックを増量し、このカードも3枚に増やして貫通力を高める構築にするのもアリだと思っています。
ユベルギミックと非常にシナジーの高い≪七精の解門≫を引き込む為に3枚。このカードによる展開を妨害された返し、相手の展開をいなしたトップでこのカードを引き込んで勝った試合もあり複数枚採用していて良かったと感じました。ただ、このカードのサーチの選択肢を増やすために1枚≪混沌の召喚神≫や≪カオス・コア≫を採用しても良かったと思っています。
1枚採用が多いこのカードですが、≪スピリット・オブ・ユベル≫のサーチ効果に無効系を当てられた時に無効系のケア札兼展開札となったり、≪スピリット・オブ・ユベル≫が手札にある時、このカードの通常召喚から≪転生炎獣アルミラージ≫をリンク召喚し墓地のこのカードの効果を使い、手札から展開出来たりと使い勝手が良かった為2枚に増やしました。墓地の効果で≪暗黒の招来神≫も出せる為、ユベルに触れられない手札でも雑にリンク値を伸ばせて良かったです。
2枚採用の構築も見るカードですが、このカード1枚で≪召命の神弓ーアポロウーサ≫で誘発ケアか、≪永遠の淑女ベアトリーチェ≫の展開補助の選択肢を取れる事もあり3枚にしました。≪ナイトメア・スローン≫とこのカードのような≪ナイトメア・スローン≫に≪灰流うらら≫を受けたくない手札の場合、≪召命の神弓ーアポロウーサ≫を先出しする事で≪灰流うらら≫のケアをします。
■エクストラデッキ
【ユベル】では採用率があまり高くないこのカードでしたが、2本目以降の≪拮抗勝負≫≪心変わり≫≪サンダー・ボルト≫のような捲り札に対しての回答をメインギミックから持たせられるように採用しました。特に≪拮抗勝負≫はこのカードを採用していなければ致命的なカードで、≪神の宣告≫のようなカードを引いていなければ負けに直結すると言っても過言ではないカードです。実際の対戦においてもこのカードを相手が越えられずに勝利を掴めた試合が多かったので我ながらとても良い采配でした。
2枚採用も散見されるこのカードですが、先攻展開の際にリンク値を伸ばす為にこのカードを2枚使う事もあり3枚採用です。②の効果で≪ユベル≫を破壊するとタイミングを逃して≪ユベル≫のリクルート効果が使えない事に注意しましょう。実際の対戦でも3枚目の採用を切ったプレイを相手がしてきてこのカードを3枚採用していたお陰で拾えた試合がありました。
採用されていないレシピも見受けられますが、このデッキは盤面を返す能力が弱いと思っています。そこで、デッキの弱点を補いつつ妨害も擁立出来るこのカードを採用しました。≪ファントム・オブ・ユベル≫がレベル9の為、出し方に工夫が必要ですがその分盤面制圧力は高く、出した回数は調整段階含めてかなり少ないものの個人的には必要なカードだと思っています。
入っているレシピが非常に少ないこのカードですが、≪魔を刻むデモンスミス≫項でも触れている通り1枚でこのカードが成立出来たり、効果使用済の≪破械神王ヤマ≫と≪刻まれし魔の大聖棺≫を混ぜて組める妨害モンスターでもあるので採用をしています。
採用されている事の多いこのカードですが、そのターン中にリンク召喚に出来ない制約や、効果発動後の悪魔族縛りが重く感じる場面があったり、今の遊戯王のゲームスピードを考慮してもリソースゲームになるような局面が圧倒的に少なかった為不採用です。結局、調整中に出したい場面も出す場面もなくそのまま抜けていきました。
こちらも採用されているレシピが多いカードですが、≪魔界特派員デスキャスター≫同様に調整中で出したい場面が少なく抜けていきました。≪刻まれし魔ラクリモーサ≫や≪破械神シャバラ≫が絡んだ時に妨害となり、妨害効果がターン1回ではないのは優秀ですが、リンク召喚自体を止められない事が気になった事や他に優先度の高いエクストラモンスターが増えていった自然と抜けていった格好です。
余談ですが、日本選手権実戦で実際に≪終戒超獸-ヴァルドラス≫以外のエクストラモンスターは全部使用しました。
■サイドデッキ
基本方針は
・選択権ある試合は取れる確率を上げたい
・各デッキの後手に対して運用出来るようなサイドボードの構築
ここで言う各デッキとは【ユベル】【スネークアイ】【R-ACE】【天盃龍】【粛声】を想定しています。使用者の方には申し訳ありませんが、【神碑】はETルールの都合上いないものと割り切っていました。
・選択権ある試合は取れる確率を上げたい
先攻用カードは≪サモンリミッター≫≪魔封じの芳香≫≪紅蓮の指名者≫等々あります。
相手の動きを止めても返しの自分の動きを制限してしまう事や、≪拮抗勝負≫を重く貰ってしまう為無し。
魔法カードに依存しない初動で攻められた時の強さにムラがある事や、≪拮抗勝負≫を重く貰ってしまう為無し。
後手で手札が1枚増えている状態で使わなければならない事や、上記2枚のカードも同様ですがいずれも自分が動けなかった場合の弱さが目立つカードであり、これらのカードの採用は「選択権ある試合は取れる確率を上げたい」目的と合致しない為不採用としました。デッキ的にも貰いやすい捲り札に対してのカウンターもこなしつつ、最悪自分が動けなかった場合でもマストでカウンター出来て相手を妨害出来る≪神の宣告≫3枚と嵩増しで≪神の忠告≫1枚の計4枚を採用する事にしました。
・各デッキの後手に対して運用出来るようなサイドボードの構築
【ユベル】【スネークアイ】【R-ACE】【天盃龍】【粛声】の後手を考えたときに≪拮抗勝負≫がクリティカルになると考えました。≪刻まれし魔ディエスエレ≫採用率の低い【ユベル】、先攻を渡した【天盃龍】の≪天球の聖刻印≫+伏せ等々。ただし、≪刻まれし魔ディエスエレ≫を採用している【スネークアイ】【R-ACE】はディエスエレの効果を使わせるか無効にする必要がありますが…。
そこで≪拮抗勝負≫を引き込む確率をあげるのと、≪増殖するG≫を通せる確率を上げるために≪マルチャミー・プルリア≫を採用しました。【ユベル】では≪暗黒の招来神≫による2回目の召喚や、≪破械神シャバラ≫、手札から出てくる可能性のある≪ユベル≫≪ユベル-Das Abscheulich Ritter≫、通常召喚の初動、【スネークアイ】では≪蛇眼の炎燐≫≪黒魔女ディアベルスター≫や通常召喚の初動、【R-ACE】では≪R-ACEタービュランス≫≪R-ACEプリベンター≫通常召喚による初動、【天盃龍】では≪元禄の天盃龍≫≪天盃龍チュンドラ≫通常召喚の初動、【粛声】では≪粛声の祈り手ロー≫や≪宣告者の神巫≫の通常召喚による初動に加えて儀式召喚もある為、どのデッキ相手でも2枚以上ドロー出来る期待値はとても高いです。相手がドローさせる事を嫌って通常召喚だけで展開をしても手札交換は成立し、捲り札を引く確率を上げる最低限の役割は果たしている為何も問題ありません。
対【ユベル】【スネークアイ】【粛声】の後手で前妨害を無力化する為の採用です。≪拮抗勝負≫とあわせて最大枚数採用する事で≪マルチャミー・プルリア≫も含めて後手から捲り札で返す再現性を高くなるよう意識しました。
ここまでの≪マルチャミー・プルリア≫を含めた捲り札で9枚、先攻札の神が4枚で残り2枠です。
シェアが多い事が予想される【スネークアイ】に対して効果的な≪原始生命態ニビル≫と、どの対面に対しても前盤面か魔法罠の除去の選択肢が取れる≪ライトニング・ストーム≫を1枚加えてサイドデッキが完成しました。
3.先攻展開について
手札や相手の誘発にもよりますが、この構築では基本的に≪召命の神弓ーアポロウーサ≫+≪刻まれし魔の大聖棺≫を装備した≪刻まれし魔ディエスエレ≫+≪ファントム・オブ・ユベル≫+≪破械神ラギア≫の盤面を目指します。これ以外にも最良な展開もあるかもしれません。
・≪サクリファイス・D・ロータス≫(1枚初動)
ロータスns効果スピユベssペインセットから発動(ドロバケア)。ペイン効果でスピユベ破壊スクワーマサーチ効果でユベルssスクワーマ効果ssでユベル破壊第二形態ss墓地のユベルとロータスをデッキに戻してファンユベssスクワーマと第二形態の2体でヤマssシャバラサーチ。墓地のスクワーマ使いスピユベssシャバラ効果でスピユベ破壊してシャバラssユベルss。墓地のスピユベと第二形態をデッキに戻してファンユベssユベルとファンユベでナンナssレクイエムssデモンスミスssデモンスミスとシャバラでセクエンツィアss効果でディエスエレssヤマとセクエンツィアでアポロウーサssし墓地のセクエンツィアをディエスエレに装備。
→盤面:2素材≪召命の神弓ーアポロウーサ≫+対象取れない2枚無効≪刻まれし魔ディエスエレ≫+≪ファントム・オブ・ユベル≫
こちらの盤面を基本に+のリンク値次第で妨害が増えていきます。
・≪ナイトメア・スローン≫(1枚初動)
≪サクリファイス・D・ロータス≫の展開に加え、このカードで第二形態が1体ss出来てリンク値+1の為、2素材の≪召命の神弓ーアポロウーサ≫が3素材になります。
→盤面:3素材≪召命の神弓ーアポロウーサ≫+対象取れない2枚無効≪刻まれし魔ディエスエレ≫+≪ファントム・オブ・ユベル≫
・≪暗黒の召喚神≫+≪サクリファイス・D・ロータス≫
≪暗黒の召喚神≫とサーチされる≪七精の解門≫の蘇生効果でリンク値+2になる為≪破械神ラギア≫が追加されます。
召喚神ns効果解門サーチ解門発動召喚神サーチ追加召喚権でロータスns効果でスピユベssペインサーチペイン効果でスピユベ破壊スクワーマーサーチスピユベ効果でユベルss。ユベルと召喚神でヤマss効果でシャバラサーチ墓地のユベルと召喚神をデッキに戻してファンユベss解門蘇生効果で召喚神捨ててスピユベssスクワーマー効果でスピユベ破壊して手札からssスピユベ効果でユベルssシャバラ効果でユベル破壊してss第二形態ss第二形態とスクワーマーでナンナssレクイエムss効果でデモンスミスss墓地の第二形態と召喚神をデッキに戻してファンユベssしファンユベとデモンスミスでセクエンツィアssディエスエレssスクワーマー効果で0/0悪魔蘇生し、シャバラを素材にラギアssヤマとセクエンツィア素材にアポロウーサss。
→盤面:2素材≪召命の神弓ーアポロウーサ≫+対象取れない2枚無効≪刻まれし魔ディエスエレ≫+≪ファントム・オブ・ユベル≫+≪破械神ラギア≫
※3体目の≪ファントム・オブ・ユベル≫をssすれば≪召命の神弓ーアポロウーサ≫の素材を3素材にすることも出来ます。
4.反省点
・≪三戦の才≫を入れなかったこと
【ユベル】がシェアトップであると予想し、【ユベル】に対して手札誘発が効きづらい(と個人的には認識している)事からメインの手札誘発の枚数の減少や≪拮抗勝負≫のような捲り札がサイドから増えると予想し、≪三戦の才≫を不採用にしました。しかし当日は≪ドロール&ロックバード≫を含めて手札誘発が多く飛び交っていたり、2本目以降≪拮抗勝負≫が発動されなかったり想定とは違った状況になっており≪三戦の才≫不採用を後悔してました。
・≪混沌の召喚神≫or≪カオス・コア≫を採用しなかったこと
≪暗黒の召喚神≫及び≪七精の解門≫のサーチの選択肢が1択しかない為、選択肢に幅を持たせる意味でも≪暗黒の召喚神≫を1枚上記カードへ変えても良かったなと思いました。
・対【天盃龍】対策が甘かった事
戦闘関連に耐性やバーンを持ちつつ、効果を書き換えてくる先攻の盤面強度の高いトップシェアの【ユベル】に対して不利の認識である【天盃龍】のシェアはそこまで多くないと予想しており、対策を甘くしていました。結果、最後も【天盃龍】に完敗しており、これは大いに反省する点であります。
5.終わりに
運が良い部分は多かったですが、エクストラも14枚使ったり、サイドの細かい采配で拾えた試合があったりと自分の調整の結果の答え合わせも出来て非常に良い結果でした。ずっとリモートで調整してくれていたデューク東郷(@togo_duke14)さんには感謝の気持ちでいっぱいです。最後は【天盃龍】にあっさり負けてしまいましたが、惜しいところまではいけて悔しい気持ちが大きいので来年またチャレンジしたいと思います。
ここまで読んで頂いてありがとうございました。