「月報こんとん」2023年6月号
栫伸太郎「うばう/ドリル」
ガスパール、代わりに夏になってあげる
当人はたちこめているつもりだが
水色の水は飲めないからうばう
きみたちが音楽室だったなんてね
観覧車ドリルのように迫ってくる
あれはまだ剥きえびだった頃のこと
お面をえらぶ隙をあたえる
目薬と鯛中鯛を入れ替える
可算名詞には辛い季節
無聊に耐えかねてフエラムネをくぐる
今田健太郎「おとうふたしかめる」
おとうふがあったところに置いていく
ししまいでないかどうかをたしかめる
おおまかに言えば惑星のパエリア
ストローが売りきれてても会いにきて
シャーロック・ホームズだったぼたんえび
このさきの穴にわたしは落ちている
メンバーがひとり妖怪だってこと
カニからのエキスこんなにも こわい
ファミリーになってくれよと落としぶた
7000の迷彩服の着こなしを
暮田真名「重し」
ニュー・シネマ・パラダイスともかぎらない
織り布にメタ発言の多いこと
首ったけ だけどきれいに紙を束ねて
つるつるの重しがすべてだと思う
冷えている これがアチーブメント
お留守番係になれないなら帰る
生きがいのない小上がりでしょう
ボンドガールになりそうになる
見どころがあるなら捨ててきてほしい
入り組んだ光、しっかりつかまって
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