脱毛日記10 ロミオとジュリエット
脱毛機 BARE-PLUS を使用して週に一度手足をパチパチしている。本日9回目が完了した。先週は出張でできなかったので少し間が空いてしまったが、引き続き取り組んでいきたい。出張の行き先は結構田舎だったのだが、宿泊したホテルの雰囲気が都市部ではとんと見ないような、なんとも懐かしい感じだった。
久々に見た枕元の埋め込みラジオは、15年前のどのホテルでも雑音だらけだったが、今回も相変わらず。AM局のFM移行なんてまったく対応することもなく消えていくのだろう。
そんなホテルの薄暗い浴室でムダ毛のお手入れをしたのだがよく見えないのであちこちに剃り残しがあるらしく、触れるたびチクチクと刺激がある。
膝や腿など、くつろいでる時に自然と手がいくのに、不愉快な刺激で触わることができない。
触れ合うことが自然なのに触るたびに引き裂かれる膝と手のひらは、まるで悲恋物語の主人公とヒロインのようだ。
ロミオである手のひらとジュリエットである膝や腿。
さしずめ僕は2人を結びつける修道僧ロレンスだ。
僕は2人を結びつけるために、あらゆる障害を除去しなければならない。仮死の毒薬のかわりに、カミソリと脱毛機を用いて戦いに挑む。
この戦いの末にムダ毛が生えない両脚が実現できた時、我がロミオとジュリエットは永遠の絆を成就するのだ。
我が活動は14世紀の悲恋の弔い合戦であり、その結果により愛の成就する物語を世の中にひとつ追加できるのだ。そう思うと萎えかけた心を奮い立たせ、今後も尽きることを知らないムダ毛たちに立ち向かっていけると自分を信じることができる。
やっぱり、物語はハッピーエンドが一番なのだ。