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学校が生徒を死に追いやるとき

年長者から若年者へ、大人から子供に向けられる、ある種の憤りについて。

小学生らが教材が詰まったランドセルを背負う、その負担を軽くする工夫を発明したところ、それへの反発の声が多く寄せられました。楽をすることが許せないかのような。

海での遠泳の行事に向けて、ある小学校で水泳の授業。長時間、プールで泳ぎ続ける練習に、ある女児が泣いて苦痛を訴えても、指導者は険しい顔で「戻れ」(そして、泳ぎ続けろ)と指示する。

保護者が部活の顧問の教員に「厳しくしてください」と伝えてくることがあるそうで。厳しく、とは体罰や怒鳴る指導、のことなのでしょう。

中学生を対象にした進学塾。体罰が横行するその塾に、女子生徒が声を震わせ泣きながら、やってくる。当人が行きたくないと言ってるのに、親が無理やり、連れてくる。

大分の小学校、バレーボールのスポーツクラブでの体罰があり、ある親が抗議すると、チームメイトの親達がその親を多数で囲んで長時間、罵倒したとか。

神戸の小学校の組体操、毎年、骨折者を出すそうで。ベテランの教員、教育委員会の幹部らは知ってるはずなのに、毎年、続けようとする。

名古屋の中学、トーチトワリング、男子生徒が腕に大火傷を負い、そのことが全国報道になると、その生徒の同級生の親達からその生徒に家に、夜中に無言電話など、嫌がらせが始まったとか。

大川小津波事故、亡くなった多くの児童の一部の保護者達が行政を相手に訴訟を起こすと、ネットには、つまり世間から、その保護者達を誹謗するコメントがあふれたものです。

教員が、一般の人々が、学校、教育委員会が、保護者が、同級生の保護者達が子供に、若年者に、子供の側につく保護者に憤りを向ける。

およそ、加害と被害の関係がある時、人々は加害側に同化し、被害側に憤りを向ける。イジメでも、虐待でもこの構図はありますが。

体罰、アカデミックハラスメント。

日々の小さな過失で生徒に叱責や罰を課す。それが時に過剰な叱責や執拗な注意に発展し、生徒を休学、退学、退部、不登校に追いやる。最悪、自殺に追いやる「指導死」もあります。

組体操での骨折や部活での熱中症のような学校事故やスポーツ事故もありますし。教員から生徒へのわいせつ行為、性虐待、交際の強要もあります。

しかし、生徒を自殺に追いやっても教員はおとがめなし。どころか、生徒やその家族が学校、教育委員会から同級生やその親から敵視されがちです。

教員からのわいせつで警察に相談しても、解決には向かいません。

だから、私は提唱します。こうした問題に対応する、第三者機関を設立し、介入すべきなのだと。

ハラスメントが起きにくい環境をつくる、ハラスメントがないか監視する。ハラスメントへの啓発や情報提供を継続する。

それでも、なおハラスメントがあれば、その教員は他の学年や他校へ異動する、休職してもらう、研修を受けてもらう、そうしたことを教育委員会や学校とは独立した権能を持つ機関が担うべきだと。

また、生徒が怪我をする、後遺症を負う、命を落とす、こうしたことがあれば、当該教員はそれなりの社会的制裁を科すべきであると。

交通事故でも人をはねて、怪我をさせる、後遺症を負わせる、死なせる場合は、それなりの処遇を受けることになりますよね。

親が子供を育児中の事故で死なせた場合ですら、罪に問われるのに。しかし、教員の場合は何らおとがめなし。スポーツ事故だと警察が動いても検察が不起訴にすることもあります。

指導という形であれば、教育活動という名目であれば、生徒を死に追いやっても、怪我をさせても、なんら咎められない理不尽。

組体操で毎年、骨折者を出すのに、過去には死者も出ているのに、その行事を止めようとしない。「命がけだから団結できる」と唱える校長もいます。小学生の児童に本当に命を懸けさせてどうするのかと。

受験の指導でも親が子に刃物を向けて、机に向かわせる現象がありますが、指導や教育は時に、そうした狂気をはらむものです。

一方で、学校教育は政治からの中立性ということで、文科省や教育委員会でも介入できないほど、現場の裁量権が大きくなっています。

しかし、この現場の中立性について、児童の安全を確保する、という視点から見直す必要があるでしょう。学校が教育委員会が時に児童の命を脅かすことがあるのですから。

福井県池田町池田中学ではかつて、指導死がありました。一学年一クラスの小規模校。2人の教員がある男子生徒に連日、罵倒罵声。その生徒は不登校になります。再び、登校した生徒に過度な叱責がまた繰り返され、ある朝、生徒は校舎から転落します。

過度な叱責が繰り返される、そことは他の教員も校長もわかっていたはずです。小規模校であればなおさら。しかし、誰も2人の教員の狂気を止めることはできなかった。

その日、校長が生徒の自宅にきて、言ったことはあたかも生徒の側に非があったかのようなことだったと。後に、その教員のうち、1人は他の学年に、1人は他校へ異動し、校長は自主退職したとか。

第三者機関がはいり、平素、から監査を続ける。ハラスメントがあれば、当該教員らをいさめ、他校へ異動せしめる。生徒への接し方について研修を与え、それでも生徒らへの態度が変わらねば、そうした教員は生徒と接する役割から外れていただく、こうした一連の対応が実効を伴って実現していれば、あの生徒は転落することもなかったでしょう。

学校が生徒を死に追いやることもある。

子供を死なせない制度の早期の実現が求められます。

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倉田隆盛
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