お片付け|やる気を引き出す「思い入れのあるお部屋」へ
お部屋を片付けようと思うとき……そこにはやっぱり「部屋を心地よくしたい」「自分が見てテンションの上がる部屋にしたい」「かわいくしたい」という「欲」があることに気づきます。
「家事だからやらねばならない」という義務感では、どうしてもなかなか腰があがりません。そんな「お片付けのやる気を引き出す」ポイントについて考えてみました。
■「お部屋」に対して愛着・思い入れを持つ
お部屋をキレイにしようと思うには、「思い入れ」が重要不可欠なポイントだと思うのです。
部屋そのものでもいいですし、その部屋を飾る小物でもいいですし、その部屋で過ごす家族でもいいのですけれど。
ものを手放すときは「執着」を手放すということを以前お話ししましたが、やはり人は「思い」とか「愛着」があると大切にしたいと思うもの。もちろんものがたくさんありすぎると管理しきれなくなるのですが、本当に大切なものに囲まれた「愛着のある部屋」はキレイにしたいと自然と思うのではないでしょうか。
「別に誰かに見せるわけでもないし」「別に困っていないし」という「する必要がない」状態では、お片付けに手がつかないところか、やろうとすら思わないはず。そして、そう思っている人は決して少なくないのです。
お片付けをするというのは、「心地よく保ちたい」「家族で家事をスムーズにこなせる導線にしたい」「週末に彼氏がうちに来るかも」などの理由がないとなかなか立ち上がれないもの。
思い当たる節はありませんか?
■自分の部屋をもった子ども時代・一人暮らしを始めた大学時代
私の両親は、私が小学2年生の頃にマイホームを購入しました。当時まだ8歳くらいだった私は、初めて「自分だけの部屋」をもらえることに。
そして、打ち合わせの段階で「私の部屋の壁紙と照明」を自分で選べることになりました。今でもこんなパステルカラーな家をつくっているのでお察しいただけるかと思いますが、私は当時から「かわいいもの」が大好き。
ペールピンクに白のリボンモチーフが描かれた壁紙と、アリエルの貝殻のようなエレガント系の照明をチョイス。出来上がった部屋の壁紙と照明を見てときめき、高校卒業して家を出るまで大好きだったことを思い出します。
でも、私は部屋の片づけができませんでした。
当時、母は私がその壁紙と照明を選んだとき、「えっ!これでいいの?うそでしょ」という反応をしました。
そんな母の好みはアメリカンカントリー。木目調のインテリアや素材感のあるほっこり系で家をつくっていたので、私の趣味と一致しなかったんですよね。当然、私の部屋の家具も、両親が選んだもので揃えられました。もっというと、それまで使っていたけれど、引っ越して行き場のなくなった家具を置いていました。
そんな私の部屋は、典型的な汚部屋。床全体にプリントが散らばり、ゴミ箱でないところにゴミを置き、引き出しの中はよく分からない本やプリントや紙くずだらけ。
母からよく片付けなさいと怒られていましたが「いや、私はどこにどんなプリントが散らばっているか把握しているから、これはもう片付いてると同じ」とか思っているくらい。
寝るとき、壁紙を見ながら幸せな気持ちになっていたのですが……。でも家具は私のお気に入りではないし、私のものという意識もなかったので、思い入れがなかったのです。キレイにしたいという意欲がわかなかった。これは片付けの知識があるかないかとは関係なく、意欲の問題です。
はじめて家を出て一人暮らしを始めるとき、「この部屋をすべて、私の好きにしていいんだ!」と思ったときの高揚感といったら……!
私は掃除や片付けが嫌いだと思っていたんですが、1人暮らしをはじめたとき、夫と結婚して二人用の家を探したとき、マイホームを建てたとき、それなりに掃除や片付けができることに気づいたのです。それは「自分で選んだ」という愛着や思い入れでもありますし、「責任」ともいえるでしょう。
■思い入れをもたせるために
今、我が家も子ども部屋を用意している段階ですが、家具などを選ぶ際は子どもに「どれがいい?」と聞くようにしています。ほとんど私が決めているものでも、最後のチョイスは2択にして、子どもに選んでもらうことも。
もしくは、今まであった家具を転用する場合は「どこに置きたい?」「好きな色に塗っちゃおうか」と子どもが好きになれるような配置やアレンジを一緒に考えます。
我が家のグリーンの壁はペンキなのですが、このカラーを決めるときも3択にして、息子に選んでもらいました。そして一緒にペンキ塗り。「僕が選んだ、僕が塗った、僕のおうち」という気持ちが息子なりにあるみたいです。
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今住んでいる家に、どこか好きなポイントはないでしょうか。自分で選んだ家具や、お気に入りのお皿など、小さなものでもなんでもいいのです。お気に入りのマグカップがあるなら、そのカップをステキに収納する様子をイメージしたり、どんなふうにそのカップを使いたいかを考えてみてほしいのです。
そして「片付けてキレイにしたいかも」と思ったら、引き出し1つ・食器棚の中・玄関など、限られたスペースからはじめてみるのがおすすめ。食器棚が古くてテンションが上がらないな……と思うのなら、思い切ってリメイクすることを考えるというのも手です。今は貼って剥がせるリメイクシートもプチプラでいろいろ揃いますから、一度やってみると世界が変わるかもしれません。「自分が好きなスペース」をつくり出してみると、そこは自分自身を投影した「私」の空間になり、愛着や思い入れが生まれるはずです。そんな空間を少しずつ増やすと、きっと今より心地よく過ごせるようになります。
お部屋というものは、もちろん主に過ごすのは自分で、ほかの人に見せることを前提としているわけではありません。だから「自分が良ければ良し」なのです。ですがステイホームでおうち時間が増えている今、テレワークや家事分担など、家が担う役割はどんどん多様化している気がします。
「家事だから」「片付けないといけないから」という気持ちではなく、「自分を心地よくもてなすために」お部屋をちょっと片付けてみてはどうでしょうか。片付けるほどおうちが愛おしくなり、自分に自信も生まれるので、お片付けって楽しいのですよ。