健やかな生活に少々の毒
とてもじゃないが、真っ当な人生を生きているとは言い難い。時代の流れと逆へ進んでいるような気さえする。
わたしの好きなもの、煙草とお酒、タトゥー、向精神薬。
随分とアングラな女の子を想像するかもしれない。しかし、見た目は裏腹。おとなしそうなちょっと可哀想なくらい華奢な心許ない立ち姿。
そんなわたしだけれど、反面とても健やかな生活を送っていたりもする。
ヨガやマインドフルネスもするし、観葉植物を育てたり、ハーブティーを毎晩欠かさず飲んだり、ビーガンコスメを探したり…
大学生の頃の友人は、まさにその鏡。
最近よく彼女のことを思い出す。
海外プログラムの合宿で、同じ部屋だった彼女。その日わたしが行った礼拝の感想を、熱心に歯磨きしながら語ってくれた。
自己表現がうまく、パワフルで、真っ直ぐな彼女の姿は当時から眩しいものだった。だからこそ、妬んでしまったこともある。
あの頃より少しだけ大人になったわたしは、彼女のことを心から尊敬し憧憬の念を抱いている。
今度、彼女が出演するお芝居も観に行きたいし、彼女のヨガレッスンも受けてみたい。
わたしの思う全うで健やかな生活を送る彼女のように、わたしは到底なれはしない。
けれども、彼女にはない、わたしの経験があり英知がある。健やかに暮らしながらも、わたしは時折、毒を欲する。それは、きっと彼女にはないわたしだけのもの。