見出し画像

環境が変わっても美味しいコーヒーを飲みたい! - アウトドア編

Kurasu Coffee Knowledge
Kurasu編集部が、コーヒーをより深く楽しむためのナレッジをお届けするシリーズ。意外と知らない産地の話、焙煎士やバリスタだけが知っている現場の知恵、あまり知られていないコーヒー器具の話まで、一杯のカップの背景にある広い世界をご紹介します。

限られた条件で美味しいコーヒーを淹れるコツ

夏から秋へ。キャンプやハイキングが楽しい季節ですね。アウトドアでコーヒーを楽しみたい、そんな方も多いのでは?

荷物を軽くしたい一方で、コーヒーの味にはこだわりたい。この相反する条件の中で、どれだけ「アウトドアのコーヒー」に本気で取り組めるか、チャレンジしてみませんか。

山中でエスプレッソを淹れてアメリカーノを作ってみたものの、あまりうまくいかなかったときの写真。アウトドアコーヒーの試行錯誤はまだ続く...…

中の人は身軽さを追求した結果、何度か未抽出のお湯を飲んでしまった経験があります。さすがに大自然の情感ではカバーしきれず、味もとても大切だと実感しました。

工夫を凝らして得られる美味しい一杯こそが、アウトドアの醍醐味です。普段と違う環境の中で、いかに美味しいコーヒーを淹れるか。制限の中で、自分とコーヒーの距離感を再発見できるかもしれません。

そんなわけで今回は、アウトドアでも活きるコーヒーライフのTipsをいくつかご紹介します!

浸漬式抽出:手軽に本格的な味わいを

アウトドアでのコーヒー抽出方法として、まず注目したいのが浸漬式抽出です。お湯にコーヒー粉を浸して味を出す方法で、ドリップより一手間省きつつ、しっかりスペシャルティコーヒーの良さを楽しめます。

コンパクトで手軽なエアロプレス

浸漬式といえば、おすすめしたいのが「Aeropress(エアロプレス)」。エアロプレスで創意工夫し表現できる味の幅はとても広く、エアロプレスのみを使用するコーヒー競技会があるほどです。

中でも「Aeropress GO」は、抽出に必要な全てのアイテムが一つのカップに収まり、バックパックにすっぽり入るので、アウトドアにぴったり。

浸漬式なので注ぎ方に悩まず、コーヒーの成分をしっかり引き出しながらも、ペーパーフィルターを通すので、クリアな味わいを楽しめます。

KurasuのWebサイトで、使用方法やおすすめのレシピも紹介しているので、ぜひご覧ください。

そのときの気分で使い分けられるマルチブリュワー

もう一つのおすすめ器具は、「マルチブリュワー」です。マルチブリュワーとは、複数の抽出方法を一つのユニットで実現できるツール。たとえばミル一体型の抽出器具や、モカポット・フレンチプレス・ドリップの機能が一つに揃う器具など、いくつかの機能を集約させた器具の総称です。

多機能性が特徴なので、一つの抽出方法にこだわるのではなく、気分に合わせてさまざまな淹れ方でコーヒーを楽しみたい方におすすめです。

「Varia PRO マルチブリュワー」は、浸漬式のフレンチプレスや水出しはもちろん、モカポットやドリップにも対応しています。本体は二重断熱構造で保温性もよく、場所を選ばず多様な抽出方法が試せるので、アウトドアにも最適です。

アウトドアでもハンドドリップにこだわる

コーヒーラヴァーの中には、「アウトドアでもハンドドリップを楽しみたい」と思う人も多いと思います。そんなときは、ドリッパーの素材選びが重要。アウトドアでは、耐久性があり、軽量で持ち運びやすい素材が求められます。

例えば、ステンレス製や樹脂製のドリッパーは、壊れにくく、セラミックよりも軽いので、アウトドアに向いています。フックがついていると、バッグパック等いろいろなところに引っ掛けられるのでなおよし。ドリッパーが目印となって、山登り中にコーヒー好き同士でスモールトークを交わすきっかけになるかもしれません。

また、コーヒーサーバーはガラス製のものが多く、割れやすいという難点があります。そのため中の人は、「Fellow Carter Move Mug」などの持ち運びできるマグやミルクピッチャーで代用することもあります。

普段からハンドドリップを楽しんでいる方も、いつもと異なる器具や環境でコーヒーを淹れることで、新たな味わいに気づけるでしょう。いつもと異なるアウトドア環境でも、注ぎ方の工夫で「いつもの味」を抽出できれば、まさに立派なコーヒーブリュワーと言えます。

一人で楽しむならドリップバッグが手軽で便利

手軽さを徹底的に追求したいなら、ドリップバッグがおすすめです。器具をほとんど持ち込まなくても良いので、荷物を最も少なくできる方法です。

ドリップバッグでも、少し手間をかけることで、より美味しく抽出することが可能です。そのポイントが「蒸らし」です。ドリップバッグはサイズが小さいため、注ぐ際に粉が攪拌されづらく、抽出が不十分で味が薄くなることがあります。しかし、コーヒー粉をしっかり蒸らす時間を取れば大丈夫。コーヒーの味わいが十分に引き出されます。蒸らしたあとに適量のお湯を注ぎ、その美味しさを楽しみましょう。

コーヒーを「沸かし直す」のはどうなのか?

水出しコーヒーを仕込んでちょっとずつ飲むように、おうちで淹れてきたコーヒーを外で沸かし直してみたこともあります。経験上、「沸かし直す」という選択肢は、決して「なし」ではありませんが、あまりおすすめはできません。

特に浅煎りのコーヒーには、沸かし直しは不向きです。時間が経つとコーヒーの成分であるクロロゲン酸が分解され、味の輪郭がぼやけ、美味しさが損なわれる可能性があります。「沸かし直す」という選択肢を取っても、手間がそれほど減るわけでもないので、「それならドリップバッグのほうがいいな」というのが正直なところです。自然の中でコーヒーを抽出する、その体験自体を楽しんでみるのがおすすめです。

味と身軽さのバランスを追求して

アウトドアでコーヒーを淹れる際に重要なのは「味」と「身軽さ」のバランスです。

味を追求するあまり、持ち運びが不便になり、アウトドアを楽しむ本来の目的を見失ってしまうかもしれません。一方で、身軽さだけを重視して工夫を怠ると、コーヒーの味に満足できなくなることもあります。どこで使うのか、どんな味わいを求めるのかを考え、シーンと好みにフィットする道具や方法を見つけることが大切です。

アウトドアでも、自分に合った器具や方法を使って、満足な一杯を楽しむことができれば、最高のコーヒー体験になるでしょう。もちろん、コーヒーの淹れ方に唯一の正解はありませんので、もし皆さんだけのオリジナルなアウトドアTipsがあれば、ぜひコメント欄を通して教えてください!