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家計簿の賢いつかいかた。逆に浪費が加速してしまう3つの罠。
働き始めて1年ぐらいたった時だろうか。あれっ?収入増えているのになんだか貯金が増えてないぞ。そこで、真面目な私は家計簿をつけ始めることにした。
すると、まただ。家計簿つけてるのにそれほど貯金増えてないぞ。これは何かがおかしい!そう思った私はより細かく家計簿をつけていった。でも、そこまで変わらなかった。
なぜだろう。
私は手取り12万円で4年程生活していた時期があった。貧乏生活も節約生活も極めていたはず!なのにこんなことになってしまったのだ。今日は過去の私が陥った家計簿の罠について解説したい。
①家計簿は免罪符ではない
レオ10世という人物をご存じだろうか。彼はルネッサンス期にローマ教皇として絶大な力を持っていた人物だ。レオ10世は超金持ちのメディチ家に生まれ、芸術を愛していた。
そんな彼は教皇になり、ミケランジェロやラファエロなどの芸術家を支援しお金をじゃぶじゃぶと使っていく。ある時、彼はサン・ピエトロ大聖堂という聖堂を建てようとしたのだけど、お金が十分になかった。
そこで、彼は一般の人に免罪符(贖宥状)を売る事にした。教会の出す紙を買えば今までの罪が消えるというもので、瞬く間に世間に普及した。免罪符にはランクがあり、犯した罪の重さによって値段が変わり、重罪を犯したことのある人ほど高額な免罪符を買っていった。
それに反対したのがルターだ。ルターは、罪が消える紙なんてない!聖書にそんなこと書いてないじゃないかと猛反発し宗教革命に繋がっていったのであった。
話は脱線したが、私が家計簿で陥った罠の一つ。それが家計簿をつけることによってあらわれる免罪符効果だったのだ。
無駄遣いが家計における罪だとしよう。例えば、買わなくていいお菓子をコンビニで買った。なんか気が大きくなって、普段行かないような高めのランチに一人で行っちゃったとかだ。
家計簿をつけていると、ある程度後悔しながら無駄遣いをポチポチと入力する。そうすると、後悔→完了という手続きを無意識に行ってしまうのだ。家計簿に着けたんだから、もうこれは終わった話となるのだ。
これはまさに罪を犯して、そのあとに高いお金で免罪符を買っているようなものだ。一度スッキリとチャラになったものに対しては、人はあまり学ばない。だから、また同じことを繰り返す。だって、後悔してもまた家計簿につければとりあえず終わりにできるんだから。
これが節約にとって逆効果になってくる。もし、家計簿をつけていないと後悔は長く残っていく。あの時無駄遣いしたなと、未完了の記憶程しっかりと脳に定着するからだ。だから、間違いを短期間で繰り返すことにつながらない。
過去の私はこれに気づかず、家計簿をより詳しくつけていく。グラフに資産一覧を表したり、もはや企業会計のようになっていった。しかも、私の場合は家計簿で粉飾決算もした。家計簿の月初めと締め日をずらしたり。
でも、それってメチャクチャ無駄な努力だ。教会が罪の重さによって細かく免罪符の値段設定を変えているのと同じようなことをしていたのだ。
そうじゃなくて、1番大切なのは罪を犯さないこと。つまり、無駄遣いしないことに最大限努力する必要がある。だから、あまり家計簿にこだわりすぎるのはやめておこう。
それより、コンビニに必要な時以外入らないとか、気晴らしで服を買ってしまう人は暇なときに服屋にはいらないとか。行動ベースで変えていく方がいい。
そして、無駄遣いのレシートだけは捨てずにペンで無駄遣い分をマークして1年ぐらいずっと持っておこう。完了させないのが良い。
②予算の別け方ですべてが変わるー心の別会計ー
家計簿をつけていると陥りがちな罠。それは心の会計が別に現れてくることだ。なんだ?心の会計?って思った人もいるかもしれないけど、これはみんなが無意識でやっていることだ。
例えば、ハワイの素敵なリゾートホテルに泊まってプールサイドにいるとしよう。素敵な青い空に、静かに流れるハワイアンミュージック。すると、ウェイターの青年がペリエでもいかがですかって聞いてくる。部屋に帰れば無料の水もあるけど、のども乾いたし1杯もらうわ。その時のお代は10ドル。水一杯が1500円だ。でも、お会計は最後のチェックアウトでしてくれるから今はお金はいらない。
チェックアウトの時、3泊で24万円。でも、初めての海外だし、24万円という大きなお金の前ではプールサイドの10ドルなんて小さな差ぐらいだ。気持ちよく払って帰国する。家に帰る時、ガソリンが空港の前だと169円だと知った。これなら、近所のほうがいいからそっちにいこう。あそこなら167円で入れれるよ。たった60円を節約するために車を走らせるのであった。
この話には2つの罠が隠されている。リゾートの時は水を旅行代という大きな会計の中に組み込むことで、必要以上に無駄遣いを小さなものとして考えているのだ。他方、帰国してからは通常モードになる。そうすると、小さい額の差を必要上に大きなものとして捉えて、無駄に労力をかけてしまっている。
どこの予算に組み込むかという、心の会計によって値段の差は高くも安くも自由に変えてしまっている。
これが、家計簿の罠の二つ目だ。家計簿は予算別で設定している人が多い。例えば、今月遊びにはこれぐらい。貯金これぐらい。服はこれぐらいとか。その分類に大した意味はない。大きな予算に組み込まれた無駄遣いは見逃されがちだし、小さな予算の小さな無駄遣いは逆に大きく捉えがちだ。
本当に意味がある会計とは、入ってきた給料が次の月末を向かえた時にいくら残されているか。そして、使ったお金に対して自分が今月どれだけ満足できていたのか。たったこれだけだ。予算に対してじゃなくて、全体をみよう。
③予算を決めると最大まで使う
予算を決めるともう一つ大変なことがある。私たちの家計簿っていうのは自分が一生懸命働いた対価としてもらったものの運用だ。なのに、いざ家計簿をつけ始めるとまるで予算が空から降ってきたかのように振舞ってしまう。
例えば、服代に3万円という予算をつくったら、まるで服を3万円無料で買えてしまう権利を手に入れたかのような錯覚をうけてしまうのだ。これは旅行代だって同じだ。
一度予算を決めると、その予算額限界まで費用は膨れ上がってくる。なんならオーバーすることのほうが多いだろう。その結果、節約の為に設定したはずの予算が逆に無駄遣いを加速させてしまうことになる。だから、予算を設定する時は自分にとって本当に必要な部分だけにしたほうがいい。
いかがだっただろうか。これが家計簿の怖い3つの罠だ。家計簿は節約に役立つと思って、なんとなくつけるだけだと逆に足を取られることもある。ここで繰り返し言いたいのは、家計簿は入ってきたお金がどれだけ残ったかを把握するためにつける。あと、その使った額に対して、自分がその月どれだけ幸せだったかをみるためのものだ。
赤字の月があろうが、それでとんでもなく幸福な1か月を過ごしたなら価値があるし、黒字でも不幸なお金の使い方ならなんの意味もない。家計簿はつけることが目的化しちゃうこともあるから気を付けて。
予算についてはこの限界節約術でも取り上げてるからよかったら見てね。
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