私が医師をやめたいと思っていた時の話
医師の仕事に迷いを感じて、やめたいと思っていた頃の話です。
まずは私の歴史から。
私が医師になりたいと思ったのは中学1年生の時。
それまでは学校の先生になりたかったけど、医師になりたいと思ったきっかけは自分が入院したことがきっかけです。
注射とか、血とか、あまり関わりたくないところだと思っていたが、
自分が入院したときに、女医さんで、カッコよくて、
私もこんなふうに働きたいって思った。
そのあと、父が癌で亡くなって、さらに医師になりたい気持ちが高まった。
そして、念願の医学部に合格して、医師になることができた。
医師になって、とにかくがむしゃらに働いた。
休みもなく、休日も働いた。
勉強だからと呼び出されても、深夜まで働いても、無償で働いてた。
休みなく毎日来てるのに、非常勤扱いだからと働いても休んでいる事にしてと、勤務表に来たという印鑑をわざと押さないでと言われたり。
今だとブラック企業と言われる感じで働いた。
私は人を助けたいと思って医師になった。
でも人を助けることに、自分を犠牲にしないといけないと思えてきた。
週2ー3回の当直・オンコールに、時間外の呼び出しは24時間。
寝ていても電話がかかってくる。夜中まで仕事していたりする。
夜中まで仕事していても、朝になったら通常の仕事が始まる。
疲弊していた。
家に帰ると、何も考えていないのに、ただ涙が出てくることがあった。
自分の中の理想の医師像を求めるのがキツくなってきた。
そして、医師になったからといって、全ての病気を治せるわけでもない。
それが悲しかった。
人を助けたくて医師になったのに助けられないこともある。
全ての人を助けられないことは当然なことなのに、とても悲しく思えた。
無力な自分が悲しかった。
薬で治してと言われたりするが、薬で全ての病気が治せるわけではない。
頑張っても、治せない。治したいのに。
そして、頑張っても報われず、心ない文句を言われることも度々あった。
医師を続けるのがきつかった。
その後、結婚して、子供も欲しいと思った。働く病院が変わった。
そこは外来患者数や入院患者数で医師の評価をする病院だった。
病院も経営があって、理想だけではやっていけない。
収入が・・となると、
できるだけ、多くの患者を診察し、入院させ、退院させ、収入を多くだせる医師が求められたりもする。
理想と現実の狭間で悲しくなった。
なりたいと思って医師になった。
なりたい職業につけて、幸せだったはずなのに。
医師の仕事を続けるのがつらく思えるようになった。
だけど、医師以外の仕事で私ができる仕事って何かある??
思いつかなかった。
収入がないと生活していくのはきつい。
医師以外にしたい仕事はある?と考えたけど、思いつかなかった。
だから医師の仕事の中にやりたいことをみつけられたらと思った。
それから興味のある漢方薬や女性医学など、勉強するようになり、
漢方薬が効きそうな人には処方したりするようになった。
そしたら、外来で、漢方薬が効いて患者さんに喜ばれたり、
何気ない話で患者さんと笑い合ったり、
そういう日々の中で、こういう働き方も悪くないと思えてきた。
自分の働き方を少しずつ変えていった。
今までは、急性期でバリバリ働いている医師が理想で、
そういう働き方ができない自分はだめで、いけてないし、
私は医師に相応しくないと思ってた。
でも、私みたいな働き方でもいいと思えるようになった。
私みたいな医師がいてもいいとおもえるようになった。
だんだんと、医師として働くのが以前のようにつらくなくなっていったのだ。