子育てと片付け。環境を整えるってこういうこと。
2歳児検診で”成長が気になる子”だとわかった長男は、週に1回、市の療育に通うことになった。
親子教室なので、わたしも一緒だ。
今できることを全部やる!と腹をくくったものの、正直、行きたくなさすぎた。
不機嫌スイッチを全身に搭載している長男だぞ。
一緒に親子教室なんて…楽しめるわけがないのよ。
そんな気持ちをふりはらって、支援センターへ向かう。
宇宙人みたいな長男と、首すわりたてほやほやの次男を車に乗せて。
先に長男をチャイルドシートに乗せるんだけど、かがんでシートベルトをカチャっとやる時、前に抱っこした次男が潰れそうになるのだ。
潰さないようにお腹と背中に力を入れて、プルプル手を伸ばす。
2人目育児が始まって間もない新米母ちゃんにとっては、もうすでにこの時点でかなり神経がすり減った。
当時生後3ヶ月だった次男は、教室のとなりにある託児ルームに預けていた。
いつも機嫌よく遊びながら待ってくれていた次男には、あの時期に一生分の親孝行をしてもらったかもしれない。
親子で教室に入ると、身辺自立につながるルーティンが決められていた。
子どもたちが自分で上着と靴下を脱いで、リュックを定位置に置く。
そこまでできたら、自由に遊んでOKだった。
何をするのか、先生が写真を見せて伝えてくれるから、まだ言葉が理解できない子でもわかりやすかった。
なるほど、こんな方法があるのか!
わたしは大人だし言葉もわかるし文字も読めるけど、写真が一番サッと理解できた。
広い教室の一角にあるおもちゃゾーンはとても充実していて、ミニキッチンやボーネルンドやパズル、懐かしいおもちゃまでいろいろある。
息子も目をキラキラさせて遊んでいた。
わたしのテンションも一気に上がった。
こんな贅沢な体験、家ではさせてあげられないぞ!
療育、ええやん…!と思えてきた。早い。
はじめましての先生やお母さんたちにかなり控えめに挨拶をし、教室の中をじ〜っくり見渡してみる。
広くて、清潔で、整理整頓されていた。
わたしは昔から収納や模様替えが好きで、とくに結婚してからは”暮らしがラクになる動線と収納”を考えるのが趣味になっていた。
だから療育の収納や仕組みにも、とても興味があった。
おもちゃが置かれている棚は、どこになにがあるかひと目でわかるようになっていた。
細かいものは、カゴや半透明のプラケースに小分け収納されている。
”お、これだと開けなくても中身が見えていいな…。”
”パズルは100円ショップのファスナーケース…完成系の写真を貼っておくとすぐわかるのか…ふむふむ。”
気が乗らない親子教室だったはずが、足を踏み入れて5分でちゃっかり自分だけの楽しみポイントを見つけた。
ここは学べることがたくさんありそうな場所だぞ、と思えたことが、気持ちを明るく前向きにしてくれた。
15分くらいおもちゃで遊んだら、みんなで「おしまい」をして片付ける。
これがまた、どこに何を片付けたらいいのか一目瞭然だったから感動した。
おもちゃの棚には写真が貼ってあって、その通りに戻せばいい。
はじめての人でも、文字が読めなくても、誰でもすぐわかる最高の収納だ。
うちでも真似してやってみよう!と思った。
おもちゃを片付けたらその日の決められた活動が始まる。
最初は椅子に座ってごあいさつの時間だ。
子どもたちの机と椅子は、パーテーションで小さく区切られた空間にセッティングされていた。
おもちゃの棚には、先生がまるで忍者のようにササっと白い布をかける。
子どもたちにとって魅惑のスペースが1秒で隠れちゃった!
なんてこと!(心で拍手)
教室の隅っこで壁に向かって子どもたちが座ると、目の前の先生だけに集中できる空間になっていた。
横も後ろもパーテーションで囲まれているから、背後も気にならない。
そっか…こんなふうにしたら、気持ちを切り替えやすいのか。
わたしにとっては本当に、ハッ!とすることの連続だった。
同時に、家でもできることがいっぱいありそう!と思ってワクワクした。
療育でのあらゆる工夫・対策を観察していると、子どもの行動には、目から入る情報の影響がとても大きいことに気づいた。
…でもそれって、大人も同じじゃない?
すっきり片付いた空間では集中しやすいし、散らかっていると落ち着かない。
物が多いと探し物がなかなか見つけれないのも、目からの情報量と関係している。
だとすると、快適に暮らすためには視覚的に環境を工夫して整えることがとても有効ってことだ!
お片付けや整理収納が、子どもの自立にきっと役立つ。
わたし…それならできる!むしろ得意分野!!!
思えばそれが、わたしが本気で整理収納を極めたいと思ったきっかけだったと思う。
自分のためだけのふんわりした収納ではなくて、家族みんながわかりやすく、子どもの自立につながるしくみを作って、暮らしを快適にする!
子育てにおいては、いろんな分野がまるでだめだったけど、たまたま好きだった整理収納に助けられた。
長男が12歳になった今でも、片付けや整理収納はときどき一緒にやっている。
部屋づくりや家具の配置を悩んだ時にも、「ここに座ったときなにが視界に入るか」という視覚情報については必ず考えている。
療育で体感した、”周りを囲まれた空間で壁に向かって机を置く”というのは最強なので、集中したいのにできない…という方がいればぜひ試してみてね。