親子で自信を取り戻す大作戦!それが片付けだった
わたしは、長男が2歳になっても言葉が出ないことに対して責任を感じていた。
次男を妊娠してからの数ヶ月、体調が安定しないことを理由にほったらかしにすることが多かったからだ。
同じ空間で見守っているだけで、一緒に遊んであげられない日も多かった。
つわりでどうしようもないときは、録画していた「カールじいさんの空飛ぶ家」をずっと見せ続けたりもした。
罪悪感を抱きながら。
いまなら配信動画がたくさんあるから、もっといろんな分野の動画を幅広く見せられて罪悪感は薄まったかも。
…って、ちがうか。
とにかくまだ長男が話さないのは自分のせいで、1歳のあいだにもっと絵本を読んだり、公園やお散歩に行ったりしてたくさんコミュニケーションをとっていれば、こんなことにならなかったはずだ、と思った。
そんな後ろめたさがあったから、赤点の母子手帳を見られるのが恥ずかしくて、自分に足りていない部分を指摘されるのがこわかったのだ。
じつは、わたしはとんでもない勘違いをしていた。
子どもの成長の速度や性格は、自分の育て方によって決まると思い込んでいた。恥ずかし。
今ならわかる。
人間は生まれた瞬間からそれぞれに個性があって、どれだけ小さくても親の思い通りにコントロールなんてできないことを。
でも、当時は、知らんかってん。びっくりよね。
だから、母親としての自信は底の底まで落ちていた。
なんかもう、わたし以外の人が育ててくれたほうがちゃんと育つんちゃうかな。
たとえば、お義母さんとか。
って本気で思っていたからこわい。
今思えば、ちょっと病んでいたのかもしれない。
自分では全く自覚がなかったけれど、髪をかき上げると生まれて初めての十円ハゲが!!!というショッキング体験をしたのもちょうどあの頃だった。
そんな軟弱かあちゃんが、療育へ通うことで自分にもできそうなことを見つけたのだ。
それが、片付けだ!(キラーン)
片付けとは、「使ったものを元の位置(定位置)に戻す」ことである。
戻すだけなら、2歳児にもできる。
わたしにも、あなたにもできる。
片付けができたら、どんないいことがあるか考えてみた。
わたしは、得意な(好きな)ことで息子に関わることができる。
息子は、親や先生に「片付けできたね!きれいになったよ!ありがとう!」って褒めてもらえるのでは!
まだしゃべれないとか、初めての場所が苦手とか、とういう「苦手」は一旦お山の向こうへポーン!とぶん投げて、できそうなことからやればいい!
2歳でもできる片付けのしくみってどんなんだ?と真剣に考えた。
「細かく仕分ける」や「蓋を開ける」はちょっとむずかしそうだ。
だったら「片手でぽんっと入れるだけ」にしてみよう!
絵本やおもちゃがたくさんあると、片付けが大変になる。
毎日あそぶ少量のおもちゃ(1軍)だけをリビングに置いて、それ以外は他の部屋へ移そう!
思いつく限りのことをいろいろと試してみた。
そして、毎日おもちゃをかごに集めてもらっては、「片付けができてすばらしい!部屋がきれいになってうれしい!」と喜びを全身で伝えた。
そうしていたら、あら不思議。
底たまりしかなかったわたしの自己肯定感が、ゆっくりと少しずつ、人並みくらいまでに回復してきた。
だから、声を大にして言いたい。
片付けってすごいよ!
手を動かせば必ずできるし、効果がしっかり目で見てわかる。
床に散らばったおもちゃを全部かごにあつめて、広くなった床でゴロゴロ〜と転がる遊びをよく子どもたちと一緒にした。
片付けは、きもちいいのだ!
毎日公園へ行ったり、児童館へ行ったり、読み聞かせをしたり、食育したり。
そんな、世のお母さんがふつうにやっているようなことが、わたしにはできなかった。
でも、だんだん、片付けできたらそれでええやん、と思えてきた。
他の子のようになんでもすぐできない長男に対しても、片付けできたらそれでええやん、と思えてきたのだ。
親子で自信を取り戻す大作戦は、わたしの場合片付けだった。
ところでもし、「片付けが苦手です」という方がいたら、ちょっと耳を貸してください。
片付けやすい家にするためには、物はできるだけ少ないほうが簡単だ。
物が100個あるより、10個しかない方が早く片付く。
物が100個あるより、10個しかない方が部屋を広く使える。
物が少ない空間は、時間と空間をとても贅沢に使えて最高だよ。
そしてなにより、「片付けられている自分」というのがすごい自信になる。
ほんまかいな?と思う方は、一度リビングだけでも徹底的にものを減らしてみてほしい。
手放すことに抵抗があるなら、余っている部屋をひとつつぶしてでも、やってみる価値はあると思う。
そして片付けが簡単にできる部屋にしてみよう。
「片付けできない」とか、ないから。
「定位置に戻す」だけならみんなできるよ。
今、自信が底たまりくらいしかなくなっちゃてる人こそ、本当にやってみてほしい。
*
その後、長男が年中さんの個人懇談のときに、はじめて片付けのことを褒めてもらった。
他のことはどれも自信がなさそうな長男が、お片付けの時間だけは自信を持ってできていると。
みんなのお手本になってくれて助かっています、という先生の言葉がまさかすぎて!
帰り道、自転車こぎながら泣き笑いした。
作戦、大成功!